説明

制御装置およびフォークリフト

【課題】装置構成の大型化およびコスト増加を抑えつつ、意図しない旋回を防止できるようにする。
【解決手段】検出ヨーレートが想定ヨーレートの所定範囲外となるような場合に(s160)、検出ヨーレートの作用による本体2の旋回を相殺する方向へ駆動輪53を操舵させるべく操舵トルクを付与しているため(s180)、これにより検出ヨーレートが想定ヨーレートに近い値となる結果、意図しない旋回を防止することができる。このとき、検出ヨーレートを、実際のステアリング51の操作に応じたヨーレートである想定ヨーレートと所定範囲以内に近似させることにより、効果的に意図しない旋回が防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトの動作を制御する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフトの中には、リーチ式フォークリフトのように、車両本体の後方領域における左右いずれかに駆動輪が配置されたものがある。この種のフォークリフトでは、駆動輪の配置を要因として、例えば、前後方向への直進時や制動時などに車両本体が運転者の意思と関係なく旋回してしまうことがあった。
【0003】
この課題に対しては、車両本体の前方領域に配置された一対の前輪それぞれにブレーキを設け、駆動輪のスリップが検出された際にそのブレーキを作動させることで、スリップをキッカケとする旋回を防止する、といった技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−151494号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記技術では、一対の前輪それぞれにブレーキを設けることで装置構成が不必要に大きくなるばかりか、旋回防止のためだけに大幅にコストが増加してしまうという課題があった。
【0006】
本願発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、装置構成の大型化およびコスト増加を抑えつつ、意図しない旋回を防止できるようにするための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため第1の構成は、車両本体の重心から前後方向に延びる中心線を挟んだ左右いずれかの領域に駆動輪が配置されてなるフォークリフト、の動作を制御する制御装置である。
【0008】
この制御装置は、操舵輪を操舵させるべく運転者が操作するステアリングにつき、該ステアリングの操作量を検出する操作検出手段と、車両本体に作用しているヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、前記操作検出手段により検出された操作量が車両本体を前後方向に直進させる際の操作量となっている場合に、前記ヨーレート検出手段により検出されたヨーレート(検出ヨーレート)が、車両本体が前後方向に直進している場合におけるヨーレート(想定ヨーレート)の所定範囲外となっているか否かを判定するヨーレート判定手段と、前記ヨーレート判定手段により前記検出ヨーレートが前記想定ヨーレートの所定範囲外になっていると判定されたときに、前記検出ヨーレートの作用による車両本体の旋回を相殺する方向へと操舵輪を操舵させるべく該操舵輪に操舵トルクを付与するトルク付与手段と、を備えている。
【0009】
上述したように、駆動輪が左右いずれかの領域に配置されたフォークリフトでは、車両本体を前後方向に直進させるべくステアリングの操作が行われているにも拘わらず、駆動輪の配置に起因して車両本体を旋回させる方向のヨーレートが発生することがある。上記構成では、実際に車両本体に作用しているヨーレート(検出ヨーレート)を検出しているため、これがステアリングの操作と無関係に大きくなると、直進させようとするステアリングの操作に応じた想定ヨーレートから離れた値(所定範囲外)となり、このヨーレートの相違が車両本体に意図しない旋回を発生させる原因になってしまう。
【0010】
ところが、上記構成では、検出ヨーレートが想定ヨーレートの所定範囲外となる場合に、検出ヨーレートの作用による車両本体の旋回を相殺する方向へ操舵輪を操舵させるべく操舵トルクを付与するため、これにより検出ヨーレートが想定ヨーレートに近い値となる結果、意図しない旋回を防止することができる。
【0011】
そして、上記構成では、操舵トルクを付与して旋回を防止するという構成上、例えば、ステアリングモータなどステアリングの操作量に応じた操舵トルクを操舵輪に付与する手段を流用して旋回を防止することができるため、装置構成が大型化してしまうこともなければ、旋回防止のためだけにコストが大幅に増加してしまうようなこともない。
【0012】
さらに、上記構成では、操舵輪の操舵により旋回を防止していることから、ブレーキにより旋回を防止する構成のように、車両の走行速度を不必要に低下させてしまうようなこともない。
【0013】
