説明

車両用操舵装置

【課題】転舵用モータの回転角を検出するための回転角センサが故障した場合でも、転舵用モータの回転角を検出するための他の回転角センサを用いることなく、操舵制御を行なえるようになる車両用操舵装置を提供する。
【解決手段】センサ故障判定部57は、回転角センサ21の故障を検出すると、第1制御モードから、第2制御モードに、制御モードを切り換える。第2制御モード時には、回転角推定部55によって推定される第2のロータ角(電気角)θSE2に基づいて転舵用モータ3の実ロータ角(機械角)θSMが演算される。そして、この実ロータ角θSMが、目標ロータ角演算部41によって演算される目標ロータ角θSMに回転角維持用指令信号が重畳された後の目標ロータ角θSM1に収束するようにフィードバック制御が行なわれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、操向のために操作される操作部材と舵取り機構とが機械的に結合されておらず、転舵用モータによって舵取り機構が駆動される車両用操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
操作部材としてのステアリングホイールと舵取り機構との機械的な結合をなくし、ステアリングホイールの操作角を角度センサによって検出するとともに、そのセンサ出力に応じて制御される転舵用モータ(操舵用アクチュエータ)の駆動力を舵取り機構に伝達するようにしたステア・バイ・ワイヤシステムが提案されている。
ステア・バイ・ワイヤシステムにおいては、ステアリングホイールと舵取り機構との機械的な連結がないので、車両衝突時におけるステアリングホイールの突き上げを防止できるとともに、舵取り機構の構成を簡素化および軽量化することができる。また、ステアリングホイールの配置位置の自由度が増し、さらには、ステアリングホイール以外のレバーまたはペダル等の他の操作手段の採用も可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-11542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記ステア・バイ・ワイヤシステムでは、ステアリングホイールと舵取り機構とが機械的に結合されていないため、転舵用モータ、転舵用モータを制御するために必要なセンサ等の電気機器が故障すると、操舵制御を行えなくなる。転舵用モータがブラシレスモータによって構成されている場合には、転舵用モータを制御するために必要なセンサには転舵用モータの回転角を検出するための回転角センサが含まれる。
【0005】
そこで、転舵用モータ、センサ等の電気機器を複数設けておき、ある電気機器が故障したときには、その電気機器に代わりに他の故障していない電気機器を用いることにより、操舵不能となるのを回避できるようにしたものが提案されている。しかしながら、このような構成では、各電気機器を複数設ける必要があるため、コストが高くなる。
この発明の目的は、転舵用モータの回転角を検出するための回転角センサが故障した場合でも、転舵用モータの回転角を検出するための他の回転角センサを用いることなく、操舵制御を行なえるようになる車両用操舵装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、操向のために操作される操作部材(2)と舵取り機構(6)とが機械的に結合されておらず、ブラシレスモータからなる転舵用モータ(3)によって舵取り機構が駆動される車両用操舵装置(1)であって、前記転舵用モータのロータの回転角を検出するための回転角センサ(21)と、前記転舵用モータの誘起電圧に基づいて、前記転舵用モータのロータの回転角を推定するロータ角推定手段(54,55)と、操舵状況に応じて前記転舵用モータのロータ回転角の目標値である目標ロータ角(θSM)を演算する目標ロータ角演算手段(41)と、前記目標ロータ角演算手段によって演算される目標ロータ角に、前記転舵用モータを継続的に回転させるための回転維持用指令信号を重畳するための信号重畳手段(42,56)と、前記回転角センサが故障したことを検出する故障検出手段(57)と、前記故障検出手段によって前記回転角センサの故障が検出されたときに、前記目標ロータ角演算手段によって演算される目標ロータ角または前記信号重畳手段による回転維持用指令信号重畳後の目標ロータ角と前記回転角センサの検出値とに基づいて前記転舵用モータを制御する第1制御モードから、前記信号重畳手段による回転維持用指令信号重畳後の目標ロータ角と前記ロータ角推定手段によって推定されるロータ回転角とに基づいて前記転舵用モータを制御する第2制御モードに制御モードを切り換える切換手段(52,56,57)と、を含む車両用操舵装置である。なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、むろん、この発明の範囲は当該実施形態に限定されない。以下、この項において同じ。
【0007】
