説明

電動パワーステアリング制御装置

【課題】自然なフィーリングを実現することが容易な電動パワーステアリング装置を提供する
【解決手段】アシストトルクを決定するアシスト決定部120は、ハンドルトルク推定値Thに基づいてハンドル側アシストトルクを決定するハンドル側アシスト決定部121と、路面反力トルク推定値Tlに基づいて路面側アシストトルクを決定する路面側アシスト決定部122とを備え、ハンドル側アシスト決定部121をフィルタとし、路面側アシスト決定部122は、路面反力トルク推定値Tlを定数倍する増幅器とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動パワーステアリング装置に関し、特に、アシストトルクを決定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電動パワーステアリング装置はモータを備えており、このモータを作動させることによりアシストトルクを発生させる。このアシストトルクを決定するために、ハンドルトルクと路面反力トルクとを推定し、それらハンドルトルクと路面反力トルクとからアシストトルクの指令値を決定するものが知られている(たとえば特許文献1)。
【0003】
より詳しくは、特許文献1では、操舵トルク(トーショントルク)とモータ回転角速度を入力としたカルマンフィルタによりドライバの入力(ハンドルトルク)を推定する一方、推定したハンドルトルクと操舵トルクセンサが検出したトルクの差分を路面反力トルクとして推定している。そして、ハンドルトルクに所定のゲインを乗じて補助トルクTaffを決定している。また、路面反力トルクに所定のゲインを乗じ、この乗算結果と電動機回転速度に所定のゲインを乗じた乗算結果との加算値を補助トルクTafbとしている。そして、補助トルクTaffと補助トルクTafbとを加算して最終的な補助トルクTa(目標信号)としている。
【0004】
このようにしているのは、ドライバの操舵(ハンドルトルク)に対応する補助トルクと路面反力トルクを抑制する補助トルクは独立に設定されるべきとの技術思想に基づいている(特許文献1の段落0009)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−154450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、ハンドルトルクに対応する補助トルクも、また、路面反力トルクを抑制する補助トルクも、所定のゲインを乗じて算出しているだけであることから、ハンドルトルクのうちの一部の情報に限定してアシストトルクを発生させることや、路面からの情報をうちの一部の情報のみをドライバに伝えることはできず、また、ハンドルトルクの大小や路面反力トルクの大小に応じてそのトルクとは反対側の入力トルクに対応したアシストトルクを調整することもできない。そのため、自然なフィーリングを実現することは必ずしも容易ではなかった。
【0007】
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、自然なフィーリングを実現することが容易な電動パワーステアリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
その目的を達成するための請求項1記載の発明は、アシストトルクを発生するモータと、そのアシストトルクを決定するアシスト決定部とを有する電動パワーステアリング装置の発明であり、アシスト決定部は、ハンドルから入力されるトルクを推定したハンドルトルク推定値と、路面からタイヤに入力されるトルクを推定した路面反力トルク推定値とに基づいてアシストトルクを決定する。上記アシスト決定部は、より詳しくは、ハンドルトルク推定値に基づいてハンドル側アシストトルクを決定するハンドル側アシスト決定部と、路面反力トルク推定値に基づいて路面側アシストトルクを決定する路面側アシスト決定部とを備え、それらハンドル側アシストトルクと路面側アシストトルクとに基づいてアシストトルクの指令値であるアシスト指令値を出力するものであり、ハンドル側アシスト決定部および路面側アシスト決定部の少なくともいずれか一方は、入力されたトルク推定値の一部の周波数成分を通過させるフィルタを備える。
【0009】
このように、本発明では、ハンドルトルク推定値と路面反力トルク推定値、それぞれに基づいて独立にハンドル側アシストトルクおよび路面側アシストトルクを決定している。しかも、ハンドル側アシスト決定部および路面側アシスト決定部の少なくともいずれか一方はフィルタを備えていることから、一部の周波数成分に対してアシストトルクを発生させたり、反対に、一部の周波数成分に対してはアシストトルク発生させないという調整が可能となるので、自然なフィーリングを容易に実現することができる。
【0010】