なお、上記構成では、検出ヨーレートが想定ヨーレートの所定範囲外になっている間にわたって操舵輪へと操舵トルクが付与され、検出ヨーレートが想定ヨーレートの所定範囲以内になると、操舵輪へと付与されていた操舵トルクは解除されることになる。また、ステアリングの操作量が車両本体を前後方向に直進させる場合の操作量でなくなると、検出ヨーレートと想定ヨーレートとの比較が行われなくなり、検出ヨーレートが想定ヨーレートの所定範囲以内となっているか否かが判定されなくなるため、この場合も、操舵輪へと付与されていた操舵トルクは解除されることになる。
【0014】
また、上記構成において、操舵輪に付与される操舵トルクは、検出ヨーレートの作用による旋回を相殺させる方向へ操舵輪を操舵させることができればよいが、検出ヨーレートを想定ヨーレートの所定範囲内とするために必要な操舵角だけ、操舵輪を操舵させることができるものであると、意図しない旋回を抑制するために好適といえる。
【0015】
このためには、上記構成を以下に示す第2の構成(請求項2)のようにするとよい。
第2の構成においては、前記ヨーレート判定手段により前記検出ヨーレートが前記想定ヨーレートの所定範囲外になっていると判定された場合に、前記検出ヨーレートおよび前記想定ヨーレートに基づき、該検出ヨーレートの作用による車両本体の旋回を相殺する方向に操舵輪を操舵した結果として前記検出ヨーレートが前記想定ヨーレートと所定範囲以内となるような操舵角を特定する操舵角特定手段、を備えている。
【0016】
そして、前記トルク付与手段は、前記ヨーレート判定手段により前記検出ヨーレートが前記想定ヨーレートの所定範囲外になっていると判定されたときに、操舵輪が前記操舵角特定手段により特定された操舵角だけ操舵されるように該操舵輪に対して操舵トルクを付与する。
【0017】
この構成であれば、検出ヨーレートを、実際のステアリングの操作に応じたヨーレートである想定ヨーレートの所定範囲以内に近似させることができるため、より効果的に意図しない旋回を防止することができる。
【0018】
なお、「操舵輪を操舵した結果として検出ヨーレートが想定ヨーレートと所定範囲以内となるような操舵角」とは、検出された検出ヨーレートの作用による旋回が相殺される方向への旋回を発生させ、その後の検出ヨーレートが想定ヨーレートの所定範囲内とすることができるような操舵輪の操舵角のことである。この操舵角は、検出ヨーレートと想定ヨーレートとの差に応じてあらかじめ定められた値を用いてもよいし、その都度、各ヨーレートなどのパラメータに基づいて算出した値を用いることとしてもよい。
【0019】
また、上記構成において、検出ヨーレートと想定ヨーレートとの比較、および、操舵輪への操舵トルクの付与は、より意図しない旋回が起こりやすい状況にのみ実施することとしてもよい。意図しない旋回が起こりやすい状況としては、例えば、一定以上の速度で直進していた状態から、駆動輪の回転を抑制して制動を行うような状況が考えられる。
【0020】
駆動輪の回転を抑制する状況では、慣性により車両本体が直進し続けようとするため、駆動輪の配置された左右いずれかの領域が反対の領域よりも比較的強く制動されることになり、左右の速度バランスが崩れてヨーレートが大きくなりやすくなる。このことは、フォークリフトの前方側で荷物を支えるなどして重量バランスが前方に傾いているような場合に特に顕著となる。
【0021】
このような状況においてのみ、検出ヨーレートと想定ヨーレートとの比較、および、操舵輪への操舵トルクの付与、を実施するためには、例えば、上記各構成を以下に示す第3の構成(請求項3)のようにするとよい。
【0022】
第3の構成においては、車両本体の走行速度を検出する速度検出手段と、駆動輪の回転を抑制させるための制動操作が行われていることを検出する制動検出手段と、を備えており、前記トルク付与手段は、前記速度検出手段により検出された走行速度が一定以上となっており、かつ、前記制動検出手段により制動操作が行われていることが検出されている状態において、前記ヨーレート判定手段により前記検出ヨーレートが前記想定ヨーレートの所定範囲外になっていると判定されたときに、前記操舵輪に対する操舵トルクの付与を行う、ように構成されている。
【0023】
この構成であれば、検出ヨーレートと想定ヨーレートとの比較、および、操舵輪への操舵トルクの付与を、より意図しない旋回が起こりやすい状況においてのみ実施することができるようになる。
【0024】
また、この構成においては、例えば、駆動輪にブレーキが備えられている場合においてそのブレーキが操作されたことや、車両本体が走行する方向と反対方向に駆動輪を回転させるための操作がなされたことなどを、制動操作が行われたものとして判定すればよい。
【0025】
この前者のようにブレーキが操作されたことをもって制動操作が行われたと判定するためには、上記各構成を以下に示す第4の構成(請求項4)のようにするとよい。
第4の構成において、前記制動検出手段は、前記駆動輪の回転を抑制するブレーキが操作されていることを、前記制動操作が行われているものとして検出する。
【0026】
この構成であれば、ブレーキが操作されている状態を、制動操作が行われている状態として判定することができる。
また、車両本体が走行する方向と反対方向に駆動輪を回転させるための操作がなされたことを、制動操作が行われたものとして判定するためには、上記各構成を以下に示す第5の構成(請求項5)のようにするとよい。
【0027】
