説明

半導体装置の製造方法および半導体装置

【課題】トランジスタを短絡させることなく、シリサイド層を形成することができる半導体装置の提供。
【解決手段】バイポーラトランジスタ形成領域100と、CMOSトランジスタ形成領域200とを分離し、絶縁層52a,52bを形成し、上方に導電層56a,56bを形成し、側壁54a,54bを形成して、バイポーラトランジスタ形成領域100に、短絡防止部50aを形成すると同時に、CMOSトランジスタ形成領域200にゲート50bを形成する。バイポーラトランジスタのエミッタ領域40a、コレクタ領域40bおよびベース領域42aおよびCMOSトランジスタのソース領域40c,42bおよびドレイン領域40d,42cを形成し、各領域の上にシリサイド層60を形成する。短絡防止部50aは、エミッタ領域40a、コレクタ領域40bおよびベース領域42aのうち、いずれか2つの領域の間に位置する半導体基板10の上方に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法および半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置においては、一般的に、同一シリコン基板上にCMOS(Complementary MOS)プロセスを用いて、CMOSトランジスタやバイポーラトランジスタなどを混載される技術が一般的に知られている。
【0003】
CMOSトランジスタは、微細化が進むにつれて、ソース領域およびドレイン領域の不純物領域がショートチャネル効果を抑制するためにより薄くなっている。このため、ソース領域およびドレイン領域の層抵抗の上昇を防ぐため、ソース領域およびドレイン領域に自己配合的にシリサイド層を形成するサリサイド技術が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1では、保護膜をマスクとして、ソース領域およびドレイン領域にシリサイド層を形成している。
【特許文献1】特開2007−194308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、保護膜を形成しなければならないため、プロセスが複雑化してしまう場合がある。
【0006】
本発明の目的は、簡易なプロセスで、トランジスタをショートさせることなく、シリサイド層を所定の場所に形成することができる半導体装置の製造方法および半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、
半導体基板に、バイポーラトランジスタ形成領域と、CMOSトランジスタ形成領域と、を区画する素子分離領域を形成する工程と、
前記バイポーラトランジスタ形成領域および前記CMOSトランジスタ形成領域に、絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層の上方に導電層を形成する工程と、
前記導電層の側壁にサイドウォールを形成して、前記バイポーラトランジスタ形成領域に、前記絶縁層、前記導電層および前記サイドウォールを有する短絡防止部を形成すると同時に、前記CMOSトランジスタ形成領域にゲートを形成する工程と、
前記半導体基板に不純物を注入して、前記バイポーラトランジスタ形成領域に、エミッタ領域、コレクタ領域およびベース領域を形成し、前記CMOSトランジスタ形成領域に、ソース領域およびドレイン領域を形成する工程と、
前記エミッタ領域、前記コレクタ領域、前記ベース領域、前記ソース領域および前記ドレイン領域の上にシリサイド層を形成する工程と、
を含み、
前記短絡防止部は、前記エミッタ領域、前記コレクタ領域および前記ベース領域のうち、少なくともいずれか2つの領域の間に位置する前記半導体基板の上方に形成される。
【0008】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、簡易なプロセスで、トランジスタをショートさせることなく、シリサイド層を所定の場所に形成することができる。
【0009】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、
前記短絡防止部は、前記エミッタ領域と前記ベース領域との間に位置する前記半導体基板の上方に形成されることができる。
【0010】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、
前記短絡防止部は、前記エミッタ領域と前記コレクタ領域との間に位置する前記半導体基板の上方に形成されることができる。
【0011】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、
