説明

アーム機構およびそれを備えた真空ロボット

【課題】高剛性で耐熱性もある真空環境内に適した真空ロボットのアーム構成を提供すること。
【解決手段】内部に気密な空間を有するアームベース8と、アームベース8内に設置されたアーム駆動用モータ9と、アーム駆動用モータ9によって回転する中空の減速機シャフト31と、減速機シャフト31の回転が入力されて所定の比だけ減速し、減速機シャフト31の周囲で回転する第1減速機出力軸32と、からなり、アームベース8内に減速機シャフト31の下端が露出するよう設置された第1減速機10と、中空の減速機シャフト31の上端が侵入することでアームベース8の気密な空間と同圧となる気密な空間を有し、かつ第1減速機出力軸32に固定される第1アーム2と、第1アーム2の先端に設置され、入力軸が減速機シャフト31と接続された第2減速機15と、第2減速機15の出力軸に固定され、内部に気密な空間を有しない第2アームと、第1アーム2と第2アーム5とに追従するリンク機構と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハやガラスなどの基板を真空中にて搬送するロボットにおいて、特にそのロボットアームの構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板を搬送するロボットのアームの構成には、例えば特許文献1などがある。特許文献1には、ロボットのアーム及びハンドを動作させるため、アームの内部にモータ、減速機、タイミングベルトといった伝達機構が配置されている。一方、このようなロボットは、大気圧状態から減圧された真空容器内に設置され、ウェハやガラスなどの基板を搬送するのに用いられることがある。真空容器内に設置されるロボットは真空ロボットと呼ばれている。真空ロボットは、真空容器内の真空環境を壊さないため、大気圧環境と真空環境を隔絶しながら動作することが必要である。また、蒸発によって水分やガスなどを真空環境内に放出してしまうなど、真空内での使用が望ましくない材質のものは、真空ロボットには使用できない。
このような観点から、特許文献1のようなロボットの構成を、そのまま真空容器内に設置することはできない。アームの内部に設置されている汎用的なモータや減速機などには真空環境に適さない様々な材質が使用されているからである。このような課題を解決するため、特許文献1のようなアームの構成において、アームの内部を大気圧に保持することも考えられている。アームの内部を大気圧に維持すれば、汎用的なモータなどを使用しても真空環境に悪い影響を与えることがないからである。
【0003】
ところで、真空ロボットが使用される製造装置では、半導体はもちろん、液晶、有機EL、太陽電池パネルなどが製造される。これらの装置では、ウェハやガラスなどの基板のサイズが年々大型化しており、それら基板の搬送距離が長くなってきており、搬送質量も大きくなっている。それらに伴い、真空容器も大型化せざるを得ないが、製造装置の設置面積は小さくしたい、或いは基板の処理の都合から容器内の圧力をより低い状態に保ちたいので真空容器内容積をできる限り少なくしたい、との要望がある。従って真空容器内で動作する基板搬送用の真空ロボットに対しては、真空容器内部に入る部分は少ないこと、基板の搬送距離が大きいがコンパクトであること、重量のあるものを搬送できるような高剛性であること、が要求されている。
さらに、真空ロボットが設置される真空容器内においては、その周囲に基板の処理室が接続されており、処理室での処理は高温になる場合がある。処理室では、エッチング、CVDといった処理が減圧環境でかつ高温で行なわれており、これらの処理のため、真空ロボットが搬送する基板は高温の状態のまま搬送しなくてはならないことがある。このような場合、真空ロボットが設置される真空容器も、基板からの熱や処理室からの熱を受けて高温になる。基板自体は100度以上の高温になることがある。従って真空ロボットに対しては、特に処理室に入るアームに、熱に対する対策も要求されている。熱の問題に対する対策としては、アーム自体をリンク構成にすることが方法のひとつである(例えば、特許文献2)。アームをリンク構成にすれば、ベルトなど有機系の部材が減るので、熱の問題を解決しやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3881579号
【特許文献2】特開2007−15023号公報