この構成では、回転角センサの故障が検出されていないときには、第1制御モードによるモータ制御が行なわれる。つまり、目標ロータ角演算手段によって演算される目標ロータ角または信号重畳手段による回転維持用指令信号重畳後の目標ロータ角と、回転角センサの検出値とに基づいて転舵用モータが制御される。これにより、操舵状況に応じた適切な操舵制御が行なわれる。
【0008】
一方、回転角センサの故障が検出されると第2制御モードによるモータ制御が行なわれる。つまり、信号重畳手段による回転維持用指令信号重畳後の目標ロータ角と、ロータ角推定手段によって推定されるロータ回転角とに基づいて転舵用モータが制御される。ロータ角推定手段は転舵用モータの誘起電圧に基づいて転舵用モータのロータ回転角を推定するものであるため、ロータ角推定手段によってロータ回転角を推定するためには、転舵用モータが回転している必要がある。第2制御モードにおいては、目標ロータ角演算部によって演算される目標ロータ角にかかわらず、転舵用モータを継続的に回転させることができるため、ロータ角推定手段によるロータ回転角の推定が常に可能となる。この結果、回転角センサが故障した場合でも、転舵用モータの回転角を検出するための他の回転角センサを用いることなく、操舵状況に応じた適切な操舵制御を行なうことができるようになる。
【0009】
前記回転維持用指令信号は、交流信号であってもよい。例えば、前記回転維持用指令信号は、正弦波信号であってもよい。回転維持用指令信号が正弦波信号等の交流信号である場合には、目標ロータ角演算部によって演算される目標ロータ角が例えば一定であるときに、転舵用モータを正方向および逆方向に交互に回転させることができる。
また、回転維持用指令信号が正弦波信号である場合には、前記車両用操舵装置は、回転維持用指令信号の振幅および周波数のうちの少なくとも一方を、車両の走行状態に応じて変更させる変更手段を含んでいてもよい。また、前記車両用操舵装置は、車速を検出する車速検出手段をさらに含み、前記変更手段は、前記回転維持用指令信号の振幅および周波数のうちの少なくとも一方を、前記車速検出手段によって検出される車速に応じて変更させるように構成されていてもよい。この場合、変更手段は、例えば、回転維持用指令信号の振幅および周波数を、車速が大きいほど小さくなるように変更するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、この発明の一実施形態に係る車両用操舵装置の構成を説明するための図解図である。
【図2】図2は、ECUの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、転舵用モータの構成を説明するための図解図である。
【図4】図4は、転舵用モータ制御部の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、第2制御モード時における目標ロータ角θSMおよび最終的な目標ロータ角θSM1の変化例を示すタイムチャートである。
【図6】図6は、誘起電圧推定部の構成を説明するためのブロック図である。
【図7】図7は、反力モータ制御部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る車両用操舵装置の構成を説明するための図解図であり、ステア・バイ・ワイヤシステムの構成が示されている。
この車両用操舵装置1は、運転者が操向のために操作する操作部材としてステアリングホイール2と、ステアリングホイール2の回転操作に応じて駆動される転舵用モータ(操舵用アクチュエータ)3と、転舵用モータ3の駆動力を、舵取り車輪としての前方左右車輪5に伝達するステアリングギヤ4とを備えている。ステアリングホイール2と、転舵用モータ3等を含む舵取り機構6との間には、ステアリングホイール2に加えられた操作トルクが舵取り機構6に機械的に伝達されるような機械的な結合はなく、ステアリングホイール2の操作量(操作角または操作トルク)に応じて転舵用モータ3が駆動制御されることによって、車輪5が転舵されるようになっている。
【0012】
転舵用モータ3は、ブラシレスモータにより構成されている。転舵用モータ3には、転舵用モータ3のロータの回転角を検出するためのレゾルバ等の回転角センサ21が設けられている。
ステアリングギヤ4は、転舵用モータ3の出力シャフトの回転運動をステアリングロッド7の直線運動(車両左右方向の直線運動)に変換する運動変換機構を有する。ステアリングロッド7の動きがタイロッド8およびナックルアーム9を介して車輪5に伝達され、車輪5のトー角(転舵角)が変化する。つまり、舵取り機構6は、転舵用モータ3、ステアリングギヤ4、ステアリングロッド7、タイロッド8およびナックルアーム9から構成されている。ステアリングギヤ4は、公知のものを用いることができ、転舵用モータ3の動きを舵角が変化するように車輪5に伝達できれば構成は限定されない。なお、転舵用モータ3が駆動されていない状態では、車輪5がセルフアライメントトルクにより直進操舵位置に復帰できるようにホイールアライメントが設定されている。
【0013】