この構成としては、具体的には、たとえば、請求項2〜8の構成が考えられる。請求項2記載の発明では、ハンドル側アシスト決定部がフィルタを備える。より具体的には、たとえば、請求項5のように、ハンドル側アシスト決定部のフィルタを、ドライバにとって意図しない高周波を除去するように設定されたローパスフィルタとすれば、ハンドルトルク推定値からドライバの意図しない高周波成分を除去できるので、発生するアシストトルクが滑らかになって、滑らかな操舵が実現できる。また、請求項6のように、ドライバがハンドルを切り始める過渡的期間にハンドルに入力される高い周波数は通過させる一方、過渡的期間後に入力される、過渡的期間よりも低い周波数は除去するように設定されたハイパスフィルタとすれば、切り始めなどの過渡のみハンドルトルク推定値に基づいたアシストがされることになりアシスト遅れを抑制できる。よって、自然なフィーリングを容易に実現することができる。
【0011】
請求項3記載の発明では、路面側アシスト決定部がフィルタを備える。より具体的には、たとえば、請求項7のように、路面側アシスト決定部のフィルタを、路面からの高周波振動を通過させる一方、路面からの低周波振動を除去するように設定されたハイパスフィルタとすれば、路面からの高周波振動に基づいて路面側アシストトルクが決定されることになるので、路面の高周波振動がそのアシストトルクにより打ち消される。その結果、たとえば、段差を通過したときなどのステップ状の入力が路面からあったとしても、ハンドルが急にとられてしまうことを防ぐことができる。また、請求項8のように、ドライバの所望する路面や車体の振動の周波数は通過させ、その周波数帯よりも低周波および高周波を除去するように設定されたバンドパスフィルタとすれば、ドライバの所望する路面や車体の振動は伝えつつ、不要な振動を打ち消すことができる。よって、自然なフィーリングを容易に実現することができる。
【0012】
請求項4記載の発明では、ハンドル側アシスト決定部および路面側アシスト決定部が、いずれもフィルタを備える。このように、いずれのアシスト決定部もフィルタを備えるようにすれば、請求項2記載の発明の効果と請求項3記載の発明の効果を両方得ることができる。
【0013】
請求項9記載の発明も、アシストトルクを発生するモータと、そのアシストトルクを決定するアシスト決定部とを有する電動パワーステアリング装置の発明であり、アシスト決定部は、ハンドルから入力されるトルクを推定したハンドルトルク推定値と、路面からタイヤに入力されるトルクを推定した路面反力トルク推定値とに基づいてアシストトルクを決定する。また、アシスト決定部は、ハンドルトルク推定値に基づいてハンドル側アシストトルクを決定するハンドル側アシスト決定部と、路面反力トルク推定値に基づいて路面側アシストトルクを決定する路面側アシスト決定部とを備え、それらハンドル側アシストトルクと路面側アシストトルクとに基づいてアシスト指令値を出力する。そして、ハンドル側アシスト決定部および路面側アシスト決定部の少なくともいずれか一方は可変増幅器を備え、その可変増幅器は、他方のトルク推定値に基づいて増幅率が決定される。
【0014】
このように、本発明でも、ハンドルトルク推定値と路面反力トルク推定値、それぞれに基づいて独立にハンドル側アシストトルクおよび路面側アシストトルクを決定している。しかも、ハンドル側アシスト決定部および路面側アシスト決定部の少なくともいずれか一方は可変増幅器を備え、その可変増幅器は、他方のトルク推定値に基づいて増幅率が決定されることから、一方のトルク推定値に基づいて他方のアシストトルクが調整されることになる。従って、状況に即したアシストトルクを発生させることが容易になるので、自然なフィーリングを容易に実現することができる。
【0015】
この構成としては、具体的には、たとえば、請求項10〜14の構成が考えられる。請求項10記載の発明では、路面側アシスト決定部が可変増幅器を備え、その可変増幅器は、ハンドルトルク推定値に基づいて増幅率が決定される。このように構成すれば、ドライバの入力に応じて、ドライバに伝わる路面反力トルクの割合が変化する。たとえば、請求項13のように、ハンドルトルク推定値が大きいほど増幅率を小さくすれば、ハンドルトルクが大きい操舵時には路面反力トルクが打ち消されずにドライバに伝わるようになる一方、ハンドルトルクが小さいときは路面反力トルクが打ち消されるので収斂性も良好となる。
【0016】
請求項11記載の発明では、ハンドル側アシスト決定部が可変増幅器を備え、その可変増幅器は、路面反力トルク推定値に基づいて増幅率が決定される。このように構成すれば、路面からの入力に応じてドライバ入力をアシストする割合が変化する。たとえば、請求項14のように、路面反力トルク推定値が小さいほど増幅率を大きくすれば、路面からの入力が小さい操舵初期の応答性が高くなり、路面からの入力が大きいハンドルの戻り時は、相対的に路面反力トルクに基づくアシストの割合が大きくなるので、ハンドルの戻り時のアシストも自然なものとなる。
【0017】