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記で説明したように、特許文献1のようなロボットをそのまま真空容器内に設置すると、例えば、減圧された真空環境内にタイミングベルトが入ることになるので、タイミングベルトから放出される水分やガスによって、要求されていた圧力までの減圧ができない場合や、減圧までに時間がかかるといった課題があった。
また、仮に特許文献1のようなロボットにおいてアームの内部を大気圧状態に維持したとしても、第1アームのほか、第2アーム内部にも減速機、タイミングベルトが配置される必要があるので、アーム部全体の厚みが大きくなり、必要な真空容器の容積も大きくなってしまうという問題がある。また、特に第2アームの高さ方向の厚みが薄くできないという問題が残る。上記で説明した処理室の真空容器と、真空ロボットが設置される真空容器との間には、一般的に面積の小さい開口しか設けられておらず、この開口をハンド(基板が載置されるもの)と第2アームが通過しなくてはならない場合、第2アームの厚みが薄いことが必要である。
また、アーム伸縮動作の際、第1アーム、第2アームの回転をタイミングベルトにより行うために、アームの重量が大きい場合や、重い搬送物を搬送する場合には、タイミングベルトの伝達剛性が低いことでアーム伸縮の途中で理想の直線軌跡から逸脱した横揺れや振動が発生するというような問題もあった。さらに、特許文献1のような構成では、モータが第1アームと高さ方向で干渉するため、アームの伸縮動作領域が制限され、長い伸縮距離を確保できないという問題がある。
また、タイミングベルトが真空環境内に曝されるため、真空容器内の温度が高いと、タイミングベルトが熱の影響を受け、アーム伸縮時の位置決め精度が悪化するなどの問題がある。
また、アーム駆動用のモータが第1アーム内にあるために、高温の基板を搬送した場合など、モータが熱源となる基板の近くにあるため、熱の影響を受けやすいなどの問題があった。
また、特許文献1のようなアーム構成とした場合、第2アーム先端にまで減速機を配置する必要があるため、第2アーム先端の重量が増大し、アームのたわみを抑えるために各アームの関節部の支持剛性を高める必要があることや、真空中では第2アーム内及び、第2アーム先端の減速機までを大気状態にする必要があり、構造的に複雑となる等の問題があった。
【0007】
特許文献2のようにリンク機構でアームを構成した場合、タイミングベルト、モータ、減速機などは大気圧雰囲気の環境下に配置されるので、これらからの水分やガスなどの放出を避けられる。しかし、上記で説明したように、真空ロボットが設置される真空容器内では、十分な搬送距離を確保しつつも、極力真空内の容積を小さくしたいという要望があるのに対し、特許文献2のようなリンク構成は、第1リンクと第1アームを同じ高さに配置し、ロボットアームの高さも低くするようにしていた。そのため、アーム伸縮動作の際、第1アームと第1リンクが干渉しない範囲で動作させる必要があり、アームの伸縮範囲が制限されることがあった。アームの伸縮範囲を延長したい場合は、各アームの軸間距離や各リンクの軸間距離を長く取る必要があるため、各アーム質量が増加することや、第1アームと第1リンク間の軸間距離を長くすることで、アームベースを必要以上に大きくしなければならない等の問題があった。
【0008】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、真空環境内に適した真空ロボットのアーム構成を提供することである。より具体的には、真空環境内で発生する水分やガスを低減すること、アーム伸縮時の横揺れや振動を低減し、高負荷の搬送物を真空内で搬送することができること、アームの高さ方向を低減させながらも、十分なアーム伸縮範囲を確保することが可能であること、熱に対しても問題ないこと、を解決する真空ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