第5の構成において、前記制動検出手段は、車両本体を前方および後方のいずれか一方に走行させるべく操作がなされている状態から、いずれか他方に走行させるための操作へと切り替えられて以降、前記速度検出手段により検出される走行速度が一定未満となるまでを、前記制動操作が行われているものとして検出する。
【0028】
この構成であれば、車両本体が走行する方向と反対方向に駆動輪を回転させるための操作が開始されて以降、走行速度が一定未満となるまでの間、制動操作が行われているものとして判定することができる。
【0029】
ところで、上記各構成においては、ステアリングの操作量が車両本体を前後方向に直進させる操作量である場合にのみ、操舵輪に操舵トルクを付与するようにしてもよく、このためには、上記各構成を以下に示す第6の構成(請求項6)のようにすることが考えられる。
【0030】
第6の構成において、前記ヨーレート判定手段は、前記操作検出手段により検出された操作量が車両本体を前後方向に直進させる操作量以外の操作量となったときに、前記検出ヨーレートが前記想定ヨーレートの所定範囲外となっているか否かの判定を中止する。
【0031】
このような構成であれば、車両本体を旋回させるべくステアリングが操作されている場合においてのみ、検出ヨーレートが想定ヨーレートの所定範囲外となっているか否かの判定を経て、検出ヨーレートの作用による車両本体の旋回を相殺する方向へ操舵輪を操舵させるべく操舵トルクを付与することができる。
【0032】
また、上記第1から5のいずれかの構成においては、ステアリングの操作量が車両本体を前後方向に直進させる操作量である場合に操舵輪に操舵トルクを付与するようにしているが、車両本体を前後方向に直進させる操作量以外の操作量となっている場合においても、操舵トルクを付与することとしてもよい。
【0033】
このためには、上記各構成を以下に示す第7の構成(請求項7)のようにすることが考えられる。
第7の構成において、前記ヨーレート判定手段は、前記操作検出手段により検出された操作量が車両本体を前後方向に直進させる操作量以外の操作量となっている場合に、前記検出ヨーレートが、その操作量に応じた操舵角となるように操舵輪が操舵されている場合におけるヨーレート(想定ヨーレート)の所定範囲外となっているか否かを判定する。
【0034】
このような構成であれば、車両本体を旋回させるべくステアリングが操作されている場合においても、検出ヨーレートの作用による車両本体の旋回を相殺する方向へ操舵輪を操舵させるべく操舵トルクを付与することにより、検出ヨーレートを想定ヨーレートに近づけて意図しない旋回(意図よりも小さいまたは大きい旋回)を防止することができる。
【0035】
また、上記各構成において、ヨーレートを検出するための具体的な構成は特に限定されないが、例えば、ヨーレートセンサからの出力に基づいて検出することが考えられる。このヨーレートセンサを用いる場合には、上記各構成を以下に示す第8の構成(請求項8)のようにするとよい。
【0036】
第8の構成において、前記ヨーレート検出手段は、車両本体に設けられたヨーレートセンサからの出力に基づいてヨーレートを検出する。
この構成であれば、ヨーレートセンサからの出力に基づいてヨーレートを検出することができる。
【0037】
なお、ヨーレートを検出するためのセンサとしては、ヨーレートセンサの他に回転方向の速度(角速度)を検出するジャイロセンサなどを採用してもよい。
また、ヨーレートを検出するための構成としては、車両本体に設けられている左右一対の車輪の回転速度の差に基づいて検出することを考えることもできる。このためには、上記各構成を以下に示す第9の構成(請求項9)のようにするとよい。
【0038】
第9の構成において、前記ヨーレート検出手段は、車両本体の重心から前後方向に延びる中心線を挟んだ左右の領域それぞれに設けられた一対の従動輪につき、該従動輪それぞれの回転速度を検出するセンサからなり、該センサそれぞれに検出される回転速度の差およびセンサ間の距離に基づいて、前記検出ヨーレートを特定するように構成されている。
【0039】
この構成であれば、一対の従動輪それぞれの回転速度の差に基づいてヨーレートを特定することができる。
また、上記課題を解決するため第10の構成(請求項10)は、上記第1〜第9のいずれかの構成に係る制御装置を備えている。
【0040】
この構成であれば、上記各構成と同様の作用、効果を得ることができる。
また、上記課題を解決するため第11の構成は、コンピュータを、上記第1〜第9のいずれかの構成に係る制御装置として機能させる。
【0041】
このプログラムにより機能するコンピュータは、上記各構成と同様の作用効果を得ることができる。
なお、上述したプログラムは、コンピュータシステムによる処理に適した命令の順番付けられた列からなるものであって、各種記録媒体や通信回線を介して制御装置またはフォークリフトや、これを利用するユーザに提供されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】フォークリフトの全体を示す斜視図
【図2】ステアリング装置の構成を示すブロック図
【図3】車両本体における駆動輪の配置を示す上面図
【図4】姿勢補正処理の処理手順を示すフローチャート
【図5】車両本体に発生するモーメントを示す図
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(1)基本構成