前記短絡防止部は、平面視において、前記エミッタ領域を囲むように形成されることができる。
【0012】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、
前記シリサイド層を形成する工程では、
さらに、前記短絡防止部および前記ゲートの前記導電層の上に、前記シリサイド層を形成することができる。
【0013】
本発明に係る半導体装置は、
半導体基板と、
前記半導体基板に形成され、バイポーラトランジスタ形成領域と、CMOSトランジスタ形成領域と、を区画する素子分離領域と、
前記バイポーラトランジスタ形成領域および前記CMOSトランジスタ形成領域に形成された絶縁層と、
前記絶縁層の上方に形成された導電層と、
前記導電層の側壁に形成されたサイドウォールと、
前記バイポーラトランジスタ形成領域に形成されたエミッタ領域、コレクタ領域およびベース領域と、
前記CMOSトランジスタ形成領域に形成されたソース領域およびドレイン領域と、
前記エミッタ領域、前記コレクタ領域、前記ベース領域、前記ソース領域および前記ドレイン領域の上に形成されたシリサイド層と、
を含み、
前記バイポーラトランジスタ形成領域の前記絶縁層と、前記導電層と、前記サイドウォールとは、短絡防止部を構成し、
前記CMOSトランジスタ形成領域の前記絶縁層と、前記導電層と、前記サイドウォールとは、ゲートを構成し、
前記短絡防止部は、前記エミッタ領域、前記コレクタ領域および前記ベース領域のうち、少なくともいずれか2つの領域の間に位置する前記半導体基板の上方に形成されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
1. 第1の実施形態
1.1. 第1の実施形態に係る半導体装置
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置1000を模式的に示す断面図である。半導体装置1000は、図1に示すように、半導体基板10と、素子分離領域20と、を有する。
【0016】
半導体基板10は、第1導電型(例えばP型)のシリコン基板からなる。
【0017】
素子分離領域20は、半導体基板10に形成されている。素子分離領域20は、例えば、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)層、セミリセスLOCOS層、トレンチ絶縁層からなる。図示の例では、素子分離領域20をLOCOS層としている。素子分離領域20は、バイポーラトランジスタ形成領域100と、CMOSトランジスタ形成領域200と、を区画することができる。以下、バイポーラトランジスタ形成領域100およびCMOSトランジスタ形成領域200について、説明する。
【0018】
(1)バイポーラトランジスタ形成領域
バイポーラトランジスタ形成領域100には、図1に示すように、バイポーラトランジスタ110が形成されている。バイポーラトランジスタ110は、VNPN(Vertical NPN)型のトランジスタであることができる。
【0019】
バイポーラトランジスタ110は、エミッタ領域40aと、コレクタ領域40bと、ベース領域42aと、短絡防止部50aと、シリサイド層60と、を有する。さらに、バイポーラトランジスタ110は、ベース層30と、第1ウェル32aと、第2ウェル34aと、を有することができる。
【0020】
第1ウェル32aは、半導体基板10に形成されている。第1ウェル32aは、第1導電型(例えばN型)の不純物領域からなる。第1ウェル32aは、ベース層30および第2ウェル34aより半導体基板10の厚み方向(Y方向)において、深い形状である。
【0021】
第2ウェル34aは、第1ウェル32aに形成されている。第2ウェル34aは、例えばN型の不純物領域からなる。第2ウェル34aは、コレクタ領域40b周辺の抵抗を下げることができる。なお、第2ウェル34aは、形成されていなくてもよい。
【0022】
ベース層30は、第1ウェル32aに形成されている。ベース層30は、例えばP型の不純物領域からなる。
【0023】
エミッタ領域40aは、ベース層30に形成されている。エミッタ領域40aは、例えばN型の不純物領域からなる。ベース領域42aは、ベース層30に形成されている。ベース領域42aは、例えばP型の不純物領域からなる。コレクタ領域40bは、例えば、第2ウェル34aに形成されている。コレクタ領域40bは、例えばN型の不純物領域からなる。
【0024】
