説明

電気式動力舵取装置

【課題】 モータに電力を供給する昇圧回路、コンバータ等の電圧印加手段の出力の制限が設定されたときに、該出力の制限を超えることが無い電気式動力舵取装置を提供する。
【解決手段】 昇圧回路35Aの温度上昇を検出した際に(S12:Yes)、昇圧回路35Aの出力の制限を設定し(S14)、制限された出力に応じてモータに印加する制限下での電圧値Vq_limを求める(S18)。そして、昇圧回路35Aの出力の制限が設定されたときに、モータのフィードバック制御のために電流制御部30cより演算された指令電流値に基づき求めた電圧指令値Vq*が、求められた制限下での電圧値Vq_limを超える際には(S22:Yes)、制限下での電圧値の電圧Vq_limをモータMに印加する(S24)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータのアシスト力により操舵を補助する電気式動力舵取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気式動力舵取装置は、一般に、ステアリングホイールによる操舵を補助可能なアシスト力を出力するモータと、ステアリングホイールによる操舵トルクを検出するトルクセンサとを備える。そして、トルクセンサで検出した操舵トルクに基づいてモータの目標電流値を設定し、目標電流値とモータに流れるモータ電流との偏差に、PI(比例・積分)又はPID(比例・積分・微分)補償を施して指令電圧値を求め、コンバータ等から成る電圧印加手段により、電流指令値に基づいてモータに電圧を印加してアシスト力の発生を制御するものが知られている。
【0003】
電気式動力舵取装置は、ステアリングホイールを右又は左方向に素早く切ってラックエンド状態になった場合、或いは、前輪が緑石等に当たった場合等に、モータの回転が急激に停止状態になるためにモータの逆起電力が急激に消滅し、目標電流に応じたモータ電流に消滅した逆起電力に相当する電流が加算されオーバーシュートが生じる。
【0004】
ここで、特許文献1に、オーバーシュートを推定して、PI(比例・積分)又はPID(比例・積分・微分)補償のゲインを調整する電動パワーステアリング装置が開示されている。
【特許文献1】特開平11−78919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
モータに電圧を印加するためのコンバータ等から成る電圧印加手段は、ステアリングホイールの連続操舵等の過負荷状態における発熱により半導体素子が破損する可能性が生じると出力の制限を加える。これにより、アシスト量を低下させることで、故障の発生を未然に防いでいる。しかしながら、係る出力の制限中に上述したオーバーシュートが発生すると、出力が制限している出力値を超え、フェールセーフを誤検出して、アシストを継続できなくなる事態が発生し得る。特許文献1では、係る出力の制限中にオーバーシュートが発生した際には、制限された出力を瞬時的に超えることになった。
【0006】
図5は、出力の制限中にモータの角速度ω[deg/s]に応じて、Iq電流[A]を調整することで、電力を一定(500W)にしていた従来技術の制御内容を示すグラフである。図中で実線で電力一定のラインを示し、破線でIq制限値を示している。また、図6(A)は、図5中で実線で示した電力一定のライン中の角速度ωに対応するIq電流の値を示す図表であり、図6(B)は、図5中で破線で示したIq制限値のライン中の角速度ωに対応するIq電流の値を示す図表である。図5中で破線で示すようにモータの角速度ω[deg/s]に応じてIq電流[A]を調整しても、オーバーシュートが発生した際には、制限された出力を瞬時的に超える事態が発生した。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、モータに電力を供給する昇圧回路、コンバータ等の電圧印加手段の出力の制限が設定されたときに、該出力の制限を超えることが無い電気式動力舵取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、操舵補助力を発生するモータMにより操舵をアシストする電気式動力舵取装置20であって、
ステアリング系の操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段24と、
前記モータMに流れるモータ電流を検出するモータ電流検出手段37と、