フォークリフト1は、荷役作業に用いられるものであり、図1に示すように、本体2の前方に荷役機構3が設けられ、本体2の後方に運転席4およびステアリング装置5が設けられている。
【0044】
このステアリング装置5は、本体2の後方側において運転席4と隣接する左側領域に搭載されたものであり、図2に示すように、操舵のために操作されるステアリング51、フォークリフト1を移動させるべく回転駆動される駆動輪53、駆動輪53を回転させるための駆動モータ55、駆動モータ55の回転を駆動輪53へと伝達する回転伝達機構57、駆動モータ55を動作させるための駆動回路59、駆動輪53を操舵させるためのステアリングモータ61、ステアリングモータ61の動力を駆動輪53へと伝達する操舵伝達機構63、ステアリングモータ61を動作させるための駆動回路65、ステアリング51の操作量を操作トルクにより検出する操作センサ71、駆動輪53の操舵角を検出する舵角センサ73、本体2に作用しているヨーレートを検出するヨーレートセンサ75、フォークリフト1の走行速度を検出する速度センサ77、ステアリング装置5全体の動作を制御する制御装置であるコントローラ81、アクセルレバーなどを有する操作部83、ブレーキスイッチ85からの指令を受けて駆動輪53の回転にブレーキをかけるブレーキ部87、などを備えている。
【0045】
これらのうち、駆動輪53は、回転伝達機構57を介して駆動モータ55に回転駆動させられるだけでなく、操舵伝達機構63を介してステアリングモータ61に操舵させられるように構成されており、操舵輪としても機能する。
【0046】
また、駆動モータ55を動作させる駆動回路59は、コントローラ81からの指令を受けて、その指令に応じた回転方向および回転数で駆動モータ55を回転させる。この場合のコントローラ81からの指令は、操作部83におけるアクセルレバーの操作状態に応じて規定され、アクセルレバーの傾倒方向(前/後)で回転方向が規定され、その傾倒量に応じて回転数が規定される。
【0047】
なお、この駆動回路59は、ブレーキスイッチ85がオン状態になっている場合にのみ、アクセルレバーの操作状態に応じた駆動モータ55の制御を行う。ブレーキスイッチ85は、運転席4に搭乗した運転者がオン状態(ブレーキ解除)またはオフ状態へと操作できるように取り付けられていることから、ここでは、運転者が搭乗してオン状態に操作されているときのみ、駆動回路59による駆動モータ55の制御が行われることとなる。
【0048】
また、ステアリングモータ61を動作させる駆動回路65は、コントローラ81からの指令を受けて、その指令に応じた回転方向および回転数(で定義される操舵トルク)でステアリングモータ61を回転させる。この場合のコントローラ81からの指令は、操作センサ71により検出される操作トルクの印加方向および大きさに応じて規定され、操作トルクの印加方向で回転方向が規定され、その大きさに応じて回転数(操舵トルク)が規定される。つまり、コントローラ81は、操作センサ71により検出される操作トルクに応じて、ステアリング51の操作をアシストするための操舵トルクがステアリングモータ61により発生されるよう、駆動回路65への指令を実行することになる。
【0049】
なお、本実施形態では、ヨーレートセンサ75の検出値から本体2に作用するヨーレートを特定する構成としているが、ヨーレートは、別のセンサや構成により特定することとしてもよく、例えば、ジャイロセンサに基づいて特定することとしてもよい。また、本体2の両端側に設けられた一対の従動輪(例えば、前輪など)それぞれについて、その回転速度を検出するセンサが備えられている場合であれば、そのセンサそれぞれにより検出される回転速度の差およびセンサ間の距離に基づいてヨーレートを特定するように構成してもよい。
【0050】
このような構成のステアリング装置5は、本体2の後方側において運転席4と隣接する左側領域に搭載されている関係上、図3に示すように、本体2の重心から前後方向に延びる中心線を挟んだ左側に駆動輪53が位置するレイアウトとなっている。
(2)姿勢補正処理
ここで、コントローラ81が、内蔵メモリに格納されたプログラムに従って実行する姿勢補正処理の処理手順を図4に基づいて説明する。この姿勢補正処理は、ステアリング装置5が起動した以降、繰り返し実行される。
【0051】
この姿勢補正処理が起動されると、まず、その時点におけるステアリング51の操作量が、本体2を前後方向に直進させる場合における操作量となっているか否かがチェックされる(s120)。ここでは、まず、操作センサ71の出力からステアリング51の操作量が特定され、これが、本体2を前後方向に直進させる場合における駆動輪53の操舵角に対応する操作量(が中心となる所定の範囲内)になっているか否かがチェックされる。
【0052】
このs120で、本体2を前後方向に直進させる場合における操作量であると判定された場合(s120:YES)、本体2の姿勢を補正すべき補正条件が充足しているか否かがチェックされる(s130)。ここでは、速度センサ77により検出された走行速度が一定(例えば停止していない場合における速度)以上となっているか否か、操作部83またはブレーキスイッチ85により制動操作(ブレーキスイッチ85をオフ状態とする操作)が行われているか否か、が判定され、一定以上の走行速度となっており、かつ、制動操作が行われていることをもって、補正条件が充足していると判定される。
