説明

リジッドフレキシブルプリント配線板及びその製造方法

【課題】ビルドアップ層から多層フレキシブル配線板の配線パターンに達するブラインドバイアホールを微細に形成したリジッドフレキシブルプリント配線板を得る。
【解決手段】リジッド部とフレキ部の領域にまたがる支持フィルムの面に金属柱中間ランドを形成し、前記支持フィルムの両面にカバーレイフィルムが積層されて成る内層フレキシブル配線板を形成し、前記内層フレキシブル配線板の両面から前記金属柱中間ランドに達する穴を形成し、該穴に金属めっきを充填して前記金属柱中間ランドと一体に形成した金属めっき柱を形成し、前記内層フレキシブル配線板の面に、位置合せマークと、前記フレキ部とリジッド部との境界部分の補強用金属パターンを形成し、前記内層フレキシブル配線板の前記リジッド部の領域にビルドアップ層を積層し、前記位置合せマークに位置を合わせて、該ビルドアップ層の端部の側面を前記補強用金属パターン上に垂直に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル配線板とリジッド配線板とからなるリジッドフレキシブルプリント配線板及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、折りたたみ式の携帯電話等の携帯用電子機器には、リジッドフレキシブルプリント配線板が使用されている。このようなプリント配線板として特許文献1や特許文献2の技術が知られている。特に、特許文献2では、柔軟性のない硬質のリジッド部を柔軟性のあるフレキ部を介して連結するとともに、リジッド部においては、フレキシブル配線板の配線パターンとリジッド配線板の配線パターンを、ビアフィルめっきによる金属柱を介して電気的に接続する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−141693号公報
【特許文献2】国際公開WO2008/050399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、硬化性樹脂にシリコン系離型剤、フッ素系離型剤などの離型剤の混入された樹脂組成物がコートされて仕上げられたもの、表面が離型性のある接着テープあるいは、プリプレグの樹脂成分と相溶しない樹脂成分が塗布されて形成された剥離部をリジッドフレキシブルプリント配線板上に有する。それにより、その剥離部の上に形成した樹脂層を剥離部から剥離することでフレキ部を形成するので、剥離部がフレキ部に残留する問題があった。すなわち、この剥離部がリジッドフレキシブルプリント配線板上に残留しているので、その剥離部の材料によるフレキ部の表面の絶縁性の低下やその他の基板の電気特性に好ましく無い影響を与える可能性が高い問題があった。
【0005】
一方、特許文献2のリジッドフレキシブルプリント配線板では、配線パターンを形成した多層フレキシブル配線板の両側に厚さが同じリジッド部のコア基板を並置し、そのコア基板と多層フレキシブル配線板の一部の両側に、樹脂フローがほとんど発生しないローフロー樹脂のシートの絶縁層を積層し、そのコア基板と多層フレキシブル配線板の全面に銅膜を形成した内層フレキシブル配線板を製造していた。そして、その内層フレキシブル配線板の両面に絶縁層と配線パターンとブラインドバイアホールからなるビルドアップ層を積層し、加工用レーザー光を、ビルドアップ層の表面から多層フレキシブル配線板の一部の両側の絶縁層の端部の位置の銅膜に達するまで照射して溝を形成した。そうして、その溝の位置からから多層フレキシブル配線板の両側のビルドアップ層を剥離することでフレキ部を形成したリジッドフレキシブルプリント配線板を製造していた。
【0006】
しかし、特許文献2の技術では、多層フレキシブル配線板の一部の両側に形成する絶縁層が、樹脂フローがほとんど発生しないローフロー樹脂のシートを、予め所望の部分を所望の形状が抜き取られた状態で使用するため、以下の問題が発生する。
【0007】
(問題点1)フレキシブル配線板が露出する所望の部分が凹んだ形状になるため、積層プレスにおける加熱加圧成型時に、圧力が均一にかかり、且つフレキシブル配線板が露出部にボンディング樹脂が流れ込まないように十分な追従性を有し、且つ離形成を有するクッション材を使用する必要がある。
【0008】
(問題点2)上記のクッション材を用いても、ギャップが150μm程度が限界であり、多層フレキシブル配線板の上に形成できるビルドアップ層は2層までのビルドアップが限界である問題があった。
【0009】
(問題点3)ビルド層の絶縁樹脂にローフロー樹脂のシートを使用するため、内層回路パターン間への追従性が悪く、積層ボイドが発生しやすい。また内層回路パターンの凹凸が積層板表面に影響するため、内層回路パターンにファインパターン(例えばL/S=75/75未満)の形成が困難である問題がある。
【0010】
(問題点4)また、形成した樹脂層の下に露出させる多層フレキシブル配線板の表面に配線パターンが形成できない。そのため、その多層フレキシブル配線板の上に形成したビルドアップ層から多層フレキシブル配線板の配線パターンに達するブラインドバイアホールの高さが高くなり、そのブラインドバイアホールを微細に形成することができず、配線パターンの高密度化のために障害となる問題があった。
【0011】
本発明は、上記の問題を解決して、多層フレキシブル配線板の上に形成できるビルドアップ層を多層に形成できるようにし、また、多層フレキシブル配線板とビルドアップ層とを接続するブラインドバイアホールの高さを低くして配線パターンを高密度に形成したリジッドフレキシブルプリント配線板と、その製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明は、硬質のリジッド部を柔軟性のあるフレキ部を介して連結したリジッドフレキシブルプリント配線板であって、前記リジッド部とフレキ部の領域にまたがる支持フィルムの面に金属柱中間ランドが形成され、前記支持フィルムの両面にカバーレイフィルムが積層されて成る内層フレキシブル配線板を有し、前記内層フレキシブル配線板の両面から前記金属柱中間ランドに達する穴を有し、該穴に金属めっきが充填されて前記金属柱中間ランドと一体に形成した金属めっき柱を有し、前記内層フレキシブル配線板の面に、位置合せマークと、前記フレキ部とリジッド部との境界部分の補強用金属パターンが形成され、前記内層フレキシブル配線板の前記リジッド部の領域にビルドアップ層が積層され、前記位置合せマークに位置が合わせられて、該ビルドアップ層の端部の側面が前記補強用金属パターン上に垂直に形成されていることを特徴とするリジッドフレキシブルプリント配線板である。
