説明

基板搬送装置、及び基板搬送システム

【課題】製造工程の効率化を図れる基板搬送装置を提供することにある。
【解決手段】処理チャンバ12にガラス基板Bを搬出入する転送ロボット20は、ベース部21に対して旋回可能に支持されたアーム部22と、ガラス基板Bを保持するテーブル部26を備え、アーム部26に対して回転機構25を介してテーブル部26が連結されている。回転機構25によりテーブル部26を回転させることにより、テーブル部26上に載置されるガラス基板Bの処理チャンバ12に対する搬入向きを変えることができる。これにより、特定の処理工程で不良が発生しているか否かを確認したいときに、処理チャンバ12に搬入されるガラス基板Bの向きを容易に変えることができる。したがって、不良発生工程を迅速かつ容易に特定することができ、製造工程の効率化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板搬送装置、及び基板搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイに使用される液晶パネルは、大まかには、間に所定のギャップを空けた状態で張り合わされた一対のガラス基板と、両ガラス基板の間に充填される液晶とで構成される。両ガラス基板のうち一方のガラス基板には、例えばTFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)等のスイッチング素子が、他方のガラス基板には、R,G,Bの画素電極がそれぞれマトリックス状に設けられている。
【0003】
TFTの形成は、ガラス基板上に膜を形成する成膜工程と、形成された膜をパターニングするフォトリソグラフィー工程とを繰り返すことにより行われる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−283151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、液晶パネルには、輝点や黒点等の点欠陥が生じることがある。ここで、常に同一の位置に欠陥が生じる場合には、工程中に何らかの不具合が存在することが考えられる。しかし、連続して行われる複数の工程のうちどの工程で不具合が生じているのかを特定することは、必ずしも容易ではない。このため、不良発生に迅速に対応できず、歩留まりの向上が困難となる場合がある。
【0005】
欠陥発生の原因となっている工程を特定するために、ガラス基板の向きを変えても影響がない工程において、ガラス基板を処理装置へセットする向きを変化させて処理を行うといった方法も採用されている。この方法では、もしガラス基板の向きの変化に対応して欠陥の発生位置が移動していれば、その工程が原因であると判定できる。しかし、ガラス基板のサイズが大きくなれば、向きを変える操作そのものが容易ではない。また、複数の工程が直列に接続され、各工程間で基板を搬送する搬送装置に基板の向きを変えるための機構を備えないインラインシステムでは、そもそも基板の向きを変えることが不可能である。このため、製造工程の効率化に限界があった。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造工程の効率化を図れる基板搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基板搬送装置は、基板を、この基板を処理する処理部に対して搬入または搬出する基板搬送装置であって、基台に対して旋回可能に支持されたアーム部と、前記基板を保持する保持部と、前記アーム部に対して前記保持部を回転可能に連結する回転機構と、を備えるものである。
ここで、「回転可能」とは、必ずしも360°回転可能である必要はなく、処理部に対して基板の挿入向きを変えることが可能な程度の回転が可能とされていれば良い。
【0008】