短絡防止部50aは、ベース層30上に形成されている。短絡防止部50aは、エミッタ領域40a、コレクタ領域40bおよびベース領域42aのうち、少なくともいずれか2つの領域の間に位置する半導体基板10の上方に形成されている。図示の例では、短絡防止部50aは、エミッタ領域40aとベース領域42aとの間に位置する半導体基板10の上に形成されている。ここで、図2は、半導体装置1000のバイポーラトランジスタ形成領域100を模式的に示す平面図である。図2では、便宜上、ベース層30、エミッタ領域40a、ベース領域42aおよび短絡防止部50a以外の図示を省略している。なお、図1は、図2に示すA−A線の断面図である。短絡防止部50aは、図2に示すように、例えば、エミッタ領域40aを囲んでいる。さらに、ベース領域42aは、例えば、短絡防止部50aを囲んでいる。図示はしないが、さらに、コレクタ領域40bは、例えば、ベース領域42aを囲んでいてもよい。なお、エミッタ領域40a、ベース領域42aおよび短絡防止部50aは、図2に示す形状に限定されない。
【0025】
短絡防止部50aは、図1に示すように、絶縁層52aと、絶縁層52a上に形成された導電層56aと、導電層56aの側壁に形成されたサイドウォール54aと、を有する。短絡防止部50aは、後述するMOSトランジスタ210,220のゲート50bと、同じ材質である。また、短絡防止部50aは、MOSトランジスタ210,220のゲート50bと、同じ構造を有することができる。導電層54aは、例えばポリシリコンからなる。絶縁層56aおよびサイドウォール56aは、例えば酸化シリコンからなる。短絡防止部50aは、例えば、エミッタ領域40aと電気的に接続されている。すなわち、短絡防止部50aとエミッタ領域40aとは、例えば配線層(図示せず)によって電気的に接続されている。これにより、短絡防止部50aの電位を安定させることができる。
【0026】
シリサイド層60は、エミッタ領域40a、ベース領域42aおよびコレクタ領域40b上に形成されている。シリサイド層60は、さらに、短絡防止部50aの導電層56a上に形成されていることもできる。シリサイド層60は、例えば、シリコンと金属との化合物からなる。より具体的には、シリサイド層60は、例えば、タングステンシリサイド、モリブデンシリサイド、チタンシリサイド、コバルトシリサイドおよびニッケルシリサイドなどからなる。シリサイド層60は、エミッタ領域40a、ベース領域42aおよびコレクタ領域40bと、配線層とのコンタクト抵抗を低減することができる。
【0027】
(2)CMOSトランジスタ形成領域
CMOSトランジスタ形成領域200には、図1に示すように、第1MOSトランジスタ210と、第2MOSトランジスタ220と、が形成されている。第1MOSトランジスタ210は、例えばP型のチャネル領域(図示せず)を有するトランジスタである。第2MOSトランジスタ220は、例えばN型のチャネル領域を有するトランジスタである。
【0028】
まず、第1MOSトランジスタ210について説明する。第1MOSトランジスタ210は、ソース領域42bと、ドレイン領域42cと、ゲート50bと、シリサイド層60と、を有することができる。さらに、第1MOSトランジスタ210は、第2ウェル34bと、不純物領域40eと、を有することができる。
【0029】
第2ウェル34bは、半導体基板10に形成されている。第2ウェル34bは、例えばN型の不純物領域からなる。
【0030】
ソース領域42bおよびドレイン領域42cは、第2ウェル34bに形成されている。ソース領域42bおよびドレイン領域42cは、例えばP型の不純物領域からなる。不純物領域40eは、第2ウェル34bに形成されている。不純物領域40eは、例えば第2ウェル34bのコンタクトをとるためのN型の不純物領域である。
【0031】
ゲート50bは、第2ウェル34b上に形成されている。ゲート50bは、絶縁層52bと、絶縁層52b上に形成された導電層56bと、導電層56bの側壁に形成されたサイドウォール54bと、を有する。上述のように、ゲート50bは、短絡防止部50aと同じ材質である。また、ゲート50bは、短絡防止部50aと同じ構造を有することができる。
【0032】
シリサイド層60は、ソース領域42bおよびドレイン領域42c上に形成されている。シリサイド層60は、さらに、ゲート50bの導電層56b上に形成されていることもできる。シリサイド層60は、バイポーラトランジスタ110のシリサイド層60と同じ材質からなる。シリサイド層60は、ソース領域42bおよびドレイン領域42cと、配線層とのコンタクト抵抗を低減することができる。
【0033】