【0013】
また、本発明は、上記のリジッドフレキシブルプリント配線板であって、前記金属柱中間ランドの片面の前記金属めっき柱の部分が、最外層部分に金属柱用ランドを有するとともに、中間部分に1階ランドを有する2階高バイアホールであり、該1階ランドの外層側の前記2階高バイアホールの直径が、内層側の直径より大きいことを特徴とするリジッドフレキシブルプリント配線板である。
【0014】
また、本発明は、硬質のリジッド部を柔軟性のあるフレキ部を介して連結したリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、前記リジッド部の領域と前記フレキ部の領域にまたがる支持フィルムの少なくとも片方の面の前記リジッド部の領域に金属柱中間ランドを形成する工程と、前記支持フィルムの両面に銅箔付きカバーレイフィルムを積層することで内層フレキシブル配線板を製造する工程と、前記内層フレキシブル配線板の両面から穴あけ用レーザー光を照射することで、前記金属柱中間ランドに達する穴を形成する工程と、該穴に金属めっきを充填することで前記金属柱中間ランドと一体に形成した金属めっき柱を形成する工程と、前記内層フレキシブル配線板の面に、位置合せマークと、前記フレキ部とリジッド部との境界部分の補強用金属パターンを形成する工程と、前記内層フレキシブル配線板の前記リジッド部の領域にビルドアップ層を積層する工程と、前記位置合せマークに位置を合わせて、前記フレキ部と前記リジッド部との境界部分の前記ビルドアップ層に加工用レーザー光を照射することで前記ビルドアップ層の端部の側面を前記補強用金属パターン上に垂直に露出させる溝を形成する工程と、前記溝を境にしてフレキ部上の前記ビルドアップ層及び前記薄剥離フィルムを分離して除去する工程を有することを特徴とするリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法である。
【0015】
また、本発明は、上記のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、前記金属柱中間ランドを形成する工程において、前記金属柱中間ランドに対向し、中心に空孔を有する1階ランドを形成し、前記金属柱中間ランドに達する穴を形成する工程において、前記金属柱中間ランドから遠い側の面から、前記1階ランドを経由して前記金属柱中間ランドに向けて前記穴あけ用レーザー光を照射することで、前記穴あけ用レーザー光の周辺部を前記1階ランドで遮らせて前記空孔を通った該穴あけ用レーザー光のみを前記金属柱中間ランドに達させることで、前記金属柱中間ランドに達する穴の直径に段差を形成したことを特徴とするリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、リジッドフレキシブルプリント配線板10のフレキ部102から薄剥離フィルム31を剥離して除去するので、フレキ部102の表面の電気特性が薄剥離フィルム31の材質によって影響されない効果がある。
【0017】
また、本発明は、多層配線したフレキシブル配線板1a上に薄いカバーレイフィルム20を積層し、そのカバーレイフィルム20の層に埋め込んで形成したブラインドバイアホールの高さを低くして、そのランドの径を小さくすることで、カバーレイフィルム20上の配線パターンを高密度に形成できる効果がある。
【0018】
特に、本発明は、カバーレイフィルムの外層側の面に、位置合せマークとフレキ部とリジッド部との境界部分の補強用金属パターンが形成され、その位置合せマークに位置を合わせたレーザー加工で、補強用金属パターン上の薄剥離フィルムの端部の位置に重なる溝を正確な位置に形成する。そのため、その溝が正確な位置に、補強用金属パターン上に垂直に形成される。一方、その位置合せマークに位置を合わせて、薄剥離フィルムを、その端部を溝の形成位置に正確に位置を合わせて形成する。それにより、レーザー加工で形成する溝が、薄剥離フィルムの端部に正確にかかるように位置を合せて形成できる。それにより、その溝の位置の端部からフレキ部上の薄剥離フィルムを、フレキ部及びリジッド部に残留しないように完全に除去できる効果がある。
【0019】
また、本発明は、補強用金属パターンが平坦なカバーレイフィルムを上から押さえて補強する効果がある。また、リジッド部とフレキ部の境界部分の補強用金属パターン上に垂直にビルドアップ層を掘って形成された溝により、その溝の壁面を端面にしたリジッド部のビルドアップ層の端部が形成される。そのため、そのリジッド部に隣接するフレキ部は、そのフレキ部の上面にビルドアップ層の樹脂の一部が被さることが無い。そのように、フレキ部の上面に被さるビルドアップ層の樹脂が残留してフレキ部の柔軟性を損なうことが無いので、リジッド部とフレキ部の境界部分に柔軟性があり、屈曲の繰り返しへの耐久力が高いフレキ部が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)本発明の第1の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の平面図である。(b)本発明の第1の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の側断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する断面図である。
【図7】(p)本発明の第1の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する平面図である。(q)図7(p)の断面図である。
【図8】(r)図7(p)のリジッドフレキシブルプリント配線板の正面の断面図である。(s)本発明の第1の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する正面の断面図である。