ステアリングホイール2は、車体側に回転可能に支持された回転シャフト10に連結されている。この回転シャフト10には、ステアリングホイール2に作用する反力トルク(操作反力)を発生する反力モータ(反力アクチュエータ)19が設けられている。この反力モータ19は、回転シャフト10と一体の出力シャフトを有するブラシレスモータ等の電動モータにより構成されている。この実施形態では、反力モータ19は、ブラシレスモータによって構成されている。反力モータ19には、反力モータ19のロータの回転角(ロータ角)を検出するためのレゾルバ等の回転角センサ22が設けられている。
【0014】
車体と回転シャフト10との間には、ステアリングホイール2を直進操舵位置に復帰させる方向の弾力を付与する弾性部材15が設けられている。この弾性部材15は、例えば、回転シャフト10に弾力を付与するバネにより構成できる。反力モータ19が回転シャフト10にトルクを付加していないとき、ステアリングホイール2は、弾性部材15の弾力により、直進操舵位置に復帰する。
【0015】
ステアリングホイール2の操作角(回転角)δhを検出するために、回転シャフト10の回転角を検出するための角度センサ11が設けられている。また、運転者がステアリングホイール1に作用させる操舵トルクThを検出するために、回転シャフト10により伝達されるトルクを検出するためのトルクセンサ12が設けられている。また、車速Vを検出する速度センサ14が設けられている。
【0016】
角度センサ11、トルクセンサ12、速度センサ14および回転角センサ21,22は、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)30にそれぞれ接続されている。ECU30は、転舵用モータ3および反力モータ19を制御する。
図2は、ECU30の電気的構成を示すブロック図である。
ECU30は、マイクロコンピュータ31と、マイクロコンピュータ31によって制御され、転舵用モータ3に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)32と、転舵用モータ3に流れるモータ電流を検出する電流検出部33と、マイクロコンピュータ31によって制御され、反力モータ19に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)34と、反力モータ19に流れるモータ電流を検出する電流検出部35とを備えている。
【0017】
マイクロコンピュータ31は、CPUおよびメモリ(ROM、RAM、不揮発性メモリなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、転舵用モータ3を制御するための転舵用モータ制御部40と、反力モータ19を制御するための反力モータ制御部70とを備えている。
【0018】
転舵用モータ制御部40は、速度センサ14によって検出される車速Vおよび角度センサ11によって検出される操作角δhに基づいて、駆動回路32を介して転舵用モータ3を駆動することによって、操舵状況に応じた操舵制御を実現する。
反力モータ制御部70は、速度センサ14によって検出される車速V、角度センサ11によって検出される操作角δhおよびトルクセンサ12によって検出される操舵トルクThに基づいて、駆動回路34を介して反力モータ19を駆動することによって、操舵状況に応じた反力制御を実現する。
【0019】
転舵用モータ3は、例えば三相ブラシレスモータであり、図3に図解的に示すように、界磁としてのロータ100と、U相、V相およびW相のステータ巻線101,102,103を含むステータ105とを備えている。転舵用モータ3は、ロータの外部にステータを対向配置したインナーロータ型のものであってもよいし、筒状のロータの内部にステータを対向配置したアウターロータ型のものであってもよい。
【0020】
各相のステータ巻線101,102,103の方向にU軸、V軸およびW軸をとった三相固定座標(UVW座標系)が定義される。また、ロータ100の磁極方向にd軸(磁極軸)をとり、ロータ100の回転平面内においてd軸と直角な方向にq軸(トルク軸)をとった二相回転座標系(dq座標系。実回転座標系)が定義される。dq座標系は、ロータ100とともに回転する回転座標系である。dq座標系では、q軸電流のみがロータ100のトルク発生に寄与するので、d軸電流を零とし、q軸電流を所望のトルクに応じて制御すればよい。ロータ100の回転角(ロータ角(電気角))θ-SEは、U軸に対するd軸の回転角である。dq座標系は、ロータ角θ-SEに従う実回転座標系である。このロータ角θ-SEを用いることによって、UVW座標系とdq座標系との間での座標変換を行うことができる。
【0021】
反力モータ19は、例えば三相ブラシレスモータからなり、転舵用モータ3と同様な構造を有している。
図4は、転舵用モータ制御部40の構成を示すブロック図である。
転舵用モータ制御部40は、目標ロータ角演算部41と、加算部42と、角度偏差演算部43と、PI(比例積分)制御部44と、電流指令値生成部45と、電流偏差演算部46と、PI(比例積分)制御部47と、dq/UVW変換部48と、PWM(Pulse Width Modulation)制御部49と、UVW/dq変換部50と、回転角演算部51と、角度切換部52と、積算部53と、誘起電圧推定部54と、回転角推定部55と、回転角維持用指令値生成部56と、センサ故障判定部57とを含む。