【0053】
ここでいう操作部83による制動操作とは、速度センサ77により検出される走行速度が所定のしきい値以上となっている状態で、それまで進行していた方向(前または後)と反対方向に逆進させるために行われるアクセルレバーの操作のことであり、走行速度がしきい値未満となるまでがこの場合の制動操作が行われている期間となる。
【0054】
つまり、アクセルレバーの操作による本体2の進行方向と、速度センサ77により検出された走行速度(プラス、マイナス)で規定される進行方向と、が反対になっている場合に、制動操作が行われていると判定されることとなる。
【0055】
このs130で補正条件が充足されていると判定された場合(s130:YES)、本体2に発生しているヨーレート(検出ヨーレート)が特定される(s140)。ここでは、センサの検出値からヨーレートを検出するように構成した場合であれば、その検出値に基づいてヨーレートが特定され、一対の従動輪の回転速度差および速度検出用のセンサ間の距離に基づいてヨーレートを特定するように構成した場合であれば、それらパラメータに基づいてヨーレートが特定(算出)される。なお、検出ヨーレートは、本体2の重心周りにおいて発生するヨーレートに換算されたものとして特定される。
【0056】
次に、上記s120にて特定された操作量に応じた操舵角となるように駆動輪53が操舵されている場合におけるヨーレート(想定ヨーレート)が特定される(s150)。本実施形態では、先に行われた上記s120で「YES」と判定されていることから、前後方向に直進させる場合に本体2の重心周りに発生するヨーレートとして、「0」(または「0」を中心とする所定のしきい値範囲)が想定ヨーレートとして特定される。
【0057】
次に、本体2に運転者の意図しない旋回が発生しているか否かがチェックされる(s160)。ここでは、上記s150にて特定された検出ヨーレートが、上記s150にて特定された想定ヨーレートの所定範囲外(所定のしきい値以上離れた値)となっていることをもって、本体2に運転者の意図しない旋回が発生していると判定される。
【0058】
この時点では、上記s120,s130で「YES」と判定されていることから、本体2は、直進中に制動操作が行われていることになり、本実施形態では、駆動輪53が左にオフセットしているが故に、図5(a)に示すように、本体2の左側方に想定される位置Cを旋回中心とする反時計回りの旋回が発生する恐れがある。
【0059】
これは、制動により後向きの力FBを作用させると、本体2の重心Gの周りにオフセット量A(駆動輪53の向きと直行する方向の距離)に応じた回転モーメントMB(=FB×A)が発生するからである。
【0060】
その結果、本体2は、このモーメントMBにより、旋回半径RBだけ離れた旋回中心Cを中心に旋回を始めることになる。このことが検出ヨーレートと想定ヨーレートとの違いとして現れる。なお、ここで重心Gと旋回中心Cとをつなぐ直線が左右方向(x軸方向)となす角度をθcとする。
【0061】
このs160で、意図しない旋回が発生していると判定された場合(s160:YES)、本体2の姿勢を補正するために必要な補正用操舵トルクとして特定される(s170)。
【0062】
このs170では、まず、検出された検出ヨーレートの作用による旋回が相殺される方向への旋回を発生させ、その後の検出ヨーレートが想定ヨーレートの所定範囲内とすることができるような駆動輪53の操舵角が補正操舵角として特定される。そして、上記s120にて特定された操作量に応じた操舵角を基準として、上述の補正操舵角だけ駆動輪53を駆動するのに必要な操舵トルクが算出される。
【0063】
具体的にいえば、補正操舵角とは、図5(b)に示すように、まず、重心Gと旋回中心Cとをつなぐ直線を旋回中心Cから離れる方向へ旋回半径RBと同程度の距離RTだけ延ばしていった位置を新たな旋回中心CTとし、モーメントMBと同程度かつ反対方向のモーメントMT(=FB×AT)が発生するような操舵角として特定される。
【0064】
つまり、ここでは、その時点における制動力(FB)に応じて、モーメントMTが発生するようなオフセット量ATを想定し、このオフセット量ATを形成するような操舵角が算出され、この操舵角だけ操舵するのに必要な操舵トルクが算出されることとなる。この補正操舵角は、検出ヨーレートと想定ヨーレートとの差に応じてあらかじめ定められた値を用いてもよいし、その都度算出した値を用いることとしてもよい。
【0065】
なお、駆動輪53が操舵されると、操舵角の変化に伴って重心Gとの関係で規定されるオフセット量Aが変化する(A→A’)ため、それにより、モーメントMB、旋回半径RB、旋回中心Cおよび角度θcといったパラメータも変化する(MB→MB'、RB→RB'、C→C'、θc→θc')。そのため、このようなパラメータの変化を前提として補正操舵角を特定するようにすることも精度という点で好適である。
【0066】
そして、上記s170にて算出された補正用操舵トルクが駆動輪53に対して付与され、これにより駆動輪53の操舵角が補正操舵角だけ操舵される(s180)。ここでは、コントローラ81が、ステアリングモータ61に補正用操舵トルクを追加的に発生させるべく、駆動回路65への指令を実行することにより、駆動輪53の操舵が実現される。