【図9】(t)本発明の第1の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する平面図である。(u)図9(t)の断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する断面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する断面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1の実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1(a)に、本発明の第1の実施形態の、リジッド部101とフレキ部102を併せ持つ10層のリジッドフレキシブルプリント配線板10の平面図を示し、図1(b)に、その側面の断面図を示す。図2〜図9は、第1の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板10の製造方法を説明する側断面図及び平面図である。
【0022】
図1(b)に示すように、第1の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板10は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂などの有機樹脂からなる厚さが10μm以上で100μm以下で可撓性のあるフィルム状の支持フィルム1を中心に持つ。支持フィルム1の表裏面には銅箔2aをエッチングして配線パターン2が形成されている。
【0023】
図2(c)のように、配線パターン2が形成された可撓性のある絶縁樹脂から成る支持フィルム1の両面を、銅箔付きカバーレイフィルム20で覆う。銅箔付きカバーレイフィルム20は、片面に厚さ12μm程度の銅箔20aが張り合わされ、その銅箔20aの下層に厚さ8μm〜13μmのポリイミドフィルムなどの絶縁樹脂フィルム21を有する。その絶縁樹脂フィルム21の層に接着剤層22が20μm程度の厚さに形成されている。銅箔付きカバーレイフィルム20は、全体の厚さが40μm〜50μmのフィルムである。この銅箔付きカバーレイフィルム20を支持フィルム1の両面に接着して内層フレキシブル配線板30を形成する。
【0024】
この内層フレキシブル配線板30には、図3(e)のように、フレキシブル配線板1aの下面の金属柱中間ランド3に、内層フレキシブル配線板30の上側の面から、銅箔付きカバーレイフィルム20の層と支持フィルム1の層を貫通して金属柱中間ランド3に至る
2階高バイアホール用穴3aを形成し、内層フレキシブル配線板30の下側の面から、銅箔付きカバーレイフィルム20の層を貫通して金属柱中間ランド3に至る金属柱バイアホール用穴23aが形成される。また、フレキシブル配線板1aの上面の金属柱中間ランド4に、内層フレキシブル配線板30の下側の面から、銅箔付きカバーレイフィルム20の層と支持フィルム1の層を貫通して金属柱中間ランド4に至る2階高バイアホール用穴4aを形成し、内層フレキシブル配線板30の上側の面から、銅箔付きカバーレイフィルム20の層を貫通して金属柱中間ランド4に至る金属柱バイアホール用穴23aが形成される。
【0025】
そして、図3(f)のように、その2階高バイアホール用穴3a、4aと、金属柱バイアホール用穴23aに電解銅めっきの層を埋め込んで、2階高バイアホール3b、4bと、ブラインドバイアホール23を形成することで、内層フレキシブル配線板30の上面から下面まで、2階高バイアホール3b、金属柱中間ランド3、ブラインドバイアホール23を接続した第1の金属めっき柱を形成し、内層フレキシブル配線板30の下面から上面まで、2階高バイアホール4b、金属柱中間ランド4、ブラインドバイアホール23を接続した第2の金属めっき柱を形成する。
【0026】
そして、この内層フレキシブル配線板30の一部の、第1の金属めっき柱又は第2の金属めっき柱を含む領域の表側の面及び裏側の面にリジッド部101を積層し、リジッド部101以外の内層フレキシブル配線板30の部分をフレキ部102としたリジッドフレキシブルプリント配線板10を製造する。
【0027】
このリジッドフレキシブルプリント配線板10は、特に、内層フレキシブル配線板30に形成した第1の金属めっき柱と第2の金属めっき柱が、その上層及び下層のビルドアップ層40dに柱状に金属めっきを充填して形成するブラインドバイアホール41と連結する強固な多層金属めっき柱が形成されている。
【0028】
その多層金属めっき柱はリジッド部101に食い込んで強固に保持されるとともに、2階高バイアホール3bの上下に形成された金属柱用ランド3cと金属柱中間ランド3とが、内層フレキシブル配線板30の上層のカバーレイフィルム20の層と支持フィルム1の層とを上下から挟んで保持する。また、2階高バイアホール4bの上下に形成された金属柱中間ランド4と金属柱用ランド4cとが、内層フレキシブル配線板30の上層の支持フィルム1の層とカバーレイフィルム20の層とを上下から挟んで保持する。それにより、カバーレイフィルム20が支持フィルム1の樹脂層に強固に結合され、カバーレイフィルム20と支持フィルム1との接合の信頼性を向上させる効果がある。
【0029】
(製造方法)
以下で、図2から図9を参照して、本発明の実施形態の、10層のリジッドフレキシブルプリント配線板10の製造方法を説明する。
【0030】
(内層フレキシブル配線板の製造方法)
先ず、リジッドフレキシブルプリント配線板10を構成する内層フレキシブル配線板30の製造方法を説明する。
【0031】
(工程1)
図2(a)のように、フレキ部102を形成する素材として、通常のフレキシブル配線板1aを準備する。そのフレキシブル配線板1aは、両面に銅箔2aを有し、銅箔2aを保持する支持フィルム1の基材がポリイミドなどの可撓性のある耐熱性樹脂から構成されるフレキシブル配線板1aである。ここで用いるフレキシブル配線板1aは、それを構成する銅箔2aと支持フィルム1の間には、屈曲性・折り曲げ性を高めるために、接着剤層
は存在しない方が好ましいが、その間に接着剤層が存在するフレキシブル配線板1aを用いることも可能である。
【0032】
(工程2)
次に、図2(b)のように、フレキシブル配線板1aの銅箔2aをエッチングすることで、フレキシブル配線板1aの両面に配線パターン2を形成し、下面に金属柱中間ランド3を形成し、上面に金属柱中間ランド4を形成し、また、後に形成するブラインドバイアホール24の位置にランド2bを形成する。
【0033】
(工程3)
図2(c)のように、銅箔20aとポリイミドフィルムなどの絶縁樹脂フィルム21と熱硬化性の接着剤層22とから成る銅箔付きカバーレイフィルム20を、フレキシブル配線板1aの両面に積層し、図3(d)のような内層フレキシブル配線板30を製造する。
【0034】
(工程4)