少なくとも前記操舵トルク検出手段24からの操舵トルク検出値に基づき設定される目標電流値Iqmと前記モータ電流との偏差に基づいて、前記モータのフィードバック制御のための指令電流値Iqを演算する電流演算手段30cと、
前記指令電流値Iqに応じて前記モータに印加する電圧値Vqを求める電圧値演算手段30dと、
前記電圧値演算手段30dにより求められた電圧をモータに印加する電圧印加手段35Aと、
所定の事項を検出した際に電圧印加手段35Aの出力の制限を設定する出力制限手段(S12、S14)と、
制限された出力に応じてモータに印加する制限下での電圧値Vq_limを求める制限電圧値演算手段(S18)と、を備え、
前記電圧印加手段35Aは、前記出力制限手段により電圧印加手段の出力の制限が設定されたときに(S14)、前記電流演算手段30cにより演算された指令電流値Iqに基づき前記電圧値演算手段(S18)が求めた電圧値Vqが、前記制限電圧値演算手段により求められた制限下での電圧値Vq_limを超える際には、前記制限下Vq_limでの電圧値の電圧をモータに印加することを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の電気式動力舵取装置では、温度上昇等の所定の事項を検出した際に電圧をモータに印加する電圧印加手段の出力の制限を設定し、制限された出力に応じてモータに印加する制限下での電圧値を求める。そして、電圧印加手段の出力の制限が設定されたときに、モータのフィードバック制御のために電流演算手段より演算された指令電流値に基づき求めた電圧値が、求められた制限下での電圧値を超える際には、制限下での電圧値の電圧をモータに印加する。即ち、モータのフィードバック制御のために電流演算手段より演算された指令電流値に基づく電圧値では無く、直接、制限下での電圧値を印加するため、フィードバック制御を介さないため位相系が早くなり、電圧印加手段の出力が制限を超えることが無くなる。これにより、フェールセーフ等の誤検出を未然に防ぐことができる。
【0010】
請求項2の電気式動力舵取装置では、電圧印加手段の出力の制限下の電圧値を:
(制限された出力値−d軸電圧×d軸電流)÷q軸電流より求めるため、ブラシレスモータをd軸、q軸制御する際に、モータのフィードバック制御のために電流演算手段より演算された指令電流値に基づく電圧値では無く、直接、制限下での電圧値を印加するため、フィードバック制御を介さないため位相系が早くなり、電圧印加手段の出力が制限を超えることが無くなる。これにより、フェールセーフ等の誤検出を未然に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[第1実施形態]
以下、本発明の電気式動力舵取装置に係る第1実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。まず本実施形態の電気式動力舵取装置20のハードウェア構成を図1(A) 、図1(B) を参照して説明する。
図1(A) に示すように、電気式動力舵取装置20は、自動車等の車両の操舵を操舵力の面から補助する装置で、主に、ステアリングホイール21、ステアリング軸22、ピニオン入力軸23、トルクセンサ24、減速機27、ラックアンドピニオン28、ロッド29、直流ブラシレスモータM、ECU30、モータ駆動回路35、モータ回転角センサ33等から構成されている。
【0012】
図1(A) に示すように、ステアリングホイール21には、ステアリング軸22の一端側が接続されており、このステアリング軸22の他端側にはトルクセンサ24の入力側が接続されている。またこのトルクセンサ24の出力側には、ラックアンドピニオン28のピニオン入力軸23の一端側が接続されている。トルクセンサ24は、図略のトーションバーとこのトーションバーを挟むようにトーションバーの両端に取り付けられた2つのレゾルバとからなり、トーションバーの一端側を入力、他端側を出力とする入出力間で生じるトーションバーの捻れ量等を当該2つのレゾルバにより検出することで、ステアリングホイール21による操舵トルクThや操舵角θHを検出し得るように構成されている。
【0013】
トルクセンサ24の出力側に接続されるピニオン入力軸23の途中には、減速機27が連結されており、モータMから出力されるアシスト力をこの減速機27を介してピニオン入力軸23に伝達し得るように構成されている。モータMには、モータMの回転角θMを検出可能なモータ回転方向検出手段としてのモータ回転角センサ33が取り付けられており、このモータ回転角θMやトルクセンサ24による操舵トルクTh、操舵角θH等に基づいてECU30によるモータMの駆動制御が行われている。