【0067】
また、上記s120で本体2を前後方向に直進させる場合における操作量ではないと判定された場合(s120:NO)、上記s130で補正条件が充足されていないと判定された場合(s130:NO)、または、上記s160で意図しない旋回が発生していないと判定された場合(s160:NO)、上記s180において駆動輪53に付与された補正用操舵トルクが解除された後(s190)、プロセスがs110へと戻る。
【0068】
ここでは、コントローラ81による指令が停止されることにより、補正用操舵トルクの付与が解除される。なお、このs190は、上記s180における駆動輪53への補正用操舵トルクの付与がなされていない状態であれば、何らの処理も行われない。
(3)作用効果
上述したように、駆動輪53が左右いずれかの領域に配置されたフォークリフト1では、本体2を前後方向に直進させるべくステアリング51の操作が行われているにも拘わらず、駆動輪53の配置に起因して本体2を旋回させる方向のヨーレートが発生することがある。
【0069】
上記実施形態では、実際に本体2に作用しているヨーレート(検出ヨーレート)を検出しているため(図4のs140)、これが、ステアリング51の操作と無関係に大きくなると、直進させようとするステアリング51の操作に応じた想定ヨーレートから離れた値(所定範囲外)となり、このヨーレートの相違が本体2に意図しない旋回を発生させる恐れがある。
【0070】
これに対し、上記実施形態では、検出ヨーレートが想定ヨーレートの所定範囲外となるような場合に(同図s160)、検出ヨーレートの作用による本体2の旋回を相殺する方向へ駆動輪53を操舵させるべく操舵トルクを付与しているため(同図s170〜s180)、これにより検出ヨーレートが想定ヨーレートに近い値となる結果、意図しない旋回を防止することができる。
【0071】
ここで、駆動輪53に付与される操舵トルクは、検出ヨーレートの作用による旋回を相殺させる方向へ駆動輪53を操舵させることができればよいが、上記実施形態では、さらに、検出ヨーレートを想定ヨーレートの所定範囲内とするために必要な操舵角だけ、駆動輪53を操舵させるべく操舵トルクを付与しているため、効果的に意図しない旋回を防止することができる。
【0072】
そして、上記実施形態では、操舵トルクを付与して意図しない旋回を防止するという構成上、ステアリングモータ61のように、ステアリング51の操作量に応じた操舵トルクを駆動輪53に付与する手段を流用できるため、これにより装置構成が大型化してしまうこともなければ、旋回防止のためだけに大幅にコストが増加してしまうようなこともない。
【0073】
さらに、上記実施形態では、駆動輪53を操舵することで旋回を防止していることから、ブレーキにより旋回を防止する構成のように、本体2の走行速度を不必要に低下させてしまうようなこともない。
【0074】
なお、上記実施形態では、検出ヨーレートが想定ヨーレートの所定範囲外になっていると判定されている間にわたって操舵輪へと操舵トルクが付与され(図4のs120〜s180)、検出ヨーレートが想定ヨーレートの所定範囲以内になると(同図s160「NO」)、操舵輪へと付与されていた操舵トルクは解除されることになる(同図s190)。
【0075】
また、ステアリング51の操作量が本体2を前後方向に直進させる場合の操作量でなくなると(同図s120「NO」)、検出ヨーレートと想定ヨーレートとの比較が行われなくなり、検出ヨーレートが想定ヨーレートの所定範囲以内となっているか否かが判定されなくなるため、この場合も、駆動輪53へと付与されていた操舵トルクは解除されることになる(同図s190)。
【0076】
また、上記実施形態では、検出ヨーレートと想定ヨーレートとの比較、および、操舵輪への操舵トルクの付与を、補正条件(走行速度が一定以上かつ制動操作が行われている)が充足されているときにのみ実施する(同図s130「YES」→s180)。
【0077】
フォークリフト1において駆動輪53による制動が行われている状況では、慣性により本体2が直進し続けようとするため、駆動輪53の配置された左領域が右領域よりも比較的強く制動されることになり、左右の速度バランスが崩れてヨーレートが大きくなりやすくなる。このことは、フォークリフト1の前方側で荷物を支えるなどして重量バランスが前方に傾いているような場合に特に顕著となる。
【0078】
つまり、ステアリング51が直進時の操作量のときに(同図s120「YES」)、補正条件(走行速度が一定以上かつ制動操作が行われている)が充足されていると、意図しない旋回が発生しやすくなるといえるため、これらの場合に駆動輪53への操舵トルクの付与を行うことは、意図しない旋回を防止するうえで好適である。
【0079】
また、上記実施形態では、ブレーキ部87を作動させるための操作がなされたことを、制動操作が行われたものとして判定することができる(図4のs130)。
また、上記実施形態では、本体2が走行する方向と反対方向に駆動輪53を回転させるための操作が開始されて以降、走行速度が一定未満となるまでの間、制動操作が行われているものとして判定することができる(図4のs130)。