請求項1に記載の発明は、減圧環境内で基板を搬送する真空ロボットにおいて、そのアームが、内部に気密な空間を有するアームベースと、前記アームベースの気密な空間内に設置されたアーム駆動用モータと、前記アーム駆動用モータの回転が入力されて回転する中空の減速機シャフトと、前記減速機シャフトの回転が入力されて所定の比だけ減速し、前記減速機シャフトの周囲で回転する第1減速機出力軸と、からなり、前記アームベースの気密な空間内に前記中空の減速機シャフトの下端が露出するよう設置された第1減速機と、前記中空の減速機シャフトの上端が侵入することで前記アームベースの気密な空間と同圧となる気密な空間を有し、かつ基端部が前記第1減速機出力軸に固定される第1アームと、 前記第1アームの先端に設置され、入力軸が前記減速機シャフトの上端と伝達機構によって接続された第2減速機と、前記第2減速機の出力軸に基端部が固定され、内部に気密な空間を有しない第2アームと、前記アームベース上に基端部が回転可能に支持された第1リンクと、前記第1リンクの先端上に基端部が回転可能に支持された第2リンクと、前記第2リンクの基端部の回転軸上と同軸でその一端が回転可能に支持され、前記第2アームの基端の回転軸上と同軸でその他端が回転可能に支持された第1連結リンクと、前記第2リンクの先端上にその一端が回転可能に支持され、前記第2アームの先端上にその他端が回転可能に支持された第2連結リンクと、前記第2連結リンクに締結されたハンドと、を備えたことを特徴とする真空ロボットとするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の真空ロボットにおいて、前記第1リンクの下面が、前記第1アームの上面よりも上側になるよう前記第1リンクが前記アームベース上に支持されたことを特徴とする真空ロボットとするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の真空ロボットにおいて、前記アームベースにおいて前記アーム駆動用モータが収容されている箇所の上面に前記第1リンクが支持され、前記第1減速機は前記アーム駆動用モータが収容されている箇所の上面よりも低い面に設置されることで、前記第1リンクの下面が前記第1アームの上面よりも上側になるよう構成されたことを特徴とする真空ロボットとするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1記載の真空ロボットにおいて、前記第1リンクの高さ方向の厚みが、前記第1アームの厚みよりも大きくなるよう構成されたことを特徴とする真空ロボットとするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項2記載の真空ロボットにおいて、前記第2アームと前記第2リンクの高さ方向の厚みがほぼ同程度に形成され、かつ前記第2アームと前記第2リンクとの高さが同じになるよう、それぞれが前記第1アームと前記第1リンクに連結されたことを特徴とする真空ロボットとするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項1記載の真空ロボットにおいて、前記ハンドから配設されてくるケーブルが、前記第2連結リンクの一端から前記第2アームの裏面に配設され、前記第2アームの基端に設けられた穴から前記第1連結リンクに配設され、前記第1リンクの先端から前記第1リンクの裏面に配設され、前記第1リンクの基端の回転中心を通って、前記アームベース上に設けられた電流導入端子に接続されたことを特徴とする真空ロボットとするものである。
請求項7に記載の発明は、請求項1記載の真空ロボットにおいて、前記アームベースの気密な空間に連通するシャフトと、前記シャフトを旋回させる旋回機構と、前記シャフトを上下させる上下機構と、前記シャフトと前記旋回機構と前記上下機構とを収容するボディと、をさらに備えたことを特徴とする真空ロボットとするものである。
請求項8に記載の発明は、減圧環境内で基板を搬送するためのロボットのアーム機構において、内部に気密な空間を有するアームベースと、前記アームベースの気密な空間内に設置されたアーム駆動用モータと、前記アーム駆動用モータの回転が入力されて回転する中空の減速機シャフトと、前記減速機シャフトの回転が入力されて所定の比だけ減速し、前記減速機シャフトの周囲で回転する第1減速機出力軸と、からなり、前記アームベースの気密な空間内に前記中空の減速機シャフトの下端が露出するよう設置された第1減速機と、前記中空の減速機シャフトの上端が侵入することで前記アームベースの気密な空間と同圧となる気密な空間を有し、かつ基端部が前記第1減速機出力軸に固定される第1アームと、 前記第1アームの先端に設置され、入力軸が前記減速機シャフトの上端と伝達機構によって接続された第2減速機と、前記第2減速機の出力軸に基端部が固定され、内部に気密な空間を有しない第2アームと、前記アームベース上に基端部が回転可能に支持された第1リンクと、前記第1リンクの先端上に基端部が回転可能に支持された第2リンクと、前記第2リンクの基端部の回転軸上と同軸でその一端が回転可能に支持され、前記第2アームの基端の回転軸上と同軸でその他端が回転可能に支持された第1連結リンクと、前記第2リンクの先端上にその一端が回転可能に支持され、前記第2アームの先端上にその他端が回転可能に支持された第2連結リンクと、前記第2連結リンクに締結されたハンドと、を備えたことを特徴とするロボットのアーム機構とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、真空環境内にモータや減速機を配置せずに済むため、真空内の発ガス量を抑制することができる。