次に、第2MOSトランジスタ220について説明する。第2MOSトランジスタ220は、ソース領域40cと、ドレイン領域40dと、ゲート50bと、シリサイド層60と、を有する。さらに、第2MOSトランジスタ220は、第1ウェル32bと、第2ウェル36と、不純物領域42dと、を有することができる。第2MOSトランジスタ220は、第1ウェル32bを有すること以外は、基本的に第1MOSトランジスタ210の導電型を反転させたものである。よって、第1ウェル32b以外の構成の説明は省略する。
【0034】
第1ウェル32bは、半導体基板10に形成されている。第1ウェル32bは、例えばN型の不純物領域からなる。第1ウェル32bは、Y方向において、第2ウェル36より深い形状である。第1ウェル32bには、第2ウェル36が形成されている。第1ウェル32bは、第2MOSトランジスタ220の耐圧を向上させることができる。なお、図示はしないが、第2MOSトランジスタ220は、第1ウェル32bを有していなくてもよい。また、図示はしないが、第1MOSトランジスタ210と第2MOSトランジスタ220とが、第1ウェル32bを有していてもよい。
【0035】
半導体装置1000は、例えば、以下の特徴を有する。
【0036】
半導体装置1000は、エミッタ領域40aとベース領域42aとの間に位置する半導体基板10の上に、短絡防止部50aを有することができる。そのため、短絡防止部50aは、シリサイド層60によるエミッタ領域40a−ベース領域42a間のショートを防止することができる。また、短絡防止部50aとゲート50bとは、同じ材質であることができる。よって、短絡防止部50aと、ゲート50bと、を同じ工程で同時に形成することができる。すなわち、半導体装置1000は、簡易なプロセスで形成され、かつエミッタ領域40a−ベース領域42a間のショートを防止することができる。
【0037】
1.2. 第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法
次に、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図3〜図5は、第1の実施形態に係る半導体装置1000の製造工程を模式的に示す断面図である。
【0038】
図3に示すように、半導体基板10に、素子分離領域20を形成する。素子分離領域20は、例えば、LOCOS法によって形成される。すなわち、例えば、半導体基板10上に窒化シリコン膜(図示せず)を形成し、該窒化シリコン膜を所定の形状にパターニングした後、熱酸化することによって形成されることができる。
【0039】
図4に示すように、半導体基板10に第1ウェル32a,32bを形成することができる。第1ウェル32a,32bは、例えば、ドライブイン拡散法によって形成される。すなわち、例えばN型の不純物を1回もしくは複数回にわたって半導体基板10に注入したのち、注入された不純物を熱処理により熱拡散させることによって形成される。なお、第1ウェル32a,32bの各ウェルは、同時に形成されてよいし、別々に形成されてもよい。
【0040】
図4に示すように、第1ウェル32aに第2ウェル34aを形成し、半導体基板10に第2ウェル34bを形成する。第2ウェル34a,34bは、例えば、高エネルギーイオン注入法によって形成される。すなわち、例えばN型の不純物を1回もしくは複数回にわたって半導体基板10に注入することによって形成される。これにより、第2ウェル34a,34bを、Y方向に不純物の濃度分布を有するレトログレードウェルとすることができる。なお、第2ウェル34a,34bの各ウェルは、同時に形成されてよいし、別々に形成されてもよい。
【0041】
図4に示すように、例えば第1ウェル32bに第2ウェル36を形成する。第2ウェル36は、例えば、上述した高エネルギーイオン注入法によって形成される。第2ウェル36の形成では、例えばP型の不純物を注入する。なお、第2ウェル34a,34bを形成する工程と、第2ウェル36を形成する工程とでは、その順序を問わない。
【0042】
図4に示すように、第1ウェル32aにベース層30を形成する。ベース層30は、例えば、上述した高エネルギーイオン注入法によって形成される。ベース層30の形成では、例えばP型の不純物を注入する。
【0043】