【0022】
3相ブラシレスモータで構成される転舵用モータ3を制御するためには、転舵用モータ3のロータの回転角(ロータ角)を検出する必要がある。そこで、転舵用モータ3のロータ角を検出するために、レゾルバ等の回転角センサ21が設けられている。回転角センサ21が故障すると、転舵用モータ3のロータ角を検出することができなくなる。
そこで、この実施形態では、回転角センサ21の故障に備えて、転舵用モータ3の回転によって発生する誘起電圧を推定し、推定した誘起電圧に基づいて、転舵用モータ3のロータ角を推定するようにしている。このために、誘起電圧推定部54および回転角推定部55が設けられている。そして、回転角センサ21が故障した場合には、回転角推定部55によって推定されるロータ角を用いて、転舵用モータ3を制御するようにしている。
【0023】
誘起電圧を推定するためには、転舵用モータ3が回転していることが必要となる。そこで、この実施形態では、回転角センサ21が故障している場合には、転舵用モータ3を継続的に回転させるための回転維持用指令信号を、転舵用モータ3の目標ロータ角に重畳するようにしている。このために、回転維持用指令信号生成部56および加算部42が設けられている。
【0024】
以下、転舵用モータ制御部40の各部について説明する。回転角演算部51は、回転角センサ21の出力信号に基づいて、転舵用モータ3のロータの回転角(電気角。以下、「第1のロータ角θSE1」という。)を演算する。誘起電圧推定部54は、転舵用モータ3の回転によって生じる誘起電圧を推定する。また、回転角推定部55は、誘起電圧推定部54によって推定された誘起電圧に基づいて、転舵用モータ3のロータの回転角(電気角。以下、「第2のロータ角θSE2」という。)を推定する。誘起電圧推定部54および回転角推定部55の動作の詳細については後述する。
【0025】
角度切換部52は、回転角演算部51によって演算される第1のロータ角θSE1と、回転角推定部55によって推定される第2のロータ角θSE2とのうちのいずれか一方を選択して、ロータ角(電気角)θSEとして出力する。積算部53は、角度切換部52から出力されるロータ角(電気角)θSEを積算することにより、転舵用モータ3のロータの絶対的な回転角(機械角。以下、「実ロータ角θSM」という)を演算する。
【0026】
センサ故障判定部57は、回転角センサ21の故障の有無を判定し、その判定結果に応じて転舵用モータ3の制御モードの切換を行なう。つまり、センサ故障判定部57は、故障検出手段および切換手段として機能する。例えば、センサ故障判定部57は、回転角センサ21の出力信号を監視することによって、回転角センサ21の故障、回転角センサ21の信号線の断線故障、回転角センサ21の信号線の接地故障を検出することができる。センサ故障判定部57は、回転角センサ21の故障の有無の判定結果に応じて、第1制御モードと第2制御モードとの間で制御モードを切換え、モード切換指令を生成する。このモード切換指令に応じて、角度切換部52の切換えが実行される。
【0027】
具体的には、センサ故障判定部57は、回転角センサ21の故障が生じていないと判定している場合(通常時)には、制御モードを第1制御モードに設定する。一方、回転角センサ21の故障が生じていると判定している場合(故障時)には、センサ故障判定部57は、制御モードを第1制御モードから第2制御モードに切換える。
第1制御モードにおいては、角度切換部52は第1のロータ角θSE1を選択してロータ角θSEとして出力する。一方、第2制御モードにおいては、角度切換部52は第2のロータ角θSE2を選択してロータ角θSEとして出力する。
【0028】
センサ故障判定部57からのモード切換指令は、回転維持用指令信号生成部56にも与えられるようになっている。回転維持用指令信号生成部56は、第1制御モード時においては、回転維持用指令信号を零に設定する。回転維持用指令信号生成部56は、センサ故障判定部57からのモード切換指令が第1制御モードから第2制御モードへの切換を指令するものであるとき、当該指令に応答して、回転維持用指令信号(有意値)を生成する。回転維持用指令信号の算出方法については、後述する。
【0029】
目標ロータ角演算部41は、速度センサ14によって検出される車速Vおよび角度センサ11によって検出される操作角δhに基づいて、転舵用モータ3のロータ角(機械角)の目標値である目標ロータ角(機械角)θSMを演算する。例えば、目標ロータ角演算部41は、所定の伝達関数Kδ(V)を用いて、操作角δhおよび車速Vに応じた目標ロータ角θSMを設定する。
【0030】
加算部42は、目標ロータ角演算部41によって演算された目標ロータ角θSMに回転維持用指令信号生成部57によって生成される回転維持用指令信号を加算(重畳)することにより、最終的な目標ロータ角θSM1(機械角)を演算する。