請求項12記載の発明では、ハンドル側アシスト決定部および路面側アシスト決定部はいずれも可変増幅器を備え、ハンドル側アシスト決定部の可変増幅器は路面反力トルク推定値に基づいて増幅率が決定され、路面側アシスト決定部の可変増幅器はハンドルトルク推定値に基づいて増幅率が決定される。このように、いずれのアシスト決定部も可変増幅器を備え、それら可変増幅器の増幅率を他方のアシスト決定部に入力されるアシスト値に基づいて決定するようにすれば、請求項10記載の発明の効果と請求項11記載の発明の効果を両方得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明が適用された電動パワーステアリング装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】図1の制御装置1の詳細構成を示す図である。
【図3】第1実施形態のアシスト決定部120の構成図である。
【図4】第1実施形態のアシスト決定部120が実行する処理を示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態のアシスト決定部120aの構成図である。
【図6】第3実施形態のアシスト決定部120bの構成図である。
【図7】第4実施形態のアシスト決定部120cの構成図である。
【図8】第5実施形態のアシスト決定部120dの構成図である。
【図9】第6実施形態のアシスト決定部120eの構成図である。
【図10】ハンドルトルク推定値Thと路面反力トルク推定値Tlとを両方推定するトルク推定器113を備えた制御装置1を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明が適用された電動パワーステアリング装置の全体構成を示す模式図である。図1に示されるように、ステアリングホイール(以下、ハンドルという)2には、ステアリング軸3が接続されており、ステアリング軸3はハンドル2と一体回転する。このステアリング軸3には減速機構5が取り付けられている。減速機構5はモータ6の回転を減速してインターミディエイトシャフト7に伝達する。モータ6は、ドライバの操舵力を補助する操舵補助トルク(以下、アシストトルクという)を発生するものであり、減速機構5を介してステアリング軸3に接続されている。
【0020】
トルクセンサ4は、図示しないトーションバーを備えており、そのトーションバーによってステアリング軸3とインターミディエイトシャフト7とが連結されている。ステアリング軸3がインターミディエイトシャフト7に対して回転すると、その回転に応じてトーションバーにねじれが生じる。トルクセンサ4には、このねじれを検出するセンサが備えられており、検出したねじれを制御装置1へ逐次供給する。
【0021】
インターミディエイトシャフト7のステアリング軸3とは反対側の端は、ラックアンドピニオン式のギヤ装置8のピニオン軸9に連結されている。このピニオン軸9とラック軸10とによってギヤ装置8は構成される。そして、ラック軸10の両端には、図示しないタイロッド及びナックルアームを介して左右操舵輪としての一対のタイヤ11がそれぞれ連結されている。従って、ピニオン軸9の回転運動がラック軸10の直線運動に変換されると、そのラック軸10の直線運動変位に応じた角度だけ、左右のタイヤ11が転舵される。
【0022】
回転角速度センサ13、モータ電流センサ14は、それぞれ、モータ6の回転角速度dThc、モータ6を流れる電流Curを逐次検出し、検出した回転角速度dThc、モータ電流値Curを示す信号を制御装置1に逐次供給する。また、トルクセンサ4によって検出されたトルク(以下、操舵トルクという)Tsを示す信号も制御装置1に入力される。これら、操舵トルクTs、モータ6の回転角速度dThc、モータ電流値Curは、いずれも、ハンドルトルクTh、路面反力トルクTlに応じてそれぞれ検出値が変化する。
【0023】
次に、図2を用いて制御装置1の構成を説明する。図2に示すように、制御装置1は、ハンドルトルク推定器111、路面反力トルク推定器112、アシスト決定部120、電流指令値変換器130、電流制御部140を備えている。ハンドルトルク推定値111および路面反力トルク推定器112には、いずれも、トルクセンサ4、回転角速度センサ13、モータ電流センサ14から、操舵トルクTs、モータ6の回転角速度dThc、モータ電流値Curがそれぞれ入力される。そして、これら3つの入力値を用いて、ハンドルトルク推定器111はハンドルトルクThの推定値を決定し、路面反力トルク推定器112は路面反力トルク推定値Tlの推定値を決定する。ハンドルトルク推定器111におけるハンドルトルクThの推定、および、路面反力トルク推定器112における路面反力トルク推定値Tlの推定は、たとえば、上述の3つの入力値(操舵トルクTs、モータ6の回転角速度dThc、モータ電流値Cur)から、ハンドルトルクTh、あるいは路面反力トルク推定値Tlが求められる関係式を用いて行う。また、上述の3つの入力値からハンドルトルクTh、あるいは路面反力トルク推定値Tlが定まるマップを用いて行ってもよい。これらの推定器111、112は、推定したい値の入力に素早く追従する応答性を有することが好ましいのはもちろんのこと、推定したい値以外の入力には応答しない分離性を有することが好ましい。なお、以下では、ハンドルトルクThの推定値、路面反力トルクTlの推定値を、ハンドルトルク推定値Th、路面反力トルク推定値Tlと既述する。