また、本発明の基板処理システムは、基板を処理する処理部と、前記処理部に対して前記基板を搬入する搬入側基板搬送装置と、前記処理部に対して前記基板を搬出する搬出側基板搬送装置と、を備え、前記第1の基板搬送装置および前記第2の基板搬送装置が、基台に対して旋回可能に支持されたアーム部と、前記基板を保持する保持部と、前記アーム部に対して前記保持部を回転可能に連結する回転機構と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、処理装置へセットする向きを変化させて処理を行うことにより、その処理工程で不良が発生しているか否かを確認したいときに、基板搬送装置に備えられる回転機構を使用することによって、処理部に搬入されるガラス基板の向きを容易に変えることができる。したがって、不良発生工程を迅速かつ容易に特定することができ、製造工程の効率化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<第1実施形態>
以下、本発明を具体化した実施形態について、図1〜図12を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態では、液晶パネルに使用されるガラス基板Bの表面にTFTを形成する工程に本発明を適用する場合を例に取り説明する。
【0011】
図1には、本実施形態のチャンバシステム1を示す。このチャンバシステム1は、中央に位置する転送チャンバ11の周囲に、TFT形成の各工程に対応する処理チャンバ12(本発明の処理部に該当する)が備えられたものである。5つの処理チャンバ12はそれぞれガラス基板Bの洗浄処理を行う洗浄チャンバ12A、成膜処理を行う成膜チャンバ12B、レジストの塗布および露光・現像処理を行うレジスト形成チャンバ12C、エッチング処理を行うエッチングチャンバ12D、およびレジスト除去処理を行う剥離チャンバ12Eであって、それぞれの処理を行うための処理装置が内部に設置されている。なお以下では各処理チャンバ12を区別する場合には、符号に添え字A、B、C、D、Eを付し、区別せずに総称する場合には、符号に添え字を付さないものとする。
【0012】
転送チャンバ11の内部には、各処理チャンバ12間でガラス基板Bを転送する転送ロボット20(本発明の基板搬送装置に該当する)が配置されている。図2には、転送ロボット20の斜視図を示した(なお、テーブル部26については、アーム23Aとの接続構造が分かるよう一部を破断して示してある)。この転送ロボット20は、ベース部21(本発明の基台に該当する)と、このベース部21に連結されたアーム部22と、このアーム部22に連結されてガラス基板Bを下側から支持するテーブル部26(本発明の保持部に該当する)とを備える(図2参照)。アーム部22は、長尺板状に形成された複数のアーム23が長さ方向に連ねられ、隣り合うアーム23の端部同士が回動軸24を介して互いに回動可能に連結された多関節型のものである。べース部21の内部には、駆動源であるモータ(図示せず)が内蔵されており、このモータによってそれぞれの回動軸24が回転駆動されることにより、アーム部22がベース部21に対して旋回するようになっている。
【0013】
最も先端側(ベース部21から離れた側)のアーム23Aの先端部上面には、回転機構25を介してテーブル部26が連結されている。回転機構25は、テーブル部26をテーブル面内で360°回転させることが可能なものであって、例えばステッピングモータを利用したもの、モータによりギアを回転させる機構を備えるもの等、一般的なロータリーアクチュエータを使用することができる。テーブル部26は、H型に形成されたフレーム部27上に、搬送するガラス基板Bよりも一回り小さな矩形の板状に形成された載置板28が固定されたものであって、載置板28の中心位置が回転軸となるようにして回転機構25に連結されている。
【0014】
この転送ロボット20は、一の処理チャンバ12でのガラス基板Bの処理が終了すると、その処理チャンバ12からガラス基板Bを搬出し、次の工程を行う処理チャンバ12へそのガラス基板Bを搬入する役割を果たす。すなわち、各転送ロボット20は、ある工程から次の工程へガラス基板Bを受け渡す際に、上流側の処理チャンバ12に対しては搬出側基板搬送装置として、下流側の処理チャンバ12に対しては搬入側基板搬送装置として働く。
【0015】