図5に示すように、バイポーラトランジスタ形成領域100のベース層30上に、短絡防止部50aを形成すると同時に、CMOSトランジスタ形成領域200の第2ウェル34b上および第2ウェル36上に、ゲート50bを形成する。具体的には、まず、半導体基板10上に、例えば酸化膜(図示せず)を形成する。酸化膜は、例えば熱酸化法により形成される。次に、全面に、例えばポリシリコン層(図示せず)を形成し、ポリシリコン層上に所定のパターンを有するレジスト層(図示せず)を形成する。次に、レジスト層をマスクとして、ポリシリコン層および酸化膜をパターニングする。これにより、バイポーラトランジスタ形成領域100に、例えば酸化膜からなる絶縁層52aと、絶縁層52a上に例えばポリシリコン層からなる導電層56aと、を形成することができる。また、同時に、CMOSトランジスタ形成領域200に、例えば酸化膜からなる絶縁層52bと、絶縁層52b上に例えばポリシリコン層からなる導電層56bと、を形成することができる。次に、導電層56a,56bの側壁にサイドウォール54a,54bをそれぞれ形成する。サイドウォール54a,54bは、例えば公知の方法によって形成される。以上により、絶縁層52a、導電層56aおよびサイドウォール54aを有する50aと、絶縁層52b、導電層56bおよびサイドウォール54bを有するゲート50bと、を同時に形成することができる。短絡防止部50aは、エミッタ領域40aとベース領域42aとの間に位置する半導体基板10の上方に形成されることができる。短絡防止部50aは、図2に示すように平面視において、エミッタ領域40aを囲むように形成されることができる。
【0044】
図1に示すように、例えばN型の不純物を注入して、ベース層30にエミッタ領域40aを形成し、第2ウェル34aにコレクタ領域40bを形成し、第2ウェル34bに不純物領域40eを形成し、第2ウェル36にソース領域40cおよびドレイン領域40dを形成する。また、例えばP型の不純物を注入して、ベース層30にベース領域42aを形成し、第2ウェル34bにソース領域42bおよびドレイン領域42cを形成し、第2ウェル36に不純物領域42dを形成する。不純物の注入は、例えば、公知の方法で行われる。なお、N型の不純物を注入する工程と、P型の不純物を注入する工程とでは、その順序を問わない。
【0045】
図1に示すように、エミッタ領域40a、コレクタ領域40b、ベース領域42a、ソース領域40c,42bおよびドレイン領域40d,42cの上に、シリサイド層60を形成する。さらに、導電層56a,56b上に、シリサイド層60を形成することもできる。具体的には、シリサイド層60は、全面に金属層(図示せず)を形成したのち、熱処理することによって、該金属層と、例えばエミッタ領域40a等に含まれているシリコンと、を反応させることにより形成することができる。
【0046】
以上の工程により、半導体装置1000を製造することができる。
【0047】
半導体装置1000の製造方法では、エミッタ領域40aとベース領域42aとの間に位置する半導体基板10の上に、短絡防止部50aを形成することができる。そのため、短絡防止部50aは、シリサイド層60によるエミッタ領域40a−ベース領域42a間のショートを防止することができる。また、半導体装置1000の製造方法では、短絡防止部50aと、ゲート50bと、を同じ工程で同時に形成することができる。すなわち、簡易なプロセスで、エミッタ領域40a−ベース領域42a間のショートを防止できる半導体装置1000を形成することができる。
【0048】
半導体装置1000の製造方法では、短絡防止部50aが、平面視においてエミッタ領域40aを囲むように形成されることができる。そのため、シリサイド層60によるエミッタ領域40a−ベース領域42a間のショートを、より万全に防止できる半導体装置1000を形成することができる。
【0049】
2. 第2の実施形態
2.1. 第2の実施形態に係る半導体装置
図6は、第2の実施形態に係る半導体装置2000を模式的に示す断面図である。以下、第2の実施形態に係る半導体装置2000において、第1の実施形態に係る半導体装置1000の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0050】
半導体装置2000のバイポーラトランジスタ形成領域100には、図6に示すように、バイポーラトランジスタ2110が形成されている。バイポーラトランジスタ2110は、LPNP(Lateral PNP)型のトランジスタであることができる。
【0051】
バイポーラトランジスタ2110は、図6に示すように、エミッタ領域2042aと、コレクタ領域2042bと、ベース領域2040aと、短絡防止部50aと、シリサイド層60と、を有する。さらに、バイポーラトランジスタ2110は、第1ウェル32aを有することができる。
【0052】
エミッタ領域2042aは、第1ウェル32aに形成されている。エミッタ領域2042aは、例えばP型の不純物領域からなる。コレクタ領域2042bは、例えば、第2ウェル32aに形成されている。コレクタ領域2042bは、例えばP型の不純物領域からなる。ベース領域2040aは、第1ウェル32aに形成されている。ベース領域2040aは、例えばN型の不純物領域からなる。なお、ベース領域2040aは、図1に示すコレクタ領域40bのように、例えばN型の第2ウェル34aに形成されていてもよい。