【0014】
一方、このピニオン入力軸23の他端側には、ラックアンドピニオン28を構成する図略のラック軸のラック溝に噛合可能なピニオンギヤが形成されている。このラックアンドピニオン28では、ピニオン入力軸23の回転運動をラック軸の直線運動に変換可能にしており、またこのラック軸の両端にはロッド29が連結され、さらにこのロッド29の端部には図略のナックル等を介して操舵輪FR、FLが連結されている。これにより、ピニオン入力軸23が回転すると、ラックアンドピニオン28、ロッド29等を介して操舵輪FR、FLの実舵角を変化させることができるので、ピニオン入力軸23の回転量および回転方向に従った操舵輪FR、FLの操舵を可能にしている。
【0015】
ECU30は、図1(B) に示すように、主に、A/D変換器等の周辺LSIや半導体メモリ装置等を備えたMPU(Micro Processor Unit)、トルクセンサ24やモータ回転角センサ33あるいは図略の車速センサ等による各種センサ情報(操舵トルク信号、操舵角信号、モータ回転角信号、車速信号)等を入出力可能な入出力インターフェイスI/F、およびMPUから出力されるモータ電流指令に基づいてPWM制御によるモータ電流をモータMに供給可能なモータ駆動回路35から構成されている。なおこのMPUの半導体メモリ装置(以下「メモリ」という。)には、後述する出力制限処理を可能にする出力制限プログラム等が格納されている。
【0016】
なお、図1(B) に示す符号37は、モータMに実際に流れるモータ電流を検出し得る電流センサ37であり、この電流センサ37により検出されたモータ電流に関するセンサ情報は、モータ電流信号として入出力インターフェイスI/Fを介してMPUに入力され得るよう接続されている。
【0017】
このように構成することにより、車両に搭載された電気式動力舵取装置20では、ステアリングホイール21による操舵トルクThをトルクセンサ24により検出し、また車速センサにより車両の走行速度(車速)Vを検出する。そして、この操舵トルクThおよび車速Vに応じたモータ電流指令値Iq をECU30のMPUにより演算し、さらにこのモータ電流指令値Iq に基づいてモータMによるアシスト力の発生をモータ駆動回路35により制御する。これにより、電気式動力舵取装置20は、操舵トルクThおよび車速Vに応じて発生するモータMのアシスト力により当該車両の運転者のステアリングホイール21による操舵を補助可能にしている。モータ駆動回路35は、昇圧回路35Aとインバータ35Bとから成る。
【0018】
次に、第1実施形態のECU30およびモータ駆動回路35によるアシスト力の制御処理の概要を図2に基づいて説明する。ECU30のMPUにより行われるアシスト力の制御は、位相補償部30a、電流指令値演算部30b、電流制御部30cおよびPWM演算部30dにより構成されている。
【0019】
まずトルクセンサ24により検出された操舵トルクThは、入出力インターフェイスI/Fを介してMPUに入力されると、電気式動力舵取装置20の安定性を高めるために位相補償部30aにより位相補償処理が行われた後、電流指令値演算部30bに出力される。位相補償された操舵トルクThが入力される電流指令値演算部30bには、図略の車速センサにより検出された車速Vも入力されるので、電流指令値演算部30bでは、MPUのメモリに予め記憶されているアシストマップに基づいて、操舵トルクThおよび車速Vに対応した電流目標値Iqmを演算する。この電流指令値演算部30bでは、操舵トルクThのみならず車速Vにも対応した電流目標値Iqmの演算を行っているので、例えば、車速Vが小さいときには大きなアシスト力を出力するように、また車速Vが大きいときには小さなアシスト力を出力するように、電流目標値Iqmを演算する、いわゆる車速依存型の電流指令値演算が行われている。
【0020】
電流指令値演算部30bから電流目標値Iqmが入力された電流制御部30cでは、電流センサ37により検出された実際のモータ電流との差に相当する信号に基づいて、PI制御値又はPID制御値を演算し、モータ電流指令値Iq をPWM演算部30dに出力する。PWM演算部30dでは、このモータ電流指令値Iq に応じた電圧指令値Vqを演算して、さらに、PWM演算を行い、その演算結果であるPWM制御信号(昇圧回路35A及びインバータ35Bの制御信号)をモータ駆動回路35に出力する。この結果、モータ駆動回路35では、これらの制御信号に基づいてモータMを駆動制御することでモータMによる適正なアシスト力を発生させることが可能となる。