チャンバシステム1の転送チャンバ11は、ガラス基板Bの搬入・搬出のためのロードロック室13を介してカセットステーション14に接続されている。ロードロック室13は、転送チャンバ11および処理チャンバ12を大気に開放することなくガラス基板Bの搬出入を行うことを目的としたもので、転送チャンバ11との間がゲートバルブで仕切られた周知の構成のものである。また、カセットステーション14の内部には、処理前および処理後のガラス基板Bを収めるカセットC1、C2、およびこれらのカセットC1、C2とロードロック室13との間でガラス基板Bを受け渡すステーション側ロボット15が備えられている。ステーション側ロボット15は、基本的に転送ロボット20と同様の構成であって、テーブル部16が回転機構を介さずに直接にアーム部17に接続されており、回転可能とされていない点でのみ異なっている。
【0016】
次に、上記のようなチャンバシステム1を用いてガラス基板B上にTFTを形成する工程について説明する。
【0017】
まず、ステーション側ロボット15により、転送チャンバ11へのガラス基板Bの搬入を行う。ステーション側ロボット15は、処理前基板用のカセットC1から処理前のガラス基板Bを一枚取り、ロードロック室13に送り込む。次に、転送ロボット20が、ロードロック室13に搬入されたガラス基板Bをテーブル部16上に載置するようにして支持し、チャンバシステム1の転送チャンバ11内に引き込む。
【0018】
転送チャンバ11内に送り込まれたガラス基板Bは、洗浄チャンバ12A、成膜チャンバ12B、レジスト形成チャンバ12C、エッチングチャンバ12D、剥離チャンバ12Eに順次送られ、洗浄処理、成膜処理、レジスト形成処理、エッチング処理及びレジスト除去処理が施される。各処理チャンバ12間でのガラス基板Bの受け渡しは、転送ロボット20によって行われる。
【0019】
転送ロボット20によるガラス基板Bの搬出入は各処理チャンバ12について同様に行われるので、以下には、成膜チャンバ12Bへガラス基板Bの搬出入動作を例に取り説明する。なお、転送ロボット20の動きを説明する際には、アーム部22を伸ばした際にテーブル部26が移動する方向(テーブル部26においてアーム23Aが延出している側と逆側)を進行方向前方とする。
【0020】
転送チャンバ11内において、転送ロボット20は、モータの駆動によりアーム部22を操作し、テーブル部26において進行方向先端が成膜チャンバ12Bに向かうようにテーブル部26の向きを変える(図3)。次いで、転送ロボット20は、アーム部22を伸ばしてテーブル部26を成膜チャンバ12B内に進入させ、ガラス基板Bを成膜チャンバ12B内に搬入する(図4)。
【0021】
成膜チャンバ12Bでの処理が終了したら、転送ロボット20は、アーム部22を伸ばし、テーブル部26を成膜チャンバ12B内に進入させる。そして、テーブル部26によってガラス基板Bを下側から支持する。次いで、アーム部22を折り畳むようにしてテーブル部26を進行方向後方へ引き戻し、ガラス基板Bを成膜チャンバ12Bから転送チャンバ11へ搬出する(図5)。次いで、上記した成膜チャンバBへの搬入時と同様にして、ガラス基板Bを次のレジスト形成チャンバ12Cに搬入する(図6)。
【0022】
このようにして、ガラス基板Bを各処理チャンバ12に順次搬送して処理を行い、TFTを形成する。全ての処理工程が終了したら、転送ロボット20は、ガラス基板Bをロードロック室13に送り出す。ステーション側ロボット15は、送り出されたガラス基板Bを受け取ってカセットステーション14に搬出し、処理済基板用のカセットC2に収める。
【0023】
さて、工程中の何らかの不具合に起因して、形成されたTFTに欠陥Dが生じる場合がある。本実施形態では、成膜工程における不具合が原因で欠陥Dが発生した場合を例示している(図5〜図7)。図5には、成膜工程を終えて成膜チャンバ12Bから搬出されたガラス基板Bにおいて、進行方向先端を上として見た場合に、左下位置に欠陥Dが発生している様子を示す。この欠陥は、その後の工程に引き継がれ、最終的に完成したTFTの欠陥となる。図7には、処理後のガラス基板BをTFT形成プロセスにおける進行方向先端を上として見た場合に、左下位置に欠陥Dが存在している様子を示している。
【0024】
このような場合に、不具合が生じている工程を迅速に特定するために、ガラス基板Bの向きを変えても影響がない工程において、ガラス基板Bを処理装置へセットする際に通常とは向きを変えて処理を行う。本実施形態では、転送ロボット20においてテーブル部26を回転させる回転機構25が備えられているから、この回転機構25を利用してガラス基板Bの処理装置へのセット方向を変えることができる。以下には、成膜工程においてガラス基板Bのセット方向を変える場合を例にとり説明する。