【0024】
アシスト決定部120は、ハンドルトルク推定器111が推定したハンドルトルク推定値Thおよび路面反力トルク推定器112が推定した路面反力トルク推定値Tlから、アシストトルクの指令値(以下、アシスト指令値)Taを決定する。なお、アシスト決定部120の詳細構成については後述する。
【0025】
電流指令値変換器130は、予め記憶されているマップあるいは関係式に基づいて、アシスト指令値Taを電流指令値に変換する。電流制御部140は、たとえば、4つのMOSFETからなるブリッジ回路等の周知のモータ駆動回路を備えており、モータ電流センサ14によって検出されるモータ電流値が、電流指令値変換器130から供給される電流指令値となるようにモータ駆動回路のフィードバック制御を行なう。なお、前述のモータ電流センサ14は、モータ駆動回路と接地ラインとの間に設けられた電流検出抵抗の両端間の電圧を検出することによって、モータ6に流れる電流を検出している。
【0026】
次に、図3を参照して、アシスト決定部120について説明する。アシスト決定部120は、ハンドルトルク推定値Thに基づいてハンドル側アシストトルクを決定するハンドル側アシスト決定部121、路面反力トルク推定値Tlに基づいて路面側アシストトルクを決定する路面側アシスト決定部122、および、加算器123を備えている。
【0027】
図3に示すように、第1実施形態では、ハンドルトルク推定値Thと路面反力トルク推定値Tlの両方に基づいてアシスト指令値Taを決定している。ここで、仮に、ハンドルトルク推定値Thのみに基づいてアシスト指令値Taを決定してしまうと、ドライバが入力をやめる状況(たとえばハンドルの戻し時)ではアシストがなくなってしまい、その結果、路面反力により急激にハンドルが戻ってしまう。また、路面反力トルク推定値Tlのみに基づいてアシスト指令値Taを決定してしまうと、ハンドルを切ってから路面反力トルク推定値Tlが立ち上がるまでには機械のガタにより時間差があることから、アシストが遅れてしまい、粘性感を感じることになる。
【0028】
これに対して、第1実施形態では、ハンドルトルク推定値Thと路面反力トルク推定値Tlの両方に基づいてアシスト指令値Taを決定しており、しかも、ハンドル側アシストトルクと路面側アシストトルクを別々に調整することができるようにしている。このように構成することで、この第1実施形態やその他の実施形態で詳しく説明するように、種々のチューニングを容易に行うことができる。
【0029】
第1実施形態のハンドル側アシスト決定部121はフィルタであり、周波数に応じて定まるフィルタ係数Whをハンドルトルク推定値Thに乗じることで、連続的に入力されるハンドルトルク推定値Thのうち、予め設定された周波数帯の成分を通過させる。このフィルタを通過した後の値がハンドル側アシストトルクである。このハンドル側アシストトルクは加算器123へ入力される。
【0030】
一方、第1実施形態の路面側アシスト決定部122は増幅器であり、路面反力トルク推定値Tlを、予め設定された定数倍(ゲインKl)して加算器123に出力する。この出力値が路面反力側アシストトルクである。加算器123は、ハンドル側アシストトルクと路面側アシストトルクとを加算してアシスト指令値Taを出力する。
【0031】
図3のハンドル側アシスト決定部121には、ハイパスフィルタの概略形状が示されているが、ここで用いるフィルタは、ハイパスフィルタに限らず、ローパスフィルタやバンドパスフィルタでもよい。ローパスフィルタを用い、その特性を、ドライバがハンドルに入力するトルクの周波数を通過させる一方、ドライバにとって意図しない高周波を除去するように設定すれば、ハンドルトルク推定値Thから、ドライバの意図しない高周波成分を除去できるので、発生するアシストトルクが滑らかになって、滑らかな操舵が実現できる。一方、ハイパスフィルタを用い、その特性を、ドライバがハンドルを切り始める過渡的期間にハンドルに入力される高い周波数は通過させる一方、過渡的期間後に入力される、過渡的期間よりも低い周波数は除去するように設定すれば、切り始めなどの過渡のみハンドルトルク推定値Thに応じてアシストされることになり、過渡以外は、路面反力トルク推定値Tlに応じてアシストされることになる。よって、路面反力トルク推定値Tlのみでアシストする場合に生じるアシスト遅れ(上述の粘性感)を抑制できる。なお、ハイパスフィルタやローパスフィルタに限られず、バンドパスフィルタやバンドエリミネーションフィルタを用いることもできる。なお、フィルタの通過周波数帯の設定には、ドライバや車両の特性、ドライバの好み等が関連する。従って、最終的には、実験に基づいてフィルタの通過周波数帯を設定する。
【0032】