【0021】
第1実施形態では、ステアリングホイールの連続操舵等の過負荷状態が継続し、モータ駆動回路35の昇圧回路35Aが温度上昇した際に、その他、致命的ではない異常が発生した際に、昇圧回路35Aからの電力供給は継続するものの、その出力を制限する。この出力制限処理について、当該処理のフローチャートである図3を参照して説明する。
【0022】
ECU30は、図示しない温度センサにより、昇圧回路35Aの半導体素子温度を監視しており、半導体素子が高温になると(S12:Yes)、昇圧回路35Aの出力の制限を実行する(S14)。ここでは、昇圧回路35Aの出力電力を例えば500Wに制限するものとする。次に、図2を参照して上述したように、モータ電流指令値Iq に応じた電圧指令値Vqを演算し(S16)、制限電力Pにするための指令電圧値Vq_limを下式から演算する(S18)。下式を用いるのは、モータに印加する出力電力は、Vd×Id+Vq×Iqで表されるからである。
【数1】

ここで、Vd:d軸電圧、Id:d軸電流、Vq:q軸電圧、Iq:q軸電流
【0023】
そして、電力制限が実行されているかを判断し(S20)、実行されていない場合には(S20:No)、上記S16で演算した電圧指令値VqでブラシレスモータMを駆動する(S26)。即ち、通常の制御を行う。
【0024】
他方、電力制限が実行されている場合には(S20:Yes)、上記S16で演算した電圧指令値Vqが、S18で演算した指令電圧値Vq_limを超えているかを判断する(S22)。ここで、電圧指令値Vqが指令電圧値Vq_limを超えない場合には(S22:No)、上記S26へ移行し、上記S16で演算した電圧指令値VqでブラシレスモータMを駆動する(S26)。即ち、通常の制御を実行する。他方、ステアリングホイールが右又は左方向に素早く切られラックエンド状態になった場合、或いは、前輪が緑石等に当たった場合等で、電圧指令値Vqが指令電圧値Vq_limを超えている場合には(S20:Yes)、電圧指令値Vqを指令電圧値Vq_limに置き換えることで500Wの制限出力を超えないようにする(S24)。なお、ECU30は、昇圧回路35Aの半導体素子が高温では無くなると(S12:No)、昇圧回路35Aの出力の制限を解除する(S28)。
【0025】
第1実施形態の電気式動力舵取装置では、昇圧回路35Aの温度上昇等の所定の事項を検出した際に電圧をモータMに印加する昇圧回路35Aの出力の制限を設定し、制限された出力に応じてモータに印加する制限下での電圧値Vq_limを求める。そして、昇圧回路35Aの出力の制限が設定されたときに、モータのフィードバック制御のために電流制御部30cより演算された指令電流値に基づき求めた電圧指令値Vqが、求められた制限下での電圧値Vq_limを超える際には、制限下での電圧Vq_limをモータMに印加する。即ち、モータのフィードバック制御のために電流制御部30cにより演算された指令電流値に基づく電圧値Vqでは無く、直接、制限下での電圧値Vq_limを印加するため、フィードバック制御を介さないため位相系が早くなり、昇圧回路35Aの出力が制限を超えることが無くなる。これにより、フェールセーフ等の誤検出を未然に防ぐことができる。
【0026】
[第2実施形態]
図4を参照して本発明の第2実施形態の電気式動力舵取装置について説明する。
第2実施形態の電気式動力舵取装置のECU30およびモータ駆動回路35によるアシスト力の制御処理の概要を図4に基づいて説明する。第2実施形態では、第1実施形態と同様に、ECU30のMPUにより行われるアシスト力の制御は、位相補償部30a、電流指令値演算部30b、電流制御部30cおよびPWM演算部30dにより構成されている。そして、第1実施形態では、モータ駆動回路側に昇圧回路を内蔵、即ち、ECUが昇圧回路を備えていたが、第2実施形態では、ECUの外部にDC/DCコンバータ37を設けている。
【0027】
この第2実施形態においても、発熱等により半導体素子の破壊の可能性がある際に、DC/DCコンバータ37は、ECU30側に電力制限があることを通知し、これによりECU30でDC/DCコンバータ37の出力に制限を加え、図3を参照して上述した第1実施形態と同様にして、制限電力を超えないように制御を行う。
【0028】
第2実施形態では、DC/DCコンバータ37の出力が制限を超えることが無くなる。これにより、DC/DCコンバータ37側でのフェールセーフ等の誤検出を未然に防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