【0053】
短絡防止部50aは、エミッタ領域2042aとコレクタ領域2042bとの間に位置する半導体基板10の上方に形成されている。ここで、図7は、半導体装置2000のバイポーラトランジスタ形成領域100を模式的に示す平面図である。図7では、便宜上、第1ウェル32a、エミッタ領域2042a、コレクタ領域2042bおよび短絡防止部50a以外の図示を省略している。なお、図6は、図7に示すB−B線の断面図である。短絡防止部50aは、図7に示すように、例えば、エミッタ領域2042aを囲んでいる。さらに、コレクタ領域2042bは、例えば、短絡防止部50aを囲んでいる。図示はしないが、さらに、ベース領域2040aは、例えば、コレクタ領域2042bを囲んでいてもよい。なお、エミッタ領域2042a、コレクタ領域2042bおよび短絡防止部50aは、図7に示す形状に限定されない。
【0054】
半導体装置2000は、例えば、以下の特徴を有する。
【0055】
半導体装置2000は、エミッタ領域2042aとコレクタ領域2042bとの間に位置する半導体基板10の上に、短絡防止部50aを有することができる。そのため、短絡防止部50aは、シリサイド層60によるエミッタ領域2042a−コレクタ領域2042b間のショートを防止することができる。また、短絡防止部50aとゲート50bとは、同じ材質であることができる。よって、短絡防止部50aと、ゲート50bと、を同じ工程で同時に形成することができる。すなわち、半導体装置1000は、簡易なプロセスで形成され、かつエミッタ領域2042a−コレクタ領域2042b間のショートを防止することができる。
【0056】
2.2. 第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法
次に、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、説明する。第2の実施形態に係る半導体装置2000の製造方法は、ベース層30および第2ウェル34aを形成せず、また、エミッタ領域、コレクタ領域およびベース領域の導電型が異なること以外は、基本的に、第1の実施形態に係る半導体装置1000の製造方法と同じである。よって、その説明を省略する。
【0057】
半導体装置2000の製造方法では、エミッタ領域2042aとコレクタ領域2042bとの間に位置する半導体基板10の上に、短絡防止部50aを形成することができる。そのため、短絡防止部50aは、シリサイド層60によるエミッタ領域2042a−コレクタ領域2042b間のショートを防止することができる。また、半導体装置2000の製造方法では、短絡防止部50aと、ゲート50bと、を同じ工程で同時に形成することができる。すなわち、簡易なプロセスで、エミッタ領域2042a−コレクタ領域2042b間のショートを防止できる半導体装置2000を形成することができる。
【0058】
半導体装置2000の製造方法では、短絡防止部50aが、平面視においてエミッタ領域2042aを囲むように形成されることができる。そのため、シリサイド層60によるエミッタ領域2042a−コレクタ領域2042b間のショートを、より万全に防止できる半導体装置2000を形成することができる。
【0059】
なお、上述した実施形態は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。具体的には、バイポーラトランジスタ110と、バイポーラトランジスタ2110と、MOSトランジスタ210,220が混載している半導体装置を形成することも可能である。
【0060】
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1の実施形態に係る半導体装置を模式的に示す断面図。
【図2】第1の実施形態に係る半導体装置の一部を模式的に示す平面図。
【図3】第1の実施形態に係る半導体装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図4】第1の実施形態に係る半導体装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図5】第1の実施形態に係る半導体装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図6】第2の実施形態に係る半導体装置を模式的に示す断面図。
【図7】第2の実施形態に係る半導体装置の一部を模式的に示す平面図。
【符号の説明】
【0062】