図4は、第1実施形態のアシスト決定部120が実行する処理を示すフローチャートである。まず、ステップS1では、トルクセンサ4から操舵トルクTsを読み込み、回転角速度センサ13からモータ6の回転角速度dThcを読み込み、モータ電流センサ14からモータ電流値Curを読み込む。続くステップS2では、ステアリングS1で読み込んだ値(Ts、dThc、Cur)を用いてハンドルトルク推定値Th、路面反力トルク推定値Tlを演算する。これらステップS1、S2の処理は、ハンドルトルク推定器111、路面反力トルク推定器112が行う。続くステップS3では、ステップS2で得たハンドルトルク推定値Th、路面反力トルク推定値Tlを用いてアシスト指令値Taを演算する。
【0033】
以上、説明した第1実施形態によれば、ハンドルトルク推定値Thと路面反力トルク推定値Tlとを別々に推定しており、さらに、ハンドルトルク推定値Thと路面反力トルク推定値Tl、それぞれに基づいて独立にアシストトルク(ハンドル側アシストトルク、路面側アシストトルク)を決定している。このように、ハンドル側アシストトルクと路面側アシストトルクを別々に決定していることから、ドライバの操舵を補助するという機能と、路面反力を部分的に打ち消すという機能とを別個に調整することができるので、調整が容易となる。
【0034】
そして、ハンドル側アシストトルクを決定するハンドル側アシスト決定部121はフィルタを備える構成としている。この構成により、前述のように、たとえば、ハンドル側アシスト決定部121のフィルタをローパスフィルタとすれば滑らかな操舵が実現でき、ハイパスフィルタとすれば、アシスト遅れを抑制できるなど、自然なフィーリングを容易に実現することができる。
【0035】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を説明する。第2実施形態は、アシスト決定部120aのみが第1実施形態と相違する。図5は、第2実施形態のアシスト決定部120aの構成図である。アシスト決定部120aは、ハンドルトルク推定値Thに基づいてハンドル側アシストトルクを決定するハンドル側アシスト決定部121a、路面反力トルク推定値Tlに基づいて路面側アシストトルクを決定する路面側アシスト決定部122a、および、加算器123を備えている。
【0036】
前述の第1実施形態では、ハンドル側アシスト決定部121がフィルタである一方、路面側アシスト決定部122は増幅器であったが、この第2実施形態では、第1実施形態とは逆に、ハンドル側アシスト決定部121aが増幅器であり、路面側アシスト決定部122aがフィルタである。
【0037】
なお、図5の路面側アシスト決定部122aにはハイパスフィルタの概略形状が示されているが、ここで用いるフィルタも、ハイパスフィルタに限らず、ローパスフィルタ、バンドパスフィルタ、バンドエリミネーションフィルタでもよい。
【0038】
たとえば、このフィルタをハイパスフィルタとし、その特性を、路面からの高周波振動を通過させる一方、路面からの低周波振動を除去するように設定すると、路面からの高周波振動に基づいて路面側アシストトルクが決定されることになるので、路面の高周波振動がそのアシストトルクにより打ち消され、路面の低周波振動のみがハンドルに伝えられる。従って、たとえば、段差を通過したときなどのステップ状の入力が路面からあったとしても、ハンドルが急にとられてしまうことを防ぐことができる。
【0039】
また、バンドパスフィルを用い、その特性を、ドライバの所望する路面や車体の振動の周波数は通過させ、その周波数帯よりも低周波および高周波を除去するように設定すると、ドライバの所望する路面や車体の振動は伝えつつ、不要な振動を打ち消すことができる。たとえば、車体のヨーやロール共振周波数(たとえば1Hz付近)をハンドルに伝えるように設定することもでき、その場合、車体の動きがハンドルを通じてよく分かるようになることから、操舵がしやすくなる。また、操舵メカ系の共振周波数(たとえば10Hz付近)を伝えるように設定しても、操舵メカ系の動きがよく分かるようになるので、操舵がしやすくなる。また、タイヤの共振周波数(たとえば18Hz付近)をハンドルに伝えるようにした場合には、操舵時にタイヤの状態(切れ角やグリップ感)がよく分かるようになる。
【0040】
以上、説明した第2実施形態でも、ハンドルトルク推定値Thと路面反力トルク推定値Tlそれぞれに基づいて独立にアシストトルク(ハンドル側アシストトルク、路面側アシストトルク)を決定しており、ハンドル側アシストトルクを決定するハンドル側アシスト決定部121aはハンドルトルク推定値Thを定数倍する増幅器である一方、路面側アシストトルクを決定する路面側アシスト決定部122aはフィルタである。この構成により、前述のように、たとえば、路面側アシスト決定部122aのフィルタをハイパスフィルタとすればハンドルが急にとられてしまうことを防ぐことができる。また、バンドパスフィルタとすれば、ドライバの所望する路面や車体の振動は伝えつつ、不要な振動を打ち消すことができるなど、自然なフィーリングを容易に実現することができる。
