説明

回路基板の製造方法

【課題】金属部分上に形成された硬化膜の除去を達成することにより、金属部分と樹脂部分との高い密着性を確保しながらも、金属露出部分が形成されて電気的導通を容易にとることができる回路基板の製造方法を提供すること。
【解決手段】回路基板の製造方法は、導電部における少なくとも一部の金属部分の表面にシランカップリング剤が硬化されてなる硬化膜が形成された回路基板の製造方法において、前記硬化膜の一部に紫外線を照射する紫外線照射工程と、前記紫外線により照射された被照射部分を除去する被照射部分除去工程とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電部における少なくとも一部の金属部分の表面にシランカップリング剤が硬化されてなる硬化膜が形成された回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板としては、例えば、基板上に電気配線よりなる配線層が形成されたプリント基板などが知られている。
このような回路基板は、具体的には、図4に示すように、基板11上に配線層などの導電部を構成する金属部分12と、表面保護膜(ソルダーレジスト)または層間絶縁膜などの絶縁部を構成する樹脂部分13とを有するものであるが、金属部分12と樹脂部分13との界面における密着性が低いという問題がある。このような事情から、金属部分12と樹脂部分13との間に、例えばシランカップリング剤などの有機ケイ素化合物を主成分とする接着剤が硬化されてなる硬化膜14を形成することにより、金属部分12と樹脂部分13との密着性を高める手段が知られている。
【0003】
また、コンデンサなどの機能素子を内蔵した回路基板においても、当該コンデンサの外表面上に剥き出しとなった電極など金属部分と、当該コンデンサに接する樹脂部分との密着性が低いことから、コンデンサの外表面に有機ケイ素化合物を主成分とする接着剤よりなる硬化膜を形成することが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
このような回路基板においては、他の配線層や実装される素子との電気的な接続を達成するために接続領域が必要とされ、このため、金属部分12の外表面に形成された硬化膜14は、金属部分12における接続領域を露出するように形成することが必要とされる。しかしながら、近年、電子機器等の小型化・高密度化に伴って、回路基板の電気配線も微細なものとなっており、金属部分12と樹脂部分13との界面にのみ硬化膜14を形成することが難しいことから、金属部分12の外表面を覆うように硬化膜14を形成せざるを得なかった。
【0005】
しかしながら、有機ケイ素化合物を主成分として構成される硬化膜14は、フッ化水素などの溶剤による溶解処理であっても除去することが難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−203735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、金属部分上に形成された硬化膜の除去を達成することにより、金属部分と樹脂部分との高い密着性を確保しながらも、金属露出部分が形成されて電気的導通を容易にとることができる回路基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の回路基板の製造方法は、導電部における少なくとも一部の金属部分の表面にシランカップリング剤が硬化されてなる硬化膜が形成された回路基板の製造方法において、
前記硬化膜の一部に紫外線を照射する紫外線照射工程と、
前記紫外線により照射された被照射部分を除去する被照射部分除去工程と
を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の回路基板の製造方法においては、前記硬化膜が形成された金属部分が、配線層を形成するものである構成とすることができる。
【0010】
本発明の回路基板の製造方法においては、製造すべき回路基板が機能素子を内蔵するものであって、
前記硬化膜が形成された金属部分が、前記機能素子の電極を形成するものである構成とすることができる。
【0011】
本発明の回路基板の製造方法においては、前記被照射部分除去工程が、フッ化水素による溶解処理により行われることが好ましい。
【0012】