次に、図3(e)のように、その内層フレキシブル配線板30の銅箔付きカバーレイフィルム20の銅箔20aを、内層の金属柱中間ランド3と4の表側と裏側の部分と、ランド2bの外層側の部分をエッチングして除去して、下地の絶縁樹脂フィルム21を露出させる。
【0035】
(工程5)
そして、その基板の表裏に露出した絶縁樹脂フィルム21の面から、炭酸ガスレーザーやYAGレーザなどのレーザー穴あけ装置を用いて、穴あけ用レーザー光を照射することで、フレキシブル配線板1aの下面の金属柱中間ランド3に、内層フレキシブル配線板30の上側の面から、銅箔付きカバーレイフィルム20の層と支持フィルム1の層を貫通して金属柱中間ランド3に至る2階高バイアホール用穴3aを形成し、内層フレキシブル配線板30の下側の面から、銅箔付きカバーレイフィルム20の層を貫通して金属柱中間ランド3に至る金属柱バイアホール用穴23aを形成する。
【0036】
また、フレキシブル配線板1aの上面の金属柱中間ランド4に、内層フレキシブル配線板30の下側の面から、銅箔付きカバーレイフィルム20の層と支持フィルム1の層を貫通して金属柱中間ランド4に至る2階高バイアホール用穴4aを形成し、内層フレキシブル配線板30の上側の面から、銅箔付きカバーレイフィルム20の層を貫通して金属柱中間ランド4に至る金属柱バイアホール用穴23aを形成される。また、ランド2bの外層側の部分から、ランド2bに達するブラインドバイアホール用の穴24aを形成する。
【0037】
その金属柱バイアホール用穴23a及びブラインドバイアホール用の穴24aの形状は、穴あけ用レーザー光を入射する側の基板の表面の直径が50〜150μmの穴をあける。金属柱バイアホール用穴23aの、金属柱中間ランド3及び4の位置での直径は、基板の表面での直径より約30μm程度小さい直径50μmの円錐台状の金属柱バイアホール用穴23aを形成する。
【0038】
(工程6)
次に、その基板をデスミア液に浸漬することで、2階高バイアホール用穴3aと4a、金属柱バイアホール用穴23a、及び、ブラインドバイアホール用の穴24aのデスミア処理を行った上で、無電解銅めっき液に基板を浸漬することで、その2階高バイアホール用穴3aと4a、金属柱バイアホール用穴23a、及び、ブラインドバイアホール用の穴24aの壁面に無電解銅めっき皮膜を形成する。
【0039】
(工程7)
次に、図3(f)のように、その基板の下地の銅箔20aに電解銅めっき装置の陰極を接続して、基板を、平滑剤を添加した電解銅めっき浴に浸漬し、めっき浴をよく攪拌して、内層フレキシブル配線板30の両面における銅めっき浴の流動速度を速くして、基板の全面に電解銅めっきするパネルめっき処理を行う。
【0040】
それにより、平滑剤は、内層フレキシブル配線板30の両面への銅めっき層の成長を抑制する一方、2階高バイアホール用穴3aと4a、金属柱バイアホール用穴23a、及び、ブラインドバイアホール用の穴24aを埋める電解銅めっきの層の成長が抑制されない。そのため、2階高バイアホール用穴3aと4a、金属柱バイアホール用穴23a、及び、ブラインドバイアホール用の穴24aを電解銅めっきで充填した2階高バイアホール3bと4b、及び、ブラインドバイアホー23と24が形成される一方、内層フレキシブル配線板30の両面に形成される銅めっき層の厚さを、2階高バイアホール3bと4bの半径よりも薄く形成することができる。以上の処理により、内層フレキシブル配線板30の両面に、2階高バイアホール用穴3aと4aの半径の4割の厚さの約16μmの厚さの銅めっき層を形成する。
【0041】
それにより、図3(f)のように、その2階高バイアホール用穴3a、4aと、金属柱バイアホール用穴23aに電解銅めっきの層を埋め込んで、2階高バイアホール3b、4bと、ブラインドバイアホール23を形成することで、内層フレキシブル配線板30の上面から下面まで、2階高バイアホール3b、金属柱中間ランド3、ブラインドバイアホール23を接続した第1の金属めっき柱を形成し、内層フレキシブル配線板30の下面から上面まで、2階高バイアホール4b、金属柱中間ランド4、ブラインドバイアホール23を接続した第2の金属めっき柱を形成する。また、ブラインドバイアホール用の穴24aを銅めっきで充填してブラインドバイアホール24を形成する。
【0042】
(工程8)
次に、エッチングレジストパターンで基板の表面の銅めっき層を保護してエッチングし、エッチング後にエッチングレジストを剥離する。
【0043】
その銅めっき層のエッチングにより、図3(g)のように、リジッド部101に、内層フレキシブル配線板30の上面から下面まで、金属柱用ランド3c、2階高バイアホール3b、金属柱中間ランド3、ブラインドバイアホール23、ランド23bを接続した第1の金属めっき柱を形成し、内層フレキシブル配線板30の下面から上面まで、金属柱用ランド4c、2階高バイアホール4b、金属柱中間ランド4、ブラインドバイアホール23、ランド23bを接続した第2の金属めっき柱を形成する。また、更に、リジッド部101の絶縁樹脂フィルム21の表面に、ブラインドバイアホール24に接続するランド24bと、位置合せマーク26のパターンと、補強用金属パターン25と、その他の配線パターンを形成する。
【0044】
特に、補強用金属パターン25は、リジッド部101とフレキ部102の境界部分に形成する。この補強用金属パターン25は、後にフレキ部102とリジッド部101の境界部分に照射する加工用レーザー光Lをその位置で遮断するストッパ層として用いる。
【0045】
工程8では、多層配線したフレキシブル配線板1a上に積層した薄いカバーレイフィルム20の層に埋め込んで形成したブラインドバイアホール23と24を、ビルドアップ層の配線をフレキシブル配線板1aの配線パターンに接続するブラインドバイアホールとして形成し、そのブラインドバイアホールの高さを低くしたので、そのブラインドバイアホール23と24を、そのランド23bと24bの径を小さくして微細に形成できる。そのため、カバーレイの絶縁樹脂フィルム21上に配線パターンを高密度に形成できる効果がある。
【0046】
また、2階高バイアホール3bの上下に形成された金属柱用ランド3cと金属柱中間ランド3とが、内層フレキシブル配線板30の上層のカバーレイフィルム20の層と支持フィルム1の層とを上下から挟んで保持する。また、2階高バイアホール4bの上下に形成された金属柱中間ランド4と金属柱用ランド4cとが、内層フレキシブル配線板30の上層の支持フィルム1の層とカバーレイフィルム20の層とを上下から挟んで保持する。それにより、カバーレイフィルム20が支持フィルム1の樹脂層に強固に結合され、カバーレイフィルム20と支持フィルム1との接合の信頼性を向上させる効果がある。