【0041】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を説明する。第3実施形態は、アシスト決定部120bのみが第1、2実施形態と相違する。図6は、第3実施形態のアシスト決定部120bの構成図である。アシスト決定部120bは、第1実施形態と同じハンドル側アシスト決定部121、第2実施形態と同じ路面側アシスト決定部122a、および、加算器123を備えている。すなわち、第3実施形態では、ハンドル側アシスト決定部121、路面側アシスト決定部122aともフィルタである。ハンドル側アシスト決定部121のフィルタを周波数によらず一定のゲインとすれば第2実施形態と等価になり、路面側アシスト決定部122aのフィルタを周波数によらず一定のゲインとすれば第1実施形態と等価になる。従って、第3実施形態では、第1、2実施形態の双方の効果が得られる。
【0042】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態を説明する。第4実施形態も、アシスト決定部120cのみが、これまでに説明した第1〜3実施形態と相違する。図7は、第4実施形態のアシスト決定部120cの構成図である。このアシスト決定部120cは、ハンドル側アシスト決定部121a、路面側アシスト決定部122b、および、加算器123を備えている。これらのうち、ハンドル側アシスト決定部121aおよび加算器123は第1実施形態のものと同じである。一方、路面側アシスト決定部122bは可変増幅器であり、ハンドルトルク推定値Thに基づいて増幅率Klが変化する。そして、ハンドルトルク推定値Thにより決定された増幅率Klで路面反力トルク推定値Tlを増幅して路面側アシストトルクを出力する。
【0043】
ハンドルトルク推定値Thに応じて増幅率Klを大きくするか、反対に小さくするかはいずれでもよい。たとえば、ハンドルトルク推定値Thが大きいほど増幅率Klが小さくなるようになっているとすると、次のような効果が得られる。すなわち、ハンドルトルク推定値Thが大きい時は増幅率Klが小さくなることから、路面反力トルクは路面側アシストトルクによってあまり打ち消されない。したがって、路面反力トルクがハンドルに伝達されやすくなるので、ハンドルを握るドライバは路面情報が分かりやすくなる。また、ハンドルトルク推定値Thが小さい時(たとえば、ハンドルから手を離している時やハンドルの戻り時)には増幅率Klが大きくなるので、アシストトルクにより打ち消される路面反力トルクTlの割合が大きくなり、収斂性が向上する。
【0044】
なお、どの程度増幅するかは種々設定可能であり、たとえば、出力値(路面側アシストトルク)が入力値(路面反力トルク推定値)に対して一次関数や二次関数で変化するように設定してもよい。また、対数で変化するように設定してもよく、自然対数で変化するようにすると、特に自然なフィーリングとなる。また、関数ではなく、マップを用いてもよい。
【0045】
以上、説明した第4実施形態によれば、ハンドルトルク推定値Thからハンドル側アシストトルクを決定し、路面反力トルク推定値Tlから路面側アシストトルクを推定している。このように、ハンドル側アシストトルクと路面側アシストトルクを別々に決定していることから、ドライバの操舵を補助するという機能と、路面反力を部分的に打ち消すという機能とを別個調整することができるので、調整が容易となる。また、路面側アシストトルクについては、ハンドルトルク推定値Thに基づいて増幅率Klが定まる可変増幅器を用いていることから、ドライバの入力に応じて、ドライバに伝わる路面反力トルクの割合が変化する。よって、前述したように、操舵時には路面情報をドライバに伝えつつ、収斂性も良好となる。
【0046】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態を説明する。第5実施形態は、アシスト決定部120dのみが第4実施形態と相違する。図8は、第5実施形態のアシスト決定部120dの構成図である。アシスト決定部120dは、ハンドル側アシスト決定部121b、路面側アシスト決定部122、および、加算器123を備えている。これらのうち、路面側アシスト決定部122および加算器123は第1実施形態のものと同じである。
【0047】
一方、ハンドル側アシスト決定部121bは可変増幅器であり、路面反力トルク推定値Tlに基づいて増幅率Khが変化する。そして、路面反力トルク推定値Tlにより決定された増幅率Khでハンドルトルク推定値Thを増幅してハンドル側アシストトルクを出力する。
【0048】
路面反力トルク推定値Tlに応じて増幅率Khを大きくするか、反対に小さくするかはいずれでもよい。たとえば、路面反力トルク推定値Tlが小さいほど増幅率Khが大きくなるようになっているとする。路面反力トルク推定値Tlが小さい時は増幅率Khが大きくなることから、路面反力トルクが小さい操舵初期の応答性が高くなる。一方、ハンドルが戻る状態では路面反力トルクが大きいことから、増幅率Khが小さくなる。その結果、最終的なアシストトルクにおける路面側アシストトルクの割合が相対的に大きくなる。つまり、ハンドルの戻り時のアシストトルクが路面反力トルクをよく反映したトルクとなるので、自然なアシストが実現される。