【0025】
洗浄チャンバ12Aにおける洗浄処理が終了すると、転送ロボット20はガラス基板Bを洗浄チャンバ12Aから搬出する(図8の白太矢印)。次いで、転送チャンバ11内で、転送ロボット20は、アーム部22を操作し、テーブル部26の進行方向先端が成膜チャンバ12Bに向かうようにテーブル部26の向きを変える(図8)。次いで、回転機構25を駆動してテーブル部26を板面方向に沿って180°回転させ(図8の細矢印参照)、ガラス基板Bにおいてそれまで進行方向後方を向いていた側が、進行方向前方を向くようにする。次に、アーム部22を伸ばして、テーブル部26を成膜チャンバ12B内に進入させ、ガラス基板Bを成膜チャンバ12B内に搬入する(図8および図9の黒太矢印参照)。
【0026】
成膜チャンバ12Bでの処理が終了したら、転送ロボット20は、上記と同様にしてガラス基板Bを成膜チャンバ12Bから転送チャンバ11へ搬出する(図10の黒太矢印参照)。図10には、成膜工程を終えて成膜チャンバ12Bから搬出されたガラス基板Bにおいて、進行方向先端を上として見た場合に、左下位置に欠陥Dが発生している様子を示す(なお、本工程でいう進行方向とは、ガラス基板Bを180°回転させた際の進行方向、すなわち、本来の進行方向とは逆方向であって、回転操作を行っていない場合の進行方向を基準にすれば右上位置に欠陥Dが発生していることとなる)。
【0027】
次いで、転送ロボット20は、アーム部22を操作し、テーブル部26の進行方向先端がレジスト形成チャンバ12Cに向かうようにテーブル部26の向きを変える(図10)。次いで、再び回転機構25を駆動してテーブル部26を板面方向に沿って180°回転させ(図11の細矢印参照)、ガラス基板Bにおいてそれまで進行方向後方を向いていた側が、進行方向前方を向くようにする。すなわち、ガラス基板Bの向きを本来の向きに戻す。この状態で、アーム部22を伸ばして、ガラス基板Bをレジスト形成チャンバ12C内に搬入する(図11の白太矢印参照)。
このようにして、ガラス基板Bを各処理チャンバ12に順次搬送して処理を行い、TFTを形成する。
【0028】
処理後のガラス基板Bを図12に示す。このガラス基板Bの場合には、欠陥発生の原因となった成膜工程において、成膜チャンバ12Bへの搬入向きを180°回転させているので、本来の(回転操作をしていない場合の)進行方向先端を上として見た場合に、右上位置に欠陥Dが移動している(なお、ガラス基板Bの回転操作を行わない場合に欠陥が発生するはずの位置を鎖線で示している)。このように、欠陥Dが本来発生するはずの位置から、ガラス基板Bの回転角度分だけ移動していれば、回転操作を行った工程で不具合が発生していることが特定できる。
【0029】
以上のように本実施形態によれば、ガラス基板Bの処理チャンバ12への搬入向きを変化させることにより、その処理工程で不良が発生しているか否かを確認したいときに、転送ロボット20に備えられる回転機構25を使用することによって、ガラス基板Bの向きを容易に変えることができる。したがって、不良発生工程を迅速かつ容易に特定することができ、製造工程の効率化を図ることができる。
【0030】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態について、図13および図14を参照しつつ説明する。本実施形態の第1実施形態との主たる相違点は、複数の処理チャンバ31が直列的に配されている点にある。なお、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0031】
本実施形態のチャンバシステム30を図13に示す。このチャンバシステム1は、複数の処理チャンバ31が直列に配されたチャンバシステムである。5つの処理チャンバ31は、それぞれガラス基板Bの洗浄を行う洗浄チャンバ31A、成膜処理を行う成膜チャンバ31B、レジストの塗布および露光・現像処理を行うレジスト形成チャンバ31C、エッチング処理を行うエッチングチャンバ31D、およびレジスト除去処理を行う剥離チャンバ31Eであって、それぞれの処理を行うための処理装置が内部に設置されている。なお以下では各処理チャンバ31を区別する場合には、符号に添え字A、B、C、D、Eを付し、区別せずに総称する場合には、符号に添え字を付さないものとする。