本発明の回路基板の製造方法においては、前記紫外線照射工程が、光源としてエキシマランプを用いて行われることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の回路基板の製造方法によれば、紫外線照射工程および被照射部分除去工程を有することにより、紫外線により照射された被照射部分が変質して、例えばフッ化水素などの溶剤に可溶となることによって当該被照射部分を除去することが可能となることから、金属部分と樹脂部分との高い密着性を確保しながらも、金属露出部分が形成されて電気的導通を容易にとることができる回路基板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の回路基板の製造方法の一例を示す説明図である。
【図2】本発明に用いられるエキシマランプの構成の一例を示す斜視説明図である。
【図3】図2におけるA−A線断面図である。
【図4】従来における回路基板の構成の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0016】
〔回路基板の製造方法〕
本発明の回路基板の製造方法は、金属部分の表面にシランカップリング剤が硬化されてなる硬化膜が形成された回路基板の製造方法において、硬化膜の少なくとも一部に紫外線を照射する紫外線照射工程と、紫外線により照射された被照射部分を除去する被照射部分除去工程とを有する方法である。
【0017】
以下、本発明の回路基板の製造方法について、当該回路基板の導電部を構成する金属部分が配線層を形成するものである場合を例に挙げて具体的に説明する。
このような回路基板の製造方法としては、例えば下記工程(a)〜工程(d)を有する方法が挙げられる。
【0018】
<工程(a):硬化膜形成工程>
工程(a)においては、基板11上に形成された金属部分12の外表面に硬化膜14が形成される。
具体的には、図1(1)に示すように、基板11上に配線層を形成する金属部分12を作製し、図1(2)に示すように、基板11と接する面(金属部分12の底面)を除く金属部分12の外表面全面にシランカップリング剤を塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を硬化することにより硬化膜14が形成される。
【0019】
基板11としては、例えば金属板上に電気絶縁層を設けてなるものを用いることができる。
【0020】
配線層を形成する金属部分12を作製する方法としては、公知の技術を採用することができ、例えば、基板11上に成膜された銅などの金属薄膜に対して、フォトリソグラフィおよびエッチング処理を施すことにより、当該金属薄膜の一部を除去して金属部分12を形成するサブトラクティブ法、基板11に対してフォトリソグラフィおよびメッキ処理を施すことにより、パターン化させた金属部分12を形成するアディティブ法などを利用することができる。
金属部分12の厚さは、例えば10μm以下である。
【0021】
この工程(a)において用いられるシランカップリング剤は、液状のものであってもゲル状のものであってもよい。
【0022】
シランカップリング剤を塗布する方法としては、公知の技術を採用することができ、例えば、ディップ法、スピンコート法などが挙げられる。
【0023】
硬化膜14を形成する方法としては、特に限定されず、シランカップリング剤の種類に応じて適宜選択することができる。具体的には、シランカップリング剤が液状のものである場合においては、シランカップリング剤を金属部分12の外表面に塗布した後、ホットプレートなどを用いて例えば100〜200℃程度に加熱し、この加熱状態を例えば3〜10分間保持することにより、硬化膜14を形成することができる。また、シランカップリング剤と硫酸などの酸とを混合させて形成されたゲル状のものである場合においては、そのゲル状のものを金属部分12の外表面に塗布した後、常温もしくは200℃程度の温度で30〜60分間保持することにより硬化膜14を形成することができる。
【0024】
シランカップリング剤の具体例としては、例えば、イミドシラン、エポキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、トリフロロプロピルメチジメトキシシラン、トリメチルシリルイソシアネート、ジメチルシリルジイソシアネート、ビニルシリルトリイソシアネート、フェニルシリルトリイソシアネートなどが挙げられる。
このようなシランカップリング剤は、化学構造中に、後述する樹脂部分13を構成する材料樹脂の化学構造の一部を含むものであることが好ましい。これにより、樹脂部分13と硬化膜14とに高い親和性が得られる。
【0025】