【0049】
以上、説明した第5実施形態でも、ハンドルトルク推定値Thからハンドル側アシストトルクを決定し、路面反力トルク推定値Tlから路面側アシストトルクを推定している。すなわち、ハンドル側アシストトルクと路面側アシストトルクを別々に決定していることから、ドライバの操舵を補助するという機能と、路面反力を部分的に打ち消すという機能とを別個調整することができるので、調整が容易となる。また、ハンドル側アシストトルクについては、路面反力トルク推定値Tlに基づいて増幅率Khが定まる可変増幅器を用いていることから、路面からの入力に応じてドライバ入力をアシストする割合が変化する。よって、前述したように、操舵初期の応答性が高くなり、かつ、ハンドルの戻り時のアシストも自然なものとなる。
【0050】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態を説明する。第6実施形態は、アシスト決定部120eのみが第4,5実施形態と相違する。図9は、第6実施形態のアシスト決定部120eの構成図である。アシスト決定部120eは、第5実施形態と同じハンドル側アシスト決定部121b、および、第4実施形態と同じ路面側アシスト決定部122b、および、加算器123を備えている。すなわち、第6実施形態では、ハンドル側アシスト決定部121b、路面側アシスト決定部122bとも可変増幅器である。また、第4、第5実施形態と同様、ハンドル側アシスト決定部121bである可変増幅器は路面反力トルク推定値Tlに基づいて増幅率Khが定まり、路面側アシスト決定部122bである可変増幅器はハンドルトルク推定値Thに基づいて増幅率Klが定まる。
【0051】
ここで、ハンドル側アシスト決定部121bのゲインKlを路面反力トルク推定値Tlによらず一定のゲインとすれば第4実施形態と等価になり、路面側アシスト決定部122bのゲインKhを路面反力トルク推定値Tlによらず一定のゲインとすれば第5実施形態と等価になる。従って、第6実施形態では、第4、5実施形態の双方の効果が得られる。
【0052】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0053】
たとえば、第4〜6実施形態における可変増幅器として、フィルタ機能を備えた可変増幅器を用いてもよい。換言すれば、第4〜6実施形態における可変増幅器として、ゲインが可変のフィルタを用いてもよい。また、前述の実施形態において、ゲインを、さらに車速に応じて変化させてもよい。
【0054】
また、前述の実施形態では、いずれの実施形態も、ハンドルトルク推定値と路面反力トルク推定値を別々の推定器111、112により推定していた。しかし、これに限られず、2つの推定値Th、Tlを一つの推定器で推定するようにしてもよい。図10は、1つのトルク推定器113でハンドルトルク推定値Thと路面反力トルク推定値Tlとを両方推定する推定器である。このトルク推定器113は、ハンドルトルクのみが電動パワーステアリング装置に入力され、路面反力トルクなどの他のトルクは入力されない状態では、入力されたハンドルトルクに対応するハンドルトルク推定値Thを出力し、路面反力トルクのみが車両に入力され、他のトルクは入力されない状態では、入力された路面反力トルクに対応する路面反力トルク推定値Tlを出力するように設計されている。
【符号の説明】
【0055】
1:制御装置、2:ステアリングホイール(ハンドル)、3:ステアリング軸、4:トルクセンサ、5:減速機構、6:モータ、7:インターミディエイトシャフト、8:ギヤ装置、9:ピニオン軸、10:ラック軸、11:タイヤ、13:回転角速度センサ、14:モータ電流センサ、111:ハンドルトルク推定器、112:路面反力トルク推定器、120:アシスト決定部、121:ハンドル側アシスト決定部、122:路面側アシスト決定部、123:加算器、130:電流指令値変換器、140:電流制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アシストトルクを発生するモータと、
ハンドルから入力されるトルクを推定したハンドルトルク推定値と、路面からタイヤに入力されるトルクを推定した路面反力トルク推定値とに基づいて前記アシストトルクを決定するアシスト決定部とを有する電動パワーステアリング装置であって、
前記アシスト決定部は、
ハンドルトルク推定値に基づいてハンドル側アシストトルクを決定するハンドル側アシスト決定部と、路面反力トルク推定値に基づいて路面側アシストトルクを決定する路面側アシスト決定部とを備え、それらハンドル側アシストトルクと路面側アシストトルクとに基づいて前記アシストトルクの指令値であるアシスト指令値を出力するものであり、