また、最上流側の洗浄チャンバ31Aの搬入側、および最下流側の剥離チャンバ31Eの搬出口側には、それぞれロードロック室32が配されている。
【0032】
隣り合う処理チャンバ31、および処理チャンバ31A、31Eとロードロック室32は転送室33を介して接続されており、その内部には第1実施形態と同様の構成の転送ロボット20が配置されている。各転送ロボット20は、工程の上流側の処理チャンバ31から処理済みのガラス基板Bを搬出し、下流側の処理チャンバ31に搬入する。すなわち、各転送ロボット20は、上流側の処理チャンバ31に対しては搬出側基板搬送装置として、下流側の処理チャンバ31に対しては搬入側基板搬送装置として働く。
【0033】
本実施形態においても、転送ロボット20は回転機構25を備えている。したがって、不具合が生じている工程を迅速に特定するために、ガラス基板Bの向きを変えても影響がない工程において、ガラス基板Bを処理装置へセットする際に通常とは向きを変えて処理を行うことができる。
【0034】
図14には、チャンバシステム30において、成膜チャンバ31Bと、その上流側および下流側の転送室33とを含む部分を拡大した図を示した。例えば、成膜工程においてガラス基板Bのセット方向を変える場合には、まず、洗浄チャンバ31Aにおける洗浄処理が終了すると、この洗浄チャンバ31Aの下流側に接続されている転送室33に設置されている転送ロボット20が、ガラス基板Bを洗浄チャンバ31Aから転送室33へ搬出する。すなわち、転送ロボット20は、アーム部22を伸ばし、テーブル部26を洗浄チャンバ31A内に進入させる。そして、テーブル部26によってガラス基板Bを下側から支持する。次いで、アーム部22を折り畳むようにしてテーブル部26を進行方向後方へ引き戻し、ガラス基板Bを洗浄チャンバ31Aから転送室33へ搬出する。
【0035】
ガラス基板Bが転送室33に搬出されると、転送ロボット20は、アーム部22を操作し、テーブル部26の進行方向先端が成膜チャンバ31Bに向かうようにテーブル部26の向きを変える。次いで、回転機構25を駆動してテーブル部26を板面方向に沿って180°回転させ(図14の実線矢印参照)、ガラス基板Bにおいてそれまで進行方向後方を向いていた側が、進行方向前方を向くようにする。次いで、アーム部22を伸ばして、テーブル部26を成膜チャンバ31B内に進入させ、ガラス基板Bを成膜チャンバ31B内に搬入する。
【0036】
成膜チャンバ31Bでの処理が終了したら、この成膜チャンバ31Bの下流側に接続されている転送室33に設置されている転送ロボット20が、上記と同様にしてガラス基板Bを成膜チャンバ31Bから転送室33へ搬出する。次いで、この転送ロボット20は、アーム部22を操作し、テーブル部26の進行方向先端がレジスト形成チャンバ31Cに向かうようにテーブル部26の向きを変える。次いで、再び回転機構25を駆動してテーブル部26を板面方向に沿って180°回転させ(図11の破線矢印参照)、ガラス基板Bにおいてそれまで進行方向後方を向いていた側が、進行方向前方を向くようにする。すなわち、ガラス基板Bの向きを本来の向きに戻す。この状態で、アーム部22を伸ばして、ガラス基板Bをレジスト形成チャンバ31C内に搬入する。
【0037】
処理後のガラス基板Bにおいて、欠陥が本来発生するはずの位置から、ガラス基板Bの回転角度分だけ移動していれば、回転操作を行った工程で不具合が発生していることが特定できる。
【0038】
このように、本実施形態においても、ガラス基板Bの処理チャンバ31への搬入向きを変化させることにより、その処理工程で不良が発生しているか否かを確認したいときに、転送ロボット20に備えられる回転機構25を使用することによって、ガラス基板Bの向きを容易に変えることができる。したがって、不良発生工程を迅速かつ容易に特定することができ、製造工程の効率化を図ることができる。また、回転機構25を備える転送ロボットが、調べたい処理チャンバ31(上記の場合は成膜チャンバ31B)の搬入側、搬出側双方に備えられているから、搬入時のガラス基板Bの回転操作、および、搬出時にガラス基板Bの向きを元に戻す操作の双方を容易に行うことができる。