シランカップリング剤を塗布する際には、当該シランカップリング剤と共に、キシレン、トリクロロエチレン、エチルベンゼンなどの有機溶剤と混合して用いてもよい。また、シランカップリング剤を単独で用いる場合においては、Siに結合している分子がアルキル基よりも分子の長さが長く、且つ、アルキル基よりも加水分解反応を起こしにくいものや、ベンゼン環を含むものであれば用いることができる。
【0026】
硬化膜14の膜厚は、例えば10μm以下である。
【0027】
<工程(b):孔部形成工程>
工程(b)においては、回路基板の絶縁部を構成する、孔部21が設けられた樹脂部分13を形成することにより、硬化膜14の露出領域14aが形成される。
具体的には、図1(3)に示すように、硬化膜14に接して基板11全面が覆われるように樹脂層13Aを形成し、図1(4)に示すように、この樹脂層13Aの一部分、具体的には、少なくとも金属露出部分22を形成すべき部分を含む金属部分12における領域の直上部分に孔部21を設けることにより樹脂部分13が形成され、図1(5)に示すように、硬化膜14の露出領域14aが形成される。
【0028】
樹脂層13Aを構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂材料などが挙げられる。
【0029】
樹脂層13Aを形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、樹脂層13Aを構成する材料として熱硬化性樹脂を用いる場合においては、液状の熱硬化性樹脂を硬化膜14が形成された基板11全面に塗布し、加熱することにより硬化されて樹脂層13Aを形成することができる。
樹脂層13Aの厚さは、例えば10μm以上である。
【0030】
孔部21を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、レーザを照射することにより、レーザ照射部分が除去されて孔部21を形成することができる。
孔部21の形成方法において用いられるレーザとしては、例えば、炭酸ガスレーザ、紫外線レーザ、エキシマレーザなどが挙げられる。
【0031】
この工程(b)においては、必要に応じて、孔部21内に残留する樹脂を溶剤により洗浄する処理が行われてもよい。
孔部21内の残留樹脂を洗浄する溶剤としては、例えば、アセトン、ジエチルエーテル、トリクロロエチレンなどが挙げられる。
【0032】
なお、工程(b)においては、孔部21が設けられた樹脂部分13が得られればよく、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)技術やフォトリソグラフィ技術などの公知の技術を採用することもできる。
【0033】
<工程(c):紫外線照射工程>
工程(c)においては、硬化膜14の露出領域14aの一部に紫外線を照射することにより、被照射部分20が形成される。
具体的には、図1(6)に示すように、硬化膜14の露出領域14aの一部に例えばエキシマランプ50を用いて紫外線を照射し、図1(7)に示すように、硬化膜14における紫外線の照射された被照射部分20が形成される。
この工程(c)を行うことにより、硬化膜14における紫外線が照射された被照射部分20は変質する。
【0034】
エキシマランプ50としては、硬化膜14を変質し得る紫外線、例えば波長300nm以下の紫外線を放射するものを用いることができる。
【0035】
図2に本発明に用いられるエキシマランプの構成の一例を示す斜視説明図を示す。
このエキシマランプ50は、全体が扁平な直方体の箱状の放電容器51を有し、当該放電容器51の内部には、図3に示すように、密閉された放電空間Sが形成されている。
【0036】
放電容器51の外表面における6つの面のうち最も大きい面積を有する一面には、その周辺領域を除く中央領域に網状の一方の電極521が設けられ、この一面に対向する他面には、その周辺領域を除く中央領域に網状の他方の電極522が設けられており、これらの一対の電極521,522は、放電容器51における一面および他面を構成する壁部並びに放電空間Sを介して対向配置されている。
【0037】
放電容器51の内表面には、紫外線を反射する例えばシリカ膜よりなる反射膜53が設けられている。この反射膜53は、一方の電極521側の放電容器51の内表面に設けられており、放電容器51の長尺方向に沿って配置されている。
【0038】
放電容器51は、放射される紫外線を透過し得るもの、例えば石英ガラスにより構成されている。
【0039】