角度偏差演算部43は、加算部42によって演算される最終的な目標ロータ角θSM1と、積算部53によって演算される実ロータ角θSMとの偏差を演算する。PI制御部44は、角度偏差演算部43によって演算された角度偏差に対するPI演算を行なう。
【0031】
電流指令値生成部45は、PI制御部44の演算結果に基づいて、dq座標系の座標軸に流すべき電流値を電流指令値として生成する。具体的には、電流指令値生成部45は、d軸電流指令値Iおよびq軸電流指令値I(以下、これらを総称するときには「二相電流指令値Idq」という。)を生成する。さらに具体的には、電流指令値生成部45は、q軸電流指令値Iを有意値とする一方で、d軸電流指令値Iを零とする。より具体的には、電流指令値生成部45は、PI制御部44の演算結果に基づいて、q軸電流指令値Iを生成する。電流指令値生成部45によって生成された二相電流指令値Idqは、電流偏差演算部46に与えられる。
【0032】
電流検出部33は、転舵用モータ3のU相電流I、V相電流IおよびW相電流I(以下、これらを総称するときは、「三相検出電流IUVW」という。)を検出する。電流検出部33によって検出された三相検出電流IUVWは、UVW/dq変換部50に与えられる。
UVW/dq変換部50は、UVW/αβ変換部50Aと、αβ/dq変換部50Bとを含む。UVW/αβ変換部50Aは、電流検出部33によって検出されるUVW座標系の三相検出電流IUVW(U相電流I、V相電流IおよびW相電流I)を二相固定座標系であるαβ座標系の二相検出電流IαおよびIβ(以下総称するときには「二相検出電流Iαβ」という。)に変換する。αβ座標系は、図3に示すように、ロータ100の回転中心を原点として、ロータ100の回転平面内にα軸およびこれに直交するβ軸(図3の例ではU軸と同軸)を定めた固定座標系である。αβ/dq変換部50Bは、二相検出電流Iαβをdq座標系の二相検出電流IおよびI(以下総称するときには「二相検出電流Idq」という。)に変換する。これらが電流偏差演算部46に与えられるようになっている。αβ/dq変換部50Bにおける座標変換には、角度切換部52で選択されたロータ角θSEが用いられる。
【0033】
電流偏差演算部46は、電流指令値生成部45によって生成される二相電流指令値Idqと、αβ/dq変換部50Bから与えられる二相検出電流Idqとの偏差を演算する。より具体的には、電流偏差演算部46は、d軸電流指令値Iに対するd軸検出電流Iの偏差およびq軸電流指令値Iに対するq軸検出電流Iの偏差を演算する。これらの偏差は、PI制御部47に与えられる。
【0034】
PI制御部47は、電流偏差演算部46によって演算された電流偏差に対するPI演算を行なうことにより、転舵用モータ3に印加すべき二相電圧指令値Vdq(d軸電圧指令値Vおよびq軸電圧指令値V)を生成する。この二相電圧指令値Vdqは、dq/UVW変換部48に与えられる。
dq/UVW変換部48は、dq/αβ変換部48Aとαβ/UVW変換部48Bとを含む。dq/αβ変換部48Aは、二相電圧指令値Vdqをαβ座標系の二相電圧指令値Vαβに変換する。この座標変換には、角度切換部52で選択されたロータ角θSEが用いられる。二相電圧指令値Vαβは、α軸電圧指令値Vαおよびβ軸電圧指令値Vβからなる。
【0035】
αβ/UVW変換部48Bは、二相電圧指令値Vαβに対して座標変換演算を行うことによって、三相電圧指令値VUVWを生成する。三相電圧指令値VUVWは、U相電圧指令値V、V相電圧指令値VおよびW相電圧指令値Vからなる。この三相電圧指令値VUVWは、PWM制御部49に与えられる。
PWM制御部49は、U相電圧指令値V、V相電圧指令値VおよびW相電圧指令値Vにそれぞれ対応するデューティのU相PWM制御信号、V相PWM制御信号およびW相PWM制御信号を生成し、駆動回路32に供給する。
【0036】
駆動回路32は、U相、V相およびW相に対応した三相インバータ回路からなる。このインバータ回路を構成するパワー素子がPWM制御部49から与えられるPWM制御信号によって制御されることにより、三相電圧指令値VUVWに相当する電圧が転舵用モータ3の各相のステータ巻線101,102、103に印加されることになる。
角度偏差演算部43およびPI制御部44は、角度フィードバック制御手段を構成している。この角度フィードバック制御手段の働きによって、転舵用モータ3の実ロータ角θSMが、目標ロータ角θSM1に近づくように制御される。また、電流偏差演算部46およびPI制御部47は、電流フィードバック制御手段を構成している。この電流フィードバック制御手段の働きによって、転舵用モータ3に流れるモータ電流が、電流指令値生成部45によって生成された二相電流指令値Idqに近づくように制御される。
【0037】
回転維持用指令信号生成部56の動作について説明する。回転維持用指令信号生成部56に生成される回転維持用指令信号は、この実施形態では正弦波信号であり、次式(1)によって表される。
回転維持用指令信号=K(V)・sin(2π・α(V)・t) …(1)
K(V)は、回転維持用指令信号の振幅を設定するための振幅制御値である。α(V)は、回転維持用指令信号の周波数を設定するための周波数制御値である。tは時間である。