前記ハンドル側アシスト決定部および前記路面側アシスト決定部の少なくともいずれか一方は、入力されたトルク推定値の一部の周波数成分を通過させるフィルタを備えていることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記ハンドル側アシスト決定部が前記フィルタを備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記路面側アシスト決定部が前記フィルタを備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記ハンドル側アシスト決定部および前記路面側アシスト決定部は、いずれも前記フィルタを備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項5】
請求項2または4において、
前記ハンドル側アシスト決定部が備えるフィルタが、ドライバにとって意図しない高周波を除去するように設定されたローパスフィルタであることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項6】
請求項2または4において、
前記ハンドル側アシスト決定部が備えるフィルタが、ドライバがハンドルを切り始める過渡的期間にハンドルに入力される高い周波数は通過させる一方、過渡的期間後に入力される、過渡的期間よりも低い周波数は除去するように設定されたハイパスフィルタであることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項7】
請求項3または4において、
前記路面側アシスト決定部が備えるフィルタが、路面からの高周波振動を通過させる一方、路面からの低周波振動を除去するように設定されたハイパスフィルタであることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項8】
請求項3または4において、
前記路面側アシスト決定部が備えるフィルタが、ドライバの所望する路面や車体の振動の周波数は通過させ、その周波数帯よりも低周波および高周波を除去するように設定されたバンドパスフィルタであることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項9】
アシストトルクを発生するモータと、
ハンドルから入力されるトルクを推定したハンドルトルク推定値と、路面からタイヤに入力されるトルクを推定した路面反力トルク推定値とに基づいて前記アシストトルクを決定するアシスト決定部とを有する電動パワーステアリング装置であって、
前記アシスト決定部は、
ハンドルトルク推定値に基づいてハンドル側アシストトルクを決定するハンドル側アシスト決定部と、路面反力トルク推定値に基づいて路面側アシストトルクを決定する路面側アシスト決定部とを備え、それらハンドル側アシストトルクと路面側アシストトルクとに基づいてアシスト指令値を出力するものであり、
前記ハンドル側アシスト決定部および前記路面側アシスト決定部の少なくともいずれか一方は可変増幅器を備え、その可変増幅器は、他方のトルク推定値に基づいて増幅率が決定されることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記路面側アシスト決定部は前記可変増幅器を備え、その可変増幅器は、前記ハンドルトルク推定値に基づいて増幅率が決定されることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項11】
請求項9において、
前記ハンドル側アシスト決定部は前記可変増幅器を備え、その可変増幅器は、前記路面反力トルク推定値に基づいて増幅率が決定されることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項12】
請求項9において、
前記ハンドル側アシスト決定部および前記路面側アシスト決定部はいずれも前記可変増幅器を備え、
ハンドル側アシスト決定部の可変増幅器は前記路面反力トルク推定値に基づいて増幅率が決定され、
路面側アシスト決定部の可変増幅器は前記ハンドルトルク推定値に基づいて増幅率が決定されることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項13】
請求項10または12において、
前記路面側アシスト決定部が備える可変増幅器は、ハンドルトルク推定値が大きいほど増幅率が小さくなる可変増幅器であることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項14】
請求項11または12において、
前記ハンドル側アシスト決定部が備える可変増幅器は、路面反力トルク推定値が小さいほど増幅率が大きくなる可変増幅器であることを特徴等する電動パワーステアリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−32086(P2013−32086A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168679(P2011−168679)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】