放電容器51の放電空間Sには、発光ガスが封入されている。発光ガスとしては、例えばキセノンガスなどが挙げられる。
【0040】
電極521,522は、例えば銅と低融点ガラスとを混合した導電性ペーストを放電容器51の外表面に網状に塗布して焼成することにより形成することができる。
【0041】
エキシマランプ50の一対の電極521,522には、高周波電源54が接続され、高周波・高電圧が印加されることにより、放電容器51の内部で発光ガスが励起され、エキシマ放電が生じ、このエキシマ放電により紫外線を放射する。
放電容器51の放電空間Sに封入された発光ガスが、例えばキセノンガスである場合においては、波長172nmにピーク波長を有する真空紫外光が放射される。この真空紫外光は、図3に示すように、反射膜53によって反射され、放電容器51の底面を透過して外方へ放射される。
【0042】
工程(c)において、このようなエキシマランプ50により照射される紫外線の照射照度は、例えば20〜290mW/cm2 であることが好ましい。また、照射時間は、硬化膜14の膜厚、エキシマランプ50の照度によっても異なるが、例えば5〜60分間とされる。
【0043】
また、工程(c)においては、紫外線を照射する光源としてエキシマランプの他にも、硬化膜を変質させることのできるものであれば種々のランプを用いることができる。具体的には、波長300nm以下の紫外線波長を有するランプ、例えば波長254nmにピーク波長を有する水銀ランプなどが挙げられる。
なお、波長が短くなるに従って、光のエネルギーが高くなり、光に対する物質の吸収係数も高くなるため、高い効率で反応を促すことができるため、短い波長を有するランプを用いることが好ましい。
【0044】
<工程(d):被照射部分除去工程>
この工程(d)においては、図1(8)に示すように、紫外線により照射された被照射部分20を除去することにより金属露出部分22が形成される。
【0045】
被照射部分20を除去する方法としては、例えば、溶剤により溶解する方法が挙げられる。溶剤としては、被照射部分20を溶解することのできるものであれば特に限定されないが、例えばフッ化水素またはその水溶液(フッ化水素酸)などが挙げられる。
【0046】
工程(d)が溶剤による溶解処理により行われる場合においては、必要に応じて、被照射部分22に残留する溶剤を例えば純水などにより超音波洗浄する処理が行われてもよい。
【0047】
以上のような製造方法によれば、紫外線照射工程(c)および被照射部分除去工程(d)を有することにより、紫外線により照射された被照射部分20が変質して、例えばフッ化水素などの溶剤に可溶となることによって当該被照射部分20を除去することが可能となることから、金属部分12と樹脂部分13との高い密着性を確保しながらも、金属露出部分22が形成されて電気的導通を容易にとることができる回路基板を得ることができる。
【0048】
以上、本発明の回路基板の製造方法について、回路基板の金属部分が配線層を形成する場合を例に挙げて具体的に説明したが、本発明によれば、製造すべき回路基板がコンデンサなどの機能素子を内蔵するものであって、金属部分がこの機能素子の電極を形成するものである場合においても、同様の効果を得ることができる。
【0049】
以下、本発明の回路基板の製造方法によるシランカップリング剤の硬化膜の除去効果を示す実験を行った。
【0050】
〔実験例1〕
銅よりなる金属板を用意し、この金属板上の一部にアルミニウムテープを貼付した。アルミニウムテープが貼付された金属板上に、シランカップリング剤「KBE403」(信越シリコーン社製)と有機溶剤(トリクロロエチレン、キシレンおよびエチルベンゼンの混合物)との混合溶液を用いてディップ法により、塗布膜を形成した。なお、ディップ法による引き上げ速度を約1cm/secとした。次に、塗布膜が形成された金属板をホットプレート上に配置し、150℃で60分間加熱し、塗布膜の有機溶剤を除去し、金属板上に硬化膜を形成した。ここで、アルミニウムテープを外し、形成された硬化膜の膜厚(t1 )を測定した。そして、硬化膜の一部にエキシマランプを用いて、照射照度を300mW/cm2 、エキシマランプと硬化膜との離間距離を2mmとして、紫外線を15分間照射した。その後、紫外線が照射された被照射部分にフッ化水素の濃度が46〜48質量%であるフッ化水素酸を滴下し、2時間放置した。その後、純水により超音波洗浄を行い、フッ化水素酸を除去し、被照射部分の膜厚(t2 )をレーザーマイクロ顕微鏡「VK−8700」(KEYENCE社製)を用いて測定した。