【0038】
目標ロータ角演算部41によって演算される目標ロータ角をθSMとすると、加算部42によって演算される最終的な目標ロータ角θSM1は、次式(2)によって表される。
θSM1=θSM+K(V)・sin(2π・α(V)・t) …(2)
第1制御モード時(通常時)には、回転維持用指令信号生成部56は、振幅制御値K(V)を零に設定する。したがって、第1制御モード時には、回転維持用指令信号は零となるから、最終的な目標ロータ角θSM1は、目標ロータ角演算部41によって演算される目標ロータ角θSMと等しくなる。
【0039】
第2制御モード時(故障時)には、回転維持用指令信号生成部56は、振幅制御値K(V)を車速Vに応じた有意値に設定するとともに、周波数制御値α(V)を車速Vに応じた有意値に設定する。回転維持用指令信号は、転舵用モータ3を継続的に回転させるために目標ロータ角θSMに重畳されるものであるが、運転者に違和感を生じさせないために、振幅制御値K(V)の値は微小な値(例えば、3π/20<K(V)<16π/20)に設定される。また、周波数制御値α(V)は、例えば、0.3<α(V)<2.0の範囲内の値に設定される。
【0040】
振幅制御値K(V)および周波数制御値α(V)は、車速Vが大きいほどその値が小さくなるように設定される。これにより、車速Vが大きいほど、回転維持用指令信号の振幅が小さくなるとともに回転維持用指令信号が緩やかに変化するようになる。したがって、車速Vが大きいときに、回転維持用指令信号に基づく車輪5の転舵角変化が小さくなり、操舵の安定性が確保される。第2制御モード時には、最終的な目標ロータ角θSM1は、目標ロータ角演算部41によって演算される目標ロータ角θSMに、前述のようにして算出される回転維持用指令信号が重畳された値となる。
【0041】
図5は、第2制御モード時における目標ロータ角θSMおよび最終的な目標ロータ角θSM1の変化例を示すタイムチャートである。図5に示すように、目標ロータ角演算部41によって演算される目標ロータ角θSMが変化しない状態(例えば保舵状態)でも、最終的な目標ロータ角θSM1は周期的に変化するため、転舵用モータ3が正転方向および逆転方向に交互に回転駆動される。このため、運転者がステアリングホイール2を回転させていない場合でも、誘起電圧推定部54および回転角推定部55によって転舵用モータ3のロータ角を推定することが可能となる。
【0042】
図6は、誘起電圧推定部54の構成を説明するためのブロック図である。誘起電圧推定部54は、二相検出電流Iαβと二相電圧指令値Vαβとに基づいて、転舵用モータ3の誘起電圧を推定する。より具体的には、誘起電圧推定部54は、転舵用モータ3の数学モデルであるモータモデルに基づき、転舵用モータ3の誘起電圧を外乱として推定する外乱オブザーバとしての形態を有している。モータモデルは、たとえば、(R+pL)−1と表すことができる。ただし、Rは電機子巻線抵抗、Lはαβ軸インダクタンス、pは微分演算子である。転舵用モータ3には、二相電圧指令値Vαβと誘起電圧Eαβ(α軸誘起電圧Eαおよびβ軸誘起電圧Eβ)とが印加されると考えることができる。
【0043】
誘起電圧推定部54は、二相検出電流Iαβを入力としてモータ電圧を推定する逆モータモデル(モータモデルの逆モデル)61と、この逆モータモデル61によって推定されるモータ電圧と二相電圧指令値Vαβとの偏差を求める電圧偏差演算部62とで構成することができる。電圧偏差演算部62は、二相電圧指令値Vαβに対する外乱を求めることになるが、図6から明らかなとおり、この外乱は誘起電圧Eαβに相当する推定値E^αβ(α軸誘起電圧推定値E^αおよびβ軸誘起電圧推定値E^β(以下、まとめて「推定誘起電圧E^αβ」という。)になる。逆モータモデル61は、たとえば、R+pLで表される。
【0044】
誘起電圧Eαβは、次の(3)式で表すことができる。ただし、Kは誘起電圧定数、θSEはロータ角、ωはロータ回転角速度である。
【0045】
【数1】

【0046】
したがって、推定誘起電圧E^αβが求まれば、次の(4)式に従って、推定回転角θSE2が求まる。この演算が、回転角推定部55によって行われる。
【0047】
【数2】

【0048】
第1制御モード時には、回転角センサ21の出力信号に基づいて演算された第1のロータ角(電気角)θSE1(=θSE)に基づいて、転舵用モータ3の実ロータ角(機械角)θSMが演算される。そして、この実ロータ角θSMが、目標ロータ角演算部41によって演算される目標ロータ角θSM(=θSM1)に収束するようにフィードバック制御が行なわれる。また、回転角センサ21の出力信号に基づいて演算される第1のロータ角θSE1(=θSE)を用いて、dq/αβ変換部48Aおよびαβ/dq変換部50Bにおける座標変換が行なわれることになる。つまり、第1制御モードでは、回転角センサ21の検出値と目標ロータ角演算部41によって演算される目標ロータ角θSM(=θSM1)とを用いて転舵用モータ3が制御されることにより、操舵状況に応じた適切な操舵制御が行われる。