【0047】
また、ブラインドバイアホール24に内層側で接続するランド2b、ブラインドバイアホール23に内層側で接続する金属柱中間ランド3又は4と、ブラインドバイアホール23と24に外層側で連結するランド23bと24bとが、上下から、その間の絶縁樹脂フィルム21と接着剤層22を挟み込んで保持し、絶縁樹脂フィルム21と接着剤層22とを直接に強固に保持することができる効果がある。
【0048】
特に、カバーレイの絶縁樹脂フィルム21に接する層の銅箔20aから金属柱用ランド3c、4c、ランド23b、24bを形成したので、ランド23b、24bの層とその内層の金属柱中間ランド3又は4又はランド2bの層との上下の間隔を小さくすることができる。それにより、それらの層のランドの間に挟み込む絶縁樹脂フィルム21と接着剤層22とを上下のランドで挟み込んで強く保持することができる効果がある。
【0049】
また、図3(g)の左右の個々のリジッド部101内に第1の金属めっき柱と第2の金属めっき柱とを、混在させることが望ましい。そのように、第1の金属めっき柱と第2の金属めっき柱を1つのリジッド部内に混在させると、リジッド部に加わる機械的ストレスが上下のブラインドバイアホール23をつなぐ金属柱中間ランド3又は4に集中する際に、そのストレスが、フレキシブル配線板1aの下面の金属柱中間ランド3と、上面の金属柱中間ランド4とに、フレキシブル配線板1aの下面と上面に分散される。それにより、リジッド部に加わる機械的ストレスがフレキシブル配線板1aの下面と上面に分散され、リジッド部を機械的ストレスに対して強くできる効果があり、リジッドフレキシブルプリント配線板10の信頼性を高くできる効果がある。
【0050】
(工程9)
次に、図4(h)のように、内層フレキシブル配線板30のカバーレイの絶縁樹脂フィルム21とその上の補強用金属パターン25上に薄剥離フィルム31を設置する。薄剥離フィルム31は、リジッドフレキシブルプリント配線板10のフレキ部102の領域を覆い補強用金属パターン25にかかる領域に設置する。薄剥離フィルム31の端部の位置は、位置合わせマーク26を基準にして、補強用金属パターン25上に後に形成する第1の溝27aと第2の溝27bの位置に、正確に位置を合わせて設置する。
【0051】
薄剥離フィルム31で覆われたフレキ部102は、リジッドフレキシブルプリント配線板10が完成した際に露出させる。薄剥離フィルム31には、フレキ部101の表面のカバーレイフィルム20から剥離がし易いフッ素系樹脂フィルム、PBTフィルム、PP延伸フィルム、PETフィルム、ポリオレフィンフィルム等を用いる。
【0052】
(工程10)
次に、図4(i)のように、内層フレキシブル配線板30の両面に、回路パターン間への埋め込み性、及び積層後の表面平滑性に優れた溶融粘度が1000pois(10000Pa・s)以下のプリプレグ40aと薄銅箔40bを組み合わせ、加熱加圧成型することにより、図4(j)のようにビルドアップ層40dを形成する。
【0053】
(工程11)
次に、図5(k)のように、炭酸ガスレーザー加工装置を使用して、位置合せマーク26を基準にしてレーザー光の照射位置を合わせたレーザー穴あけにより、薄銅箔40bの上からブラインドバイアホール41及び42用の穴41a及び42aを形成する。穴41a及び42aは、70〜150μm程度の直径を持ち、2階高バイアホール3b、4b、ブラインドバイアホール23、24に達する穴を形成する。
【0054】
(工程12)
次に、図5(l)のように、基板の全面に銅めっきするパネルめっき処理を行うことで、基板のブラインドバイアホール41及び42用の穴41a及び42aに銅めっきを充填しブラインドバイアホール41及び42を形成する。
【0055】
(工程13)
次に、図5(m)のように、基板の表面の銅めっき層をエッチングすることで、2階高バイアホール3b、4b、ブラインドバイアホール23、24に連結するブラインドバイアホール41と42のパターンと、加工用レーザーストッパ用銅箔パターン43を含む配線パターンを形成する。
【0056】
これにより、ブラインドバイアホール24が表側のビルドアップ層40dのブラインドバイアホール42に連結し、ブラインドバイアホール42と24から成る柱状の銅めっきが、ビルドアップ層40dに埋め込まれて支えられることで、より強固に支えられる効果がある。
【0057】
内層フレキシブル配線板30よりも下層に形成する加工用レーザーストッパ用銅箔パターン43は、後に、図8(r)のように、リジッドフレキシブルプリント配線板10の上面側から照射した加工用レーザー光Lを、内層フレキシブル配線板30よりも下面側の位置で遮断する位置に加工用レーザーストッパ用銅箔パターン43のパターンを形成する。
【0058】
ここで形成した加工用レーザーストッパ用銅箔パターン43は以下の様に用いる。すなわち、後の工程で、フレキ部102とリジッド部101の間の補強用金属パターン25の上に加工用レーザー光を照射してフレキ部102の表層のビルドアップ層とリジッド部101を切り離す溝を形成する。その際に、その加工用レーザー光を、加工用レーザーストッパ用銅箔パターン43で停止させて、それより下層で補強用金属パターン25までの間のビルドアップ層の樹脂には、加工用レーザーストッパ用銅箔パターン43以外の領域に加工用レーザー光を正確に位置を合わせて照射できる効果がある。
【0059】
(工程14)
次に、工程10から工程13まの処理と同様な処理を繰り返すことで、図6(n)のように、基板の両面の内層側から外層側に、ビルドアップ層50dと60dを順次に形成する。そのビルドアップ層50dには、ブラインドバイアホール41に連結するブラインドバイアホール51を形成し、ビルドアップ層60dには、そのブラインドバイアホール51に連結するブラインドバイアホール61を形成する。
(工程15)
次に、図6(o)のように、リジッド部101にソルダーレジスト70を印刷する。
【0060】
(工程16)
次に、図7(p)の平面図と図7(q)の側面図と図8(r)の側面図のように、位置合せマーク26を基準にして位置を合わせた炭酸ガスレーザーなどの加工用レーザー光Lを、フレキ部102とリジッド部101の境界部分の補強用金属パターン25の上の表層のビルドアップ層から補強用金属パターン25に達するまで照射する。すなわち、加工用