上述した第1実施形態では昇圧回路の発熱、第2実施形態ではDC/DCコンバータの発熱により出力を制限する例を挙げたが、出力の制限は致命的ではない異常が発生した種々の場合に適用可能である。また、第1実施形態、第2実施形態では、指令電流値Iqに基づき求めた電圧指令値Vqにより直流ブラシレスモータを制御する例を挙げたが、本発明の制御は、電流値Iに基づき求めた電圧指令値Vによりブラシモータを制御する場合にも適用可能である。この場合には、電圧指令値Vは、電力P÷電流Iで求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1(A) は、本発明の第1実施形態に係る電気式動力舵取装置の全体構成例を示す構成図で、図1(B) はECU等の構成例を示す回路ブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る電気式動力舵取装置のECUによる制御概要を示す制御ブロック図である。
【図3】本電気式動力舵取装置のECUを構成するMPUにより実行される電流制限処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】第2実施形態に係る電気式動力舵取装置のECUによる制御概要を示す制御ブロック図である。
【図5】従来技術でのIq制限電圧の求め方を示すグラフであり、実線が電力一定のラインを示し、破線がIq制限値を示している。
【図6】図6(A)は、図5中で実線で示した電力一定のライン中の角速度ωに対応するIq電流の値を示す図表であり、図6(B)は、図5中で破線で示したIq制限値のライン中の角速度ωに対応するIq電流の値を示す図表である。
【符号の説明】
【0031】
20…電気式動力舵取装置
21…ステアリングホイール
24…トルクセンサ(操舵トルク検出手段)
30…ECU
30c…電流制御部(電流演算手段)
30d…PWM演算部(電圧値演算手段)
35…モータ駆動回路
35A…昇圧回路(電圧印加手段)
37…電流センサ(モータ電流検出手段)
MPU…マイクロプロセッサ
M…モータ
Iqm…電流目標値
Iq…電流指令値
Vq…電圧指令値
Vq_lim…制限下での電圧
S12、S14…出力制限手段
S18…制限電圧値演算手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵補助力を発生するモータにより操舵をアシストする電気式動力舵取装置であって、
ステアリング系の操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
前記モータに流れるモータ電流を検出するモータ電流検出手段と、
少なくとも前記操舵トルク検出手段からの操舵トルク検出値に基づき設定される目標電流値と前記モータ電流との偏差に基づいて、前記モータのフィードバック制御のための指令電流値を演算する電流演算手段と、
前記指令電流値に応じて前記モータに印加する電圧値を求める電圧値演算手段と、
前記電圧値演算手段により求められた電圧をモータに印加する電圧印加手段と、
所定の事項を検出した際に電圧印加手段の出力の制限を設定する出力制限手段と、
制限された出力に応じてモータに印加する制限下での電圧値を求める制限電圧値演算手段と、を備え、
前記電圧印加手段は、前記出力制限手段により電圧印加手段の出力の制限が設定されたときに、前記電流演算手段により演算された指令電流値に基づき前記電圧値演算手段が求めた電圧値が、前記制限電圧値演算手段により求められた制限下での電圧値を超える際には、前記制限下での電圧値の電圧をモータに印加することを特徴とする電気式動力舵取装置。
【請求項2】
前記モータはブラシレスモータであり、
前記電流演算手段は、前記ブラシレスモータをd軸、q軸制御し、前記指令電流値としてq軸電流指令値を算出し、
前記制限電圧値演算手段は、制限下での電圧値を:
(制限された出力値−d軸電圧×d軸電流)÷q軸電流より求めることを特徴とする請求項1の電気式動力舵取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−149910(P2008−149910A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−340256(P2006−340256)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】