【0039】
<他の実施形態>
本発明の技術的範囲は、上記した実施形態によって限定されるものではなく、例えば、次に記載するようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、TFTの形成工程に本発明を適用する場合を例に取り説明したが、TFTの形成工程に限らず、カセットまたは前工程から被処理材を受け取り次工程へ渡すための基板搬送装置一般に本発明を適用可能である。
【0040】
(2)上記実施形態では、成膜工程においてガラス基板Bの搬入向きを変える場合について説明したが、成膜工程に限らず、ガラス基板の向きを変えても差し支えない工程において本発明を適用できる。例えば、上記実施形態のような成膜→フォトリソグラフィを経るTFT形成工程であれば、パターン形成に関わるレジスト形成チャンバ12C以外でガラス基板の搬入向きを変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第1実施形態のチャンバシステムの概略上面図
【図2】第1実施形態の転送ロボットの斜視図
【図3】第1実施形態において転送ロボットによる成膜チャンバへのガラス基板の搬入前の様子を示す部分拡大概略上面図
【図4】第1実施形態において転送ロボットにより成膜チャンバへガラス基板を搬入する様子を示す部分拡大概略上面図
【図5】第1実施形態において転送ロボットにより成膜チャンバからガラス基板を搬出する様子を示す部分拡大概略上面図
【図6】第1実施形態において転送ロボットにより成膜チャンバへのガラス基板を搬入する様子を示す部分拡大概略上面図
【図7】ガラス基板を回転操作しない場合におけるTFT形成処理後のガラス基板Bを示す上面図
【図8】第1実施形態において転送ロボットにより成膜チャンバへ搬入前のガラス基板を回転操作する様子を示す部分拡大概略上面図
【図9】第1実施形態において回転操作後のガラス基板を転送ロボットにより成膜チャンバへ搬入する様子を示す部分拡大概略上面図
【図10】第1実施形態において転送ロボットにより成膜チャンバからガラス基板を搬出する様子を示す部分拡大概略上面図
【図11】第1実施形態において転送ロボットにより成膜チャンバへ搬出後のガラス基板を回転操作する様子を示す部分拡大概略上面図
【図12】ガラス基板を回転操作した場合におけるTFT形成処理後のガラス基板Bを示す上面図
【図13】第2実施形態のチャンバシステムの概略上面図
【図14】図13の破線円内の拡大図
【符号の説明】
【0042】
1、30…チャンバシステム(基板処理システム)
12、31…処理チャンバ(処理部)
20…転送ロボット(基板搬送装置)
21…ベース部(基台)
22…アーム部
25…回転機構
26…テーブル部(保持部)
B…ガラス基板(基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を、この基板を処理する処理部に対して搬入または搬出する基板搬送装置であって、
基台に対して旋回可能に支持されたアーム部と、
前記基板を保持する保持部と、
前記アーム部に対して前記保持部を回転可能に連結する回転機構と、
を備える基板搬送装置。
【請求項2】
基板を処理する処理部と、
前記処理部に対して前記基板を搬入する搬入側基板搬送装置と、
前記処理部に対して前記基板を搬出する搬出側基板搬送装置と、を備え、
前記第1の基板搬送装置および前記第2の基板搬送装置が、
基台に対して旋回可能に支持されたアーム部と、
前記基板を保持する保持部と、
前記アーム部に対して前記保持部を回転可能に連結する回転機構と、
を備えるものである、基板処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−158011(P2007−158011A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−350974(P2005−350974)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】