レーザー光Lにより、フレキ部102の表層のビルドアップ層と図7(q)の左側のリジッド部101を切り離す第1の溝27aと、図7(q)の右側のリジッド部101を切り離す第2の溝27bを形成する。
【0061】
この加工は、カバーレイフィルム20の外層側の面に、位置合せマーク26が形成され、その位置合せマーク26を基準にして、補強用金属パターン25にかからせて設置した薄剥離フィルム31の端部に加工用レーザー光Lを正確に位置を合わせて照射することで第1の溝27aと第2の溝27bを形成する。それにより、薄剥離フィルム31が第1の溝27aと第2の溝27bの間のみに残留し、その薄剥離フィルム31がフレキ部の領域上のビルドアップ層にのみ残留するようにできる。そのため、フレキ部102の領域上のビルドアップ層を除去する際に薄剥離フィルム31も完全に除去して、リジッドフレキシブルプリント配線板10に残留させないようにできる効果がある。
【0062】
また、加工用レーザー光Lを基板の上面側と下面側から照射して、基板から、個々のリジッドフレキシブルプリント配線板10を切り出す。例えば、図8(r)のように、基板の上面側から照射した加工用レーザー光Lにより、内層フレキシブル配線板30よりも下面側の位置の加工用レーザーストッパ用銅箔パターン43に達するまで溝を形成し、基板から、リジッドフレキシブルプリント配線板10のフレキ部102を切り出す。
【0063】
(変形例1)
変形例1として、基板から、個々のリジッドフレキシブルプリント配線板10を切り出す外形加工については、機械的な外形ルーター加工で行うこともできる。
【0064】
(工程17)
加工用レーザー光Lで基板に溝を形成した基板から、リジッドフレキシブルプリント配線板10のフレキ部102を切り出した後に、図8(s)及び図9(u)のように、基板の上面から、薄剥離フィルム31、及び、その上の、第1の溝27aと第2の溝27bの間の、ビルドアップ層40d、50d、60dとを引き剥がす。また、リジッドフレキシブルプリント配線板10から、下面の樹脂層を引き剥がす。すなわち、リジッドフレキシブルプリント配線板10の下面の、薄剥離フィルム31、及び、その下の、第1の溝27aと第2の溝27bの間の、基板の外枠部分と連結するビルドアップ層40d、50d、60dを引き剥がす。これにより、リジッドフレキシブルプリント配線板10のフレキ部102を、ビルドアップ層40d、及び50d、60dから引き剥がして、基板の外枠部分から個別のリジッドフレキシブルプリント配線板10を分離することができる。
【0065】
ここで、薄剥離フィルム31は、リジッドフレキシブルプリント配線板10のフレキ部102から剥離されて除去され、薄剥離フィルム31が残留しないので、フレキ部の表面の電気特性が薄剥離フィルム31の材質に影響されない効果がある。
【0066】
また、加工用レーザー光Lで形成した溝に露出したビルドアップ層40d、50d、60dの断面がリジッド部101の端部を成す。本実施形態で製造したリジッドフレキシブルプリント配線板10は、そのリジッド部101の端部の位置を、位置合せマーク26の位置と比較する検査を行うことで、リジッド部101の端部の位置のズレ量を完成品で検査できる効果がある。
【0067】
第1の実施形態では、内層フレキシブル配線板30内に形成した2階高バイアホール3b、4b、ブラインドバイアホール23、24がブラインドバイアホール41及び42と連結し、そのブラインドバイアホール41及び42がリジッド部101に食い込んで強固に保持される。それとともに、ブラインドバイアホール23に狭い間隔を隔てて連結したランド23bと3又は4、バイアホール24に狭い間隔を隔てて連結したランド24bと
2bが、カバーレイフィルム20の絶縁樹脂フィルム21と接着剤層22を、上下から保持する。その構造がカバーレイフィルム20を、支持フィルム1及びリジッド部101のビルドアップ層40dに強固に結合させるので、カバーレイフィルム20と上下の樹脂層との接合の信頼性を高くできる効果がある。
【0068】
特に、内層フレキシブル配線板30の外層側の平坦なカバーレイフィルム20を、その外層に直接形成された補強用金属パターン25により、上下からカバーレイフィルム20を押さえて保持することで、内層フレキシブル配線板30がリジッド部101とフレキ部102の境界部分で小さな曲率半径で急に曲がって大きなストレスがその部分に集中することが無いように補強する効果がある。
【0069】
また、リジッド部101とフレキ部102の境界部分は、補強用金属パターン25の上面に達する加工用レーザー光Lで形成した溝27a、27bで分離されていて、しかも、フレキ部102の表面を覆う薄剥離フィルム31がビルドアップ層とともにフレキ部102から除去されるので、補強用金属パターン25の上面に樹脂が被さらない。そうして、リジッド部101側では、ビルドアップ層の端部が、加工用レーザー光Lで形成した溝27a、27bの側面として補強用金属パターン25上に垂直に形成されて、補強用金属パターン25の上面に樹脂が被さらないため、リジッド部101とフレキ部102の境界部分に柔軟性があり、屈曲の繰り返しへの耐久力が高い効果がある。
【0070】
従来技術では、内層フレキシブル配線板30の上に、ローフロー樹脂のシートを積層することでリジッド部101のビルドアップ層を形成し、そのビルドアップ層を形成する都度、リジッド部101のパターン及びバイアホールを形成する銅めっき処理を行う技術が用いられることが多かった。その場合は、フレキ部102の表面に銅めっきが残留し、フレキ部102の曲げ性を阻害する問題が発生していた。それに対して、本実施形態では、内層フレキシブル配線板30の上にビルドアップ層40d、50d、60dを形成した後にフレキ部102の上のビルドアップ層40d、50d、60dを除去するので、リジッド部101のパターン及びバイアホールを形成する際の銅めっき処理によってフレキ部102の表面に余分な銅めっきが形成されることが無い。そのため、本実施形態には、フレキ部102の表面に銅めっきが残留した場合に発生するフレキ部102の曲げ性を阻害する問題が発生せず、屈曲性に優れたリジッドフレキシブルプリント配線板10が得られる効果がある。
【0071】
<第2の実施形態>