なお、エキシマランプとしては、波長172nmにピーク波長を有し、半値幅が約14nmのものを用いた。また、積算照射量は270J/cm2 であった。
【0051】
〔実験例2〕
実験例1において、エキシマランプの照射照度を80mW/cm2 、エキシマランプと硬化膜との離間距離を30mmに変更したことの他は同様にして実験を行った。
【0052】
〔実験例3〕
実験例1において、エキシマランプによる紫外線照射を行わなかったことの他は同様にして実験を行った。
【0053】
実験例1〜実験例3におけるエッチングされた厚みt(t1 −t2 )を表1に示す。
【0054】
【表1】

【0055】
以上の結果より、実験例1および実験例2については、紫外線照射工程を経ることにより、硬化膜が除去されることが確認された。また、エッチングされた厚みtは、積算照射量に依存することが確認された。
また、実験例3については、紫外線照射工程を経ていないことにより、硬化膜が除去されないことが確認された。
【0056】
このような結果が得られた理由は、以下のように推測される。
硬化膜を形成する架橋反応において、シランカップリング剤と共に用いられる有機溶剤は、ある程度揮発するものの一部残存する。形成された硬化膜は、この残存した有機溶剤の有機部分を介して−Si−O−が化学的に結合していると考えられる。一般的に、フッ化水素は、純粋なガラス(SiO2 )であれば溶解することができるが、有機部分を介して化学結合されたシランカップリング剤の硬化膜は、フッ化水素によっても溶解すること困難となる。しかし、このような硬化膜に紫外線を照射することにより、当該紫外線が有機部分の結合エネルギーよりも高いエネルギーを有していることから、有機部分の分解等がなされ、硬化膜が変質する。これにより、有機成分が揮発し、硬化膜が結晶化してガラス質に近づき、フッ化水素によって溶解が可能となったと推測される。
【0057】
なお、上記においては、シランカップリング剤と共に有機溶剤を用いる場合についての説明をしたが、シランカップリング剤を単独で用いる場合であっても、当該シランカップリング剤に有機溶剤の成分が含まれていれば、上記と同様の理由により、硬化膜をフッ化水素によって溶解することができると推測される。このような単独で用いることができるシランカップリング剤としては、例えば、Siに結合している分子がアルキル基よりも分子の長さが長く、且つ、アルキル基よりも加水分解反応を起こしにくいものや、ベンゼン環を含むものなどが挙げられる。
【符号の説明】
【0058】
11 基板
12 金属部分
13 樹脂部分
13A 樹脂層
14 硬化膜
14a 露出領域
20 被照射部分
21 孔部
22 金属露出部分
50 エキシマランプ
51 放電容器
53 反射膜
54 高周波電源
521,522 電極
S 放電空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電部における少なくとも一部の金属部分の表面にシランカップリング剤が硬化されてなる硬化膜が形成された回路基板の製造方法において、
前記硬化膜の一部に紫外線を照射する紫外線照射工程と、
前記紫外線により照射された被照射部分を除去する被照射部分除去工程と
を有することを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項2】
前記硬化膜が形成された金属部分が、配線層を形成するものであることを特徴とする請求項1に記載の回路基板の製造方法。
【請求項3】
製造すべき回路基板が機能素子を内蔵するものであって、
前記硬化膜が形成された金属部分が、前記機能素子の電極を形成するものであることを特徴とする請求項1に記載の回路基板の製造方法。
【請求項4】
前記被照射部分除去工程が、フッ化水素による溶解処理により行われることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
【請求項5】
前記紫外線照射工程が、光源としてエキシマランプを用いて行われることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の回路基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−151161(P2012−151161A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6703(P2011−6703)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】