【0049】
一方、第2制御モード時には、回転角推定部55によって推定される第2のロータ角(電気角)θSE2(=θSE)に基づいて転舵用モータ3の実ロータ角(機械角)θSMが演算される。そして、この実ロータ角θSMが、目標ロータ角演算部41によって演算される目標ロータ角θSMに回転角維持用指令信号が重畳された後の目標ロータ角θSM1に収束するようにフィードバック制御が行なわれる。また、回転角推定部55によって推定される第2のロータ角θSE2(=θSE)を用いて、dq/αβ変換部48Aおよびαβ/dq変換部50Bにおける座標変換が行なわれることになる。
【0050】
つまり、第2制御モードでは、回転角推定部55によって推定されるロータ角θSE2と、目標ロータ角演算部41によって演算される目標ロータ角θSMに回転角維持用指令信号が重畳された後の目標ロータ角θSM1とを用いて、転舵用モータ3が制御される。このため、目標ロータ角演算部41によって演算される目標ロータ角θSMにかかわらず、転舵用モータ3を継続的に回転させることができるため、誘起電圧推定部54および回転角推定部55によるロータ角θSE2の推定が常に可能となる。この結果、回転角センサ21が故障した場合でも、転舵用モータ3のロータ角を検出するための他の回転角センサを用いることなく、操舵状況に応じた適切な操舵制御を行なうことができるようになる。また、回転角維持用指令信号は、正弦波信号であり、かつその振幅は微小なものであるため、運転者が違和感を抱くのを抑制することができる。
【0051】
図7は、反力モータ制御部70の構成を示すブロック図である。
反力モータ制御部70は、目標反力トルク演算部71と、電流指令値生成部72と、電流偏差演算部73と、PI(比例積分)制御部74と、dq/UVW変換部75と、PWM制御部76と、UVW/dq変換部77と、回転角演算部78とを含む。
回転角演算部78は、回転角センサ22の出力信号に基づいて、反力モータ19のロータの回転角(電気角。以下、「ロータ角θFE」という。)を演算する。
【0052】
目標反力トルク演算部71は、速度センサ14によって検出される車速V、角度センサ11によって検出される操作角δhおよびトルクセンサ12によって検出される操舵トルクThに基づいて、目標反力トルクTを演算する。例えば、目標反力トルク演算部71は、操舵角δhおよび車速Vに基づいて目標反力トルク基本値を求め、この目標反力トルク基本値に対して操舵トルクThに応じたゲインを乗じることにより、目標反力トルクTを演算する。
【0053】
電流指令値生成部72は、目標反力トルク演算部71によって演算された目標反力トルクTに基づいて、dq座標系の座標軸に流すべき電流値を電流指令値として生成する。具体的には、電流指令値生成部72は、d軸電流指令値iおよびq軸電流指令値i(以下、これらを総称するときには「二相電流指令値idq」という。)を生成する。さらに具体的には、電流指令値生成部72は、q軸電流指令値iを有意値とする一方で、d軸電流指令値iを零とする。より具体的には、電流指令値生成部72は、目標反力トルク演算部71によって演算された目標反力トルクTに基づいて、q軸電流指令値iを生成する。電流指令値生成部72によって生成された二相電流指令値idqは、電流偏差演算部73に与えられる。
【0054】
電流検出部35は、反力モータ19のU相電流i、V相電流iおよびW相電流i(以下、これらを総称するときは、「三相検出電流iUVW」という。)を検出する。電流検出部35によって検出された三相検出電流iUVWは、UVW/dq変換部77に与えられる。
UVW/dq変換部77は、電流検出部35によって検出されるUVW座標系の三相検出電流iUVW(U相電流i、V相電流iおよびW相電流i)をdq座標系の二相検出電流iおよびi(以下総称するときには「二相検出電流idq」という。)に変換する。これらが電流偏差演算部73に与えられるようになっている。UVW/dq変換部77における座標変換には、回転角演算部78によって演算されたロータ角θFEが用いられる。
【0055】
電流偏差演算部73は、電流指令値生成部72によって生成される二相電流指令値idqと、UVW/dq変換部77から与えられる二相検出電流idqとの偏差を演算する。より具体的には、電流偏差演算部73は、d軸電流指令値iに対するd軸検出電流iの偏差およびq軸電流指令値iに対するq軸検出電流iの偏差を演算する。これらの偏差は、PI制御部74に与えられる。
【0056】
PI制御部74は、電流偏差演算部73によって演算された電流偏差に対するPI演算を行なうことにより、反力モータ19に印加すべき二相電圧指令値vdq(d軸電圧指令値vおよびq軸電圧指令値v)を生成する。この二相電圧指令値vdqは、dq/UVW変換部75に与えられる。
dq/UVW変換部75は、二相電圧指令値vdqを三相電圧指令値vUVWに変換する。この座標変換には、回転角演算部78によって演算されたロータ角θFEが用いられる。
三相電圧指令値vUVWは、U相電圧指令値v、V相電圧指令値vおよびW相電圧指令値vからなる。この三相電圧指令値vUVWは、PWM制御部76に与えられる。