図10〜図12は、本発明の第2の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板10の製造方法を説明する側断面図である。図12(h)に、第2の実施形態の、リジッドフレキシブルプリント配線板10の側断面図を示す。第2の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板10は、内層フレキシブル配線板30の上側の面からフレキシブル配線板1aの下面の金属柱中間ランド3に至る2階高バイアホール3fを有し、一方、内層フレキシブル配線板30の下側の面からは、銅箔付きカバーレイフィルム20の絶縁樹脂フィルム21と接着剤層22を貫通して金属柱中間ランド3に至るブラインドバイアホール23を有する。それにより、内層フレキシブル配線板30の上面から下面まで、2階高バイアホール3f、金属柱中間ランド3、ブラインドバイアホール23を接続した第1の金属めっき柱を有する。
【0072】
同様に、内層フレキシブル配線板30の下側の面からフレキシブル配線板1aの上面の金属柱中間ランド4に至る2階高バイアホール4fを有し、一方、内層フレキシブル配線板30の上側の面からは、銅箔付きカバーレイフィルム20の絶縁樹脂フィルム21と接着剤層22を貫通して金属柱中間ランド4に至るブラインドバイアホール23を有する。それにより、内層フレキシブル配線板30の下面から上面まで、2階高バイアホール4f
、金属柱中間ランド4、ブラインドバイアホール23を接続した第2の金属めっき柱を有する。
【0073】
第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、2階高バイアホール3f及び2階高バイアホール4fが、その最外層部分に金属柱用ランド3g及び4gを有するとともに、2階高バイアホールの中間部分に、中心に空孔3e及び4eが形成された1階ランド3d及び4dを有し、その1階ランド3d及び4dの内層側の2階高バイアホール3f及び4fの直径が、前記1階ランド3d及び4dの空孔3e及び4eの直径である点である。そして、1階ランド3d及び4dの外層側に形成された2階高バイアホールの直径が、内層側の直径より大きい点である。
【0074】
第2の実施形態は、2階高バイアホールの中間部分に、中心に空孔3e及び4eが形成された1階ランド3d及び4dを有することで、2階高バイアホール3fの最外層部分に接続された金属柱用ランド3g及び4gと、2階高バイアホールの中間部分に接続された1階ランド3d及び4dとが、その間の絶縁樹脂フィルム21と接着剤層22を上下から挟み込んで保持し、絶縁樹脂フィルム21と接着剤層22とを直接に強固に保持することができる効果がある。それにより、カバーレイフィルム20の接着剤層22と支持フィルム1の樹脂層との接合の信頼性、及び、カバーレイフィルム20の絶縁樹脂フィルム21とビルドアップ層40dとの接合の信頼性を向上させる効果がある。
【0075】
(製造方法)
第2の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板10の製造方法は、工程1は、図10(a)のように、第1の実施形態の工程1と同じフレキシブル配線板1aを用いる。
(工程2)
工程2では、図10(b)のように、フレキシブル配線板1aの銅箔2aをエッチングすることで、第1の実施形態と同様にフレキシブル配線板1aの両面に配線パターン2を形成し、下面に金属柱中間ランド3を形成し、上面に金属柱中間ランド4を形成し、後に形成するブラインドバイアホール24の位置にランド2bを形成する。第2の実施形態では、更に、フレキシブル配線板1aの上面に、下面の金属柱中間ランド3と対応する位置に、中心に空孔3eが形成された1階ランド3dを形成し、フレキシブル配線板1aの下面に、上面の金属柱中間ランド4と対応する位置に、中心に空孔4eが形成された1階ランド4dを形成する。
【0076】
第2の実施形態の工程3と工程4は、第1の実施形態と同様に、図10(c)、図11(d)の様に基板を形成する。
(工程5)
工程5では、第1の実施形態の工程5と同様に、図11(e)のように、基板の表裏に露出した絶縁樹脂フィルム21の面から、炭酸ガスレーザーやYAGレーザなどのレーザー穴あけ装置を用いて、穴あけ用レーザー光を照射する。それにより、フレキシブル配線板1aの下面の金属柱中間ランド3に、内層フレキシブル配線板30の上側の面から、銅箔付きカバーレイフィルム20の層と支持フィルム1の層を貫通して金属柱中間ランド3に至る2階高バイアホール用穴3aを形成する。第2の実施形態では、穴あけ用レーザー光が1階ランド3dで遮られ、1階ランド3dの空孔3eを通った光のみが、金属柱中間ランド3に達する。それにより、2階高バイアホール用穴3aは、1階ランド3dの下層部分では1階ランド3dの中心の空孔3eの直径になり、その上層部分より直径が小さくなり、直径が階段状の段差を有する2階高バイアホール用穴3aが形成される。
【0077】
同様に、内層フレキシブル配線板30の下側の面から、銅箔付きカバーレイフィルム20の層と支持フィルム1の層を貫通して金属柱中間ランド4に至る2階高バイアホール用
穴4aを形成する。2階高バイアホール用穴4aも2階高バイアホール用穴3aと同様に、穴あけ用レーザー光の周辺光が1階ランド4dで遮られ、1階ランド4dの空孔4eを通った光のみが、金属柱中間ランド4に達する。それにより、2階高バイアホール用穴4aは、1階ランド4dの上層部分では、1階ランド4dの中心の空孔4eの直径になり、その下層部分より直径の小さい、直径が階段状の段差を有する2階高バイアホール用穴4aを形成する。
【0078】
(工程6と工程7)
図11(f)のように、第1の実施形態の工程6と工程7と同様に、2階高バイアホール用穴3a及び4aに電解銅めっきを充填することで、2階高バイアホール3f及び4fと、その他のブラインドバイアホール23及び24を形成する。
【0079】
特に、2階高バイアホール3fは、1階ランド3dの上層部分では、その下層部分より直径が大きい直径が階段状の段差を有する電解銅めっきの金属柱に形成され、上層部分の直径が下層部分の直径より大きい分だけ2階高バイアホール3fが1階ランド3dと広い面積で接続し、2階高バイアホール3fと1階ランド3dの接続信頼性が高い効果がある。
【0080】
(工程8)
次に、エッチングにより配線パターンを形成し、図12(g)のように、リジッド部101に、内層フレキシブル配線板30の上面から下面まで、金属柱用ランド3g、2階高バイアホール3f、金属柱中間ランド3、ブラインドバイアホール23、ランド23bを接続した第1の金属めっき柱を形成し、内層フレキシブル配線板30の下面から上面まで、金属柱用ランド4g、2階高バイアホール4f、金属柱中間ランド4、ブラインドバイアホール23、ランド23bを接続した第2の金属めっき柱を形成する。