10 半導体装置、20 素子分離領域、30 ベース層、
32a,32b 第1ウェル、34a,34b,36 第2ウェル、
40a エミッタ領域、40b コレクタ領域、40c,42b ソース領域、
40d,42c ドレイン領域、40e,42d 不純物領域、42a ベース領域、
50a 短絡防止部、50b ゲート、52a,52b 絶縁層、
54a,54b サイドウォール、56a,56b 導電層、60 シリサイド層、
100 バイポーラトランジスタ形成領域、110 バイポーラトランジスタ、
200 CMOSトランジスタ形成領域、210 第1MOSトランジスタ、
220 第2MOSトランジスタ、1000 半導体装置、2000 半導体装置、
2040a ベース領域、2042a エミッタ領域、2042b コレクタ領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に、バイポーラトランジスタ形成領域と、CMOSトランジスタ形成領域と、を区画する素子分離領域を形成する工程と、
前記バイポーラトランジスタ形成領域および前記CMOSトランジスタ形成領域に、絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層の上方に導電層を形成する工程と、
前記導電層の側壁にサイドウォールを形成して、前記バイポーラトランジスタ形成領域に、前記絶縁層、前記導電層および前記サイドウォールを有する短絡防止部を形成すると同時に、前記CMOSトランジスタ形成領域にゲートを形成する工程と、
前記半導体基板に不純物を注入して、前記バイポーラトランジスタ形成領域に、エミッタ領域、コレクタ領域およびベース領域を形成し、前記CMOSトランジスタ形成領域に、ソース領域およびドレイン領域を形成する工程と、
前記エミッタ領域、前記コレクタ領域、前記ベース領域、前記ソース領域および前記ドレイン領域の上にシリサイド層を形成する工程と、
を含み、
前記短絡防止部は、前記エミッタ領域、前記コレクタ領域および前記ベース領域のうち、少なくともいずれか2つの領域の間に位置する前記半導体基板の上方に形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記短絡防止部は、前記エミッタ領域と前記ベース領域との間に位置する前記半導体基板の上方に形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1において、
前記短絡防止部は、前記エミッタ領域と前記コレクタ領域との間に位置する前記半導体基板の上方に形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記短絡防止部は、平面視において、前記エミッタ領域を囲むように形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかにおいて、
前記シリサイド層を形成する工程では、
さらに、前記短絡防止部および前記ゲートの前記導電層の上に、前記シリサイド層を形成する、半導体装置の製造方法。
【請求項6】
半導体基板と、
前記半導体基板に形成され、バイポーラトランジスタ形成領域と、CMOSトランジスタ形成領域と、を区画する素子分離領域と、
前記バイポーラトランジスタ形成領域および前記CMOSトランジスタ形成領域に形成された絶縁層と、
前記絶縁層の上方に形成された導電層と、
前記導電層の側壁に形成されたサイドウォールと、
前記バイポーラトランジスタ形成領域に形成されたエミッタ領域、コレクタ領域およびベース領域と、
前記CMOSトランジスタ形成領域に形成されたソース領域およびドレイン領域と、
前記エミッタ領域、前記コレクタ領域、前記ベース領域、前記ソース領域および前記ドレイン領域の上に形成されたシリサイド層と、
を含み、
前記バイポーラトランジスタ形成領域の前記絶縁層と、前記導電層と、前記サイドウォールとは、短絡防止部を構成し、
前記CMOSトランジスタ形成領域の前記絶縁層と、前記導電層と、前記サイドウォールとは、ゲートを構成し、
前記短絡防止部は、前記エミッタ領域、前記コレクタ領域および前記ベース領域のうち、少なくともいずれか2つの領域の間に位置する前記半導体基板の上方に形成されている、半導体装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−295654(P2009−295654A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−145417(P2008−145417)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】