【0057】
PWM制御部76は、U相電圧指令値v、V相電圧指令値vおよびW相電圧指令値vにそれぞれ対応するデューティのU相PWM制御信号、V相PWM制御信号およびW相PWM制御信号を生成し、駆動回路34に供給する。
駆動回路34は、U相、V相およびW相に対応した三相インバータ回路からなる。このインバータ回路を構成するパワー素子がPWM制御部76から与えられるPWM制御信号によって制御されることにより、三相電圧指令値vUVWに相当する電圧が反力モータ19の各相のステータ巻線に印加されることになる。
【0058】
電流偏差演算部73およびPI制御部74は、電流フィードバック制御手段を構成している。この電流フィードバック制御手段の働きによって、反力モータ19に流れるモータ電流が、電流指令値生成部72によって生成された二相電流指令値idqに近づくように制御される。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、センサ故障判定部57によってセンサ故障が検出されていないときには、回転維持用指令信号生成部56は振幅制御値K(V)を零に設定しているが、回転維持用指令信号生成部56はセンサ故障が検出されていないときにおいても、前述のセンサ故障が検出されているときと同様に、振幅制御値K(V)を零以外の有意値に設定するようにしてもよい。この場合には、第1制御モードにおいても、目標ロータ角演算部41によって演算される目標ロータ角θSMに、車速Vに応じて算出される回転角維持用指令信号が重畳された後の目標ロータ角θSM1が、最終的な目標ロータ角となる。
【0059】
また、前述の実施形態では、振幅制御値K(V)および周波数制御値α(V)を車速に応じて変更しているが、路面状況、走行場所等に応じて変更するようにしてもよい。また、回転維持用指令信号は、正弦波信号以外の交流信号(三角波交流信号,台形波交流信号等)であってもよい。また、PI制御部44,47,74は、PID(比例積分微分)制御を行なうPID制御部であってもよい。
【0060】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0061】
1…車両用操舵装置、2…ステアリングホイール、3…転舵用モータ、6…舵取り機構、21…回転角センサ、31…マイクロコンピュータ、40…転舵用モータ制御部、41…目標ロータ角演算部、42…加算部、52…角度切換部、54…誘起電圧推定部、55…回転角推定部、56…回転維持用指令信号生成部、57…センサ故障判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操向のために操作される操作部材と舵取り機構とが機械的に結合されておらず、ブラシレスモータからなる転舵用モータによって舵取り機構が駆動される車両用操舵装置であって、
前記転舵用モータのロータの回転角を検出するための回転角センサと、
前記転舵用モータの誘起電圧に基づいて、前記転舵用モータのロータの回転角を推定するロータ角推定手段と、
操舵状況に応じて前記転舵用モータのロータ回転角の目標値である目標ロータ角を演算する目標ロータ角演算手段と、
前記目標ロータ角演算手段によって演算される目標ロータ角に、前記転舵用モータを継続的に回転させるための回転維持用指令信号を重畳するための信号重畳手段と、
前記回転角センサが故障したことを検出する故障検出手段と、
前記故障検出手段によって前記回転角センサの故障が検出されたときに、前記目標ロータ角演算手段によって演算される目標ロータ角または前記信号重畳手段による回転維持用指令信号重畳後の目標ロータ角と前記回転角センサの検出値とに基づいて前記転舵用モータを制御する第1制御モードから、前記信号重畳手段による回転維持用指令信号重畳後の目標ロータ角と前記ロータ角推定手段によって推定されるロータ回転角とに基づいて前記転舵用モータを制御する第2制御モードに制御モードを切り換える切換手段と、を含む車両用操舵装置。
【請求項2】
前記回転維持用指令信号が、交流信号である請求項1に記載の車両用操舵装置。
【請求項3】
前記回転維持用指令信号が、正弦波信号である請求項2に記載の車両用操舵装置。
【請求項4】
前記回転維持用指令信号の振幅および周波数のうちの少なくとも一方を、車両の走行状態に応じて変更させる変更手段をさらに含む、請求項3に記載の車両用操舵装置。
【請求項5】
車速を検出する車速検出手段をさらに含み、
前記変更手段は、前記回転維持用指令信号の振幅および周波数のうちの少なくとも一方を、前記車速検出手段によって検出される車速に応じて変更させるように構成されている、請求項4に記載の車両用操舵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−112279(P2013−112279A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262348(P2011−262348)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】