【0080】
また、上記実施形態であれば、センサからの出力に基づいてヨーレートを特定する、または、一対の従動輪それぞれの回転速度の差およびその速度検出用のセンサ間の距離に基づいてヨーレート(検出ヨーレート)を特定することができる(図4のs140)。
(4)変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0081】
例えば、上記実施形態では、駆動輪53が本体2における左側にオフセットされたレイアウトについて例示したが、駆動輪53は右側にオフセットされたものであってもよい。
また、上記実施形態では、駆動輪53が本体2における左側にオフセットされていることから、制動中に発生しうる旋回の方向が進行方向との関係で一意に決められる。そのため、姿勢補正処理にて意図しない旋回が発生していると判定されている間、その旋回を相殺するものとして一意に決まる方向の操舵のみを許容し、その反対の操舵を抑制・禁止する、といったステアリングモータ61の制御をあらかじめ組み込んだ構成としてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、ステアリング51の操作量が本体2を前後方向に直進させる操作量である場合に駆動輪53に操舵トルクを付与するようにしているが、本体2を前後方向に直進させる操作量以外の操作量となっている場合においても、操舵トルクを付与することとしてもよい。このためには、姿勢補正処理におけるs120において、その時点におけるステアリング51の操作量を特定することとし、こうして特定した操作量に基づいて以降の処理が行われるようにすればよい。
【0083】
この構成であれば、本体2を旋回させるべくステアリング51が操作されている場合においても、検出ヨーレートの作用による本体2の旋回を相殺する方向へ駆動輪53を操舵させるべく操舵トルクを付与することにより、検出ヨーレートを想定ヨーレートに近づけて意図しない旋回(意図よりも小さいまたは大きい旋回)を防止することができる。
【0084】
また、上記実施形態では、速度センサ77により検出された走行速度が一定以上となっており、かつ、操作部83またはブレーキスイッチ85により制動操作が行われている状態を、補正条件が充足していると判定するように構成されている。ただ、この補正条件は、意図しない旋回が発生しうる条件であれば、上記以外の条件を採用してもよい。例えば、速度センサ77により検出された走行速度が一定以上となっていることのみを補正条件としてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、姿勢補正処理において、ステアリング51の操作量が、本体2を前後方向に直進させる場合における操作量となっており(図4のs120「YES」)、かつ、補正条件が充足されている場合に(同図s130「YES」)、検出ヨーレートおよび想定ヨーレートの特定を経て(同図s140、s150)、意図しない旋回が発生しているか否かを判定するように構成されている(同図s160)。しかし、補正条件の充足如何に拘らず、ステアリング51の操作量が本体2を前後方向に直進させる場合における操作量となっている場合に、検出ヨーレートおよび想定ヨーレートの特定を経て、意図しない旋回が発生しているか否かを判定するように構成してもよい。
【0086】
また、上記実施形態においては、ステアリング51が駆動伝達機構63に連結されていない構成(いわゆるステアバイワイヤー)が前提となっているが、ステアリング51が駆動伝達機構63に連結されている構成であっても、ステアリングモータ61による駆動輪53の操舵がステアリング51に反映されない範囲(いわゆる「遊び」となる範囲)内を上限として補正用操舵トルクを付与するようにすることも可能である。
(5)本発明との対応関係
以上説明した実施形態において、姿勢補正処理のs120が本発明における操作検出手段であり、同s130が本発明における速度検出手段および制動検出手段であり、同s140が本発明におけるヨーレート検出手段であり、同s160が本発明におけるヨーレート判定手段であり、同s170が本発明における操舵角特定手段であり、同s180,s190が本発明におけるトルク付与手段である。
【符号の説明】
【0087】
1…フォークリフト、2…本体、3…荷役機構、4…運転席、5…ステアリング装置、51…ステアリング、53…駆動輪、55…駆動モータ、57…回転伝達機構、59…駆動回路、61…ステアリングモータ、63…操舵伝達機構、65…駆動回路、71…操作センサ、73…舵角センサ、75…ヨーレートセンサ、77…速度センサ、81…コントローラ、83…操作部、85…ブレーキスイッチ、87…ブレーキ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体の重心から前後方向に延びる中心線を挟んだ左右いずれかの領域に駆動輪が配置されてなるフォークリフト、の動作を制御する制御装置であって、
操舵輪を操舵させるべく運転者が操作するステアリングにつき、該ステアリングの操作量を検出する操作検出手段と、
車両本体に作用しているヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、