【0081】
(工程9から工程17まで)
第1の実施形態の工程8から工程17と同様の工程により、図12(h)のリジッドフレキシブルプリント配線板10を製造する。
【0082】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されず、カバーレイの絶縁樹脂フィルム21上に形成する位置合せマーク26の位置は、リジッド部101に限定されず、フレキ部102に位置合せマーク26を形成することもできる。フレキ部102に位置合せマーク26を形成すると、位置合せマーク26がフレキ部102に露出して、その位置の観察が容易になるので、位置合せマーク26に位置を合わせて形成されたリジッドフレキシブルプリント配線板10各部との位置ずれの測定が容易になる効果がある。例えば、補強用金属パターン25上に溝27aと27bによって垂直に形成されたビルドアップ層40d、50d、60dの端部の側面の位置と位置合せマーク26との相対位置のずれ量の測定が容易になる効果がある。
【符号の説明】
【0083】
1・・・支持フィルム
1a・・・フレキシブル配線板
2・・・配線パターン
2a・・・銅箔
2b、23b、24b・・・ランド
3、4・・・金属柱中間ランド
3a、4a・・・2階高バイアホール用穴
3b、4b、3f、4f・・・2階高バイアホール
3c、4c、3g、4g・・・金属柱用ランド
3d、4d・・・1階ランド
3e、4e・・・空孔
10・・・リジッドフレキシブルプリント配線板
20・・・銅箔付きカバーレイフィルム
20a・・・銅箔
21・・・絶縁樹脂フィルム
22・・・接着剤層
23、24、41、42、51、61・・・・ブラインドバイアホール
23a・・・金属柱バイアホール用穴
24a・・・ブラインドバイアホール用の穴
25・・・補強用金属パターン
26・・・位置合せマーク
27a・・・第1の溝
27b・・・第2の溝
30・・・内層フレキシブル配線板
31・・・薄剥離フィルム
40a・・・プリプレグ
40b・・・薄銅箔
40d、50d、60d・・・ビルドアップ層
43・・・加工用レーザーストッパ用銅箔パターン
101・・・リジッド部
102・・・フレキ部
L・・・加工用レーザー光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質のリジッド部を柔軟性のあるフレキ部を介して連結したリジッドフレキシブルプリント配線板であって、前記リジッド部とフレキ部の領域にまたがる支持フィルムの面に金属柱中間ランドが形成され、前記支持フィルムの両面にカバーレイフィルムが積層されて成る内層フレキシブル配線板を有し、前記内層フレキシブル配線板の両面から前記金属柱中間ランドに達する穴を有し、該穴に金属めっきが充填されて前記金属柱中間ランドと一体に形成した金属めっき柱を有し、前記内層フレキシブル配線板の面に、位置合せマークと、前記フレキ部とリジッド部との境界部分の補強用金属パターンが形成され、前記内層フレキシブル配線板の前記リジッド部の領域にビルドアップ層が積層され、前記位置合せマークに位置が合わせられて、該ビルドアップ層の端部の側面が前記補強用金属パターン上に垂直に形成されていることを特徴とするリジッドフレキシブルプリント配線板。
【請求項2】
請求項1記載のリジッドフレキシブルプリント配線板であって、前記金属柱中間ランドの片面の前記金属めっき柱の部分が、最外層部分に金属柱用ランドを有するとともに、中間部分に1階ランドを有する2階高バイアホールであり、該1階ランドの外層側の前記2階高バイアホールの直径が、内層側の直径より大きいことを特徴とするリジッドフレキシブルプリント配線板。
【請求項3】
硬質のリジッド部を柔軟性のあるフレキ部を介して連結したリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、前記リジッド部の領域と前記フレキ部の領域にまたがる支持フィルムの少なくとも片方の面の前記リジッド部の領域に金属柱中間ランドを形成する工程と、前記支持フィルムの両面に銅箔付きカバーレイフィルムを積層することで内層フレキシブル配線板を製造する工程と、前記内層フレキシブル配線板の両面から穴あけ用レーザー光を照射することで、前記金属柱中間ランドに達する穴を形成する工程と、該穴に金属めっきを充填することで前記金属柱中間ランドと一体に形成した金属めっき柱を形成する工程と、前記内層フレキシブル配線板の面に、位置合せマークと、前記フレキ部とリジッド部との境界部分の補強用金属パターンを形成する工程と、前記内層フレキシブル配線板の前記リジッド部の領域にビルドアップ層を積層する工程と、前記位置合せマークに位置を合わせて、前記フレキ部と前記リジッド部との境界部分の前記ビルドアップ層に加工用レーザー光を照射することで前記ビルドアップ層の端部の側面を前記補強用金属パターン上に垂直に露出させる溝を形成する工程と、前記溝を境にしてフレキ部上の前記ビルドアップ層及び前記薄剥離フィルムを分離して除去する工程を有することを特徴とするリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、
前記金属柱中間ランドを形成する工程において、前記金属柱中間ランドに対向し、中心に空孔を有する1階ランドを形成し、前記金属柱中間ランドに達する穴を形成する工程において、前記金属柱中間ランドから遠い側の面から、前記1階ランドを経由して前記金属柱中間ランドに向けて前記穴あけ用レーザー光を照射することで、前記穴あけ用レーザー光の周辺部を前記1階ランドで遮らせて前記空孔を通った該穴あけ用レーザー光のみを前記金属柱中間ランドに達させることで、前記金属柱中間ランドに達する穴の直径に段差を形成したことを特徴とするリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−234937(P2012−234937A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101747(P2011−101747)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000236931)株式会社トッパンNECサーキットソリューションズ (54)
【Fターム(参考)】