前記操作検出手段により検出された操作量が車両本体を前後方向に直進させる際の操作量となっている場合に、前記ヨーレート検出手段により検出されたヨーレート(検出ヨーレート)が、車両本体が前後方向に直進している場合におけるヨーレート(想定ヨーレート)の所定範囲外となっているか否かを判定するヨーレート判定手段と、
前記ヨーレート判定手段により前記検出ヨーレートが前記想定ヨーレートの所定範囲外になっていると判定されたときに、前記検出ヨーレートの作用による車両本体の旋回を相殺する方向へと操舵輪を操舵させるべく該操舵輪に操舵トルクを付与するトルク付与手段と、を備えている
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記ヨーレート判定手段により前記検出ヨーレートが前記想定ヨーレートの所定範囲外になっていると判定された場合に、前記検出ヨーレートおよび前記想定ヨーレートに基づき、該検出ヨーレートの作用による車両本体の旋回を相殺する方向に操舵輪を操舵した結果として前記検出ヨーレートが前記想定ヨーレートと所定範囲以内となるような操舵角を特定する操舵角特定手段、を備えており、
前記トルク付与手段は、前記ヨーレート判定手段により前記検出ヨーレートが前記想定ヨーレートの所定範囲外になっていると判定されたときに、操舵輪が前記操舵角特定手段により特定された操舵角だけ操舵されるように該操舵輪に対して操舵トルクを付与する
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
車両本体の走行速度を検出する速度検出手段と、
駆動輪の回転を抑制させるための制動操作が行われていることを検出する制動検出手段と、を備えており、
前記トルク付与手段は、前記速度検出手段により検出された走行速度が一定以上となっており、かつ、前記制動検出手段により制動操作が行われていることが検出されている状態において、前記ヨーレート判定手段により前記検出ヨーレートが前記想定ヨーレートの所定範囲外になっていると判定されたときに、前記操舵輪に対する操舵トルクの付与を行う、ように構成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制動検出手段は、前記駆動輪の回転を抑制するブレーキが操作されていることを、前記制動操作が行われているものとして検出する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の制御装置。
【請求項5】
前記制動検出手段は、車両本体を前方および後方のいずれか一方に走行させるべく操作がなされている状態から、いずれか他方に走行させるための操作へと切り替えられて以降、前記速度検出手段により検出される走行速度が一定未満となるまでを、前記制動操作が行われているものとして検出する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の制御装置。
【請求項6】
前記ヨーレート判定手段は、前記操作検出手段により検出された操作量が車両本体を前後方向に直進させる操作量以外の操作量となったときに、前記検出ヨーレートが前記想定ヨーレートの所定範囲外となっているか否かの判定を中止する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の制御装置。
【請求項7】
前記ヨーレート判定手段は、前記操作検出手段により検出された操作量が車両本体を前後方向に直進させる操作量以外の操作量となっている場合に、前記検出ヨーレートが、その操作量に応じた操舵角となるように操舵輪が操舵されている場合におけるヨーレート(想定ヨーレート)の所定範囲外となっているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の制御装置。
【請求項8】
前記ヨーレート検出手段は、車両本体に設けられたヨーレートセンサからの出力に基づいてヨーレートを検出する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の制御装置。
【請求項9】
前記ヨーレート検出手段は、車両本体の重心から前後方向に延びる中心線を挟んだ左右の領域それぞれに設けられた一対の従動輪につき、該従動輪それぞれの回転速度を検出するセンサからなり、該センサそれぞれに検出される回転速度の差およびセンサ間の距離に基づいて、前記検出ヨーレートを特定するように構成されている
ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の制御装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の制御装置を備えている
ことを特徴とするフォークリフト。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−86627(P2013−86627A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228118(P2011−228118)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000183222)住友ナコ マテリアル ハンドリング株式会社 (39)
【Fターム(参考)】