また、第1アーム、及び第2アームを直接減速機によって駆動させるため、各アームをタイミングベルトによって駆動させる場合よりも伝達剛性を向上でき、伸縮時の直線軌跡を良好に保ちつつ搬送物を搬送することが可能となる。
更に、第1アームより下部にあるアームベース内の大気圧空間内にアーム駆動用モータを配置することで、高温の基板を搬送する場合であっても、基板から離れた位置にモータを配置することができ、モータが外部からの熱の影響を受けにくくすることができる。
また、ハンドの動作を直進させる機構を平行リンク機構とすることで、アーム伸縮時の伝達剛性を高くすることができ、直線軌跡を良好に保つことが可能となる。更に、平行リンク機構を単にハンドの動作方向を規制させるものとしてだけ作用させるのではなく、第1及び第2アームと同等以上の厚みを持たせるので、アーム全体の剛性を上げることができる。また、搬送質量に対してアームとリンクの多点支持ができるため、より高負荷の搬送物を支持することが可能となる。
更に、第1アームより下部にあるアームベース内にモータを配置することで、第1アーム内にモータを必要とせず、第1アームの高さ方向寸法を低く抑えることができる。これによって第1アームと第1リンクの合計高さを抑えながら、これらを異なる高さに配置することが可能となり、第1アームと第1リンクの干渉を高さ方向で避けることができるため、第1アームの回転軸と第1リンクの回転軸の軸間距離を大きく離さなくても、アームの伸長距離を長く取ることが可能となる。
また、ハンド上に基板の有り無しを判別するセンサなどのケーブルをアーム側ではなくリンク機構側に配線するので、高速で回転する減速機内を通すことなく、安全に配線することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態を示す真空ロボットのアームの側断面図
【図2】図1の上面図
【図3】図1の外観側面図
【図4】第1実施形態の第1アームと第1リンクとの段差による効果を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の一実施形態を示すものであって、真空ロボットの主にアーム部を示す側断面図である。また、図2は、図1の上面図である。また、図3は、図1の外観上の側面図である。図2のように、本実施形態では2本のアームを備えた、所謂、双腕の真空ロボットとした形態を示しているが、以下説明するように、アームが1本の真空ロボットであっても問題はない。なお、2本のアームのそれぞれは同様な構成であるため、以下、図1及び図2をもとにいずれか一方のアームの構成についてのみ説明する。
アームは、概ね、後述するアームベース8の上で回転可能な第1アーム2と、第1アーム2の先端部上で回転可能な第2アーム5と、アームベース8の上で回転可能であって、その先端が第1連結リンク4によって第1アーム2の先端と回転可能に連結された第1リンク3と、基端が第1リンク3の先端に回転可能に連結され、その先端が第2連結リンク7によって第2アーム5の先端と回転可能に連結された第2リンク6と、第2連結リンク7に固定され、基板を載置するハンド(図示せず)と、から構成されている。以下、各部の詳細構成について説明する。
【0014】
真空ロボットのボディ27の一部は真空容器底面28に固定されている。ボディ27の一部と真空容器底面28との接触部にはOリングなどのシール材が設けてあり、これで真空容器内の真空環境を維持する。ボディ27の上面ではアームベース8がボディ27に対して旋回するように設置されている。アームベース8より上の部分は真空容器内に入る。ボディ27の内部については図示しないが、この内部にアームベース8を上下に移動させる上下機構と、アームベース8を旋回させる旋回機構とが設置されている。アームベース8の中央下部には中空状のシャフト29が設けられていて、このシャフト29を旋回機構が回転させることによってアームベース8より上の部分を旋回させる。また、このシャフト29を上下機構が上下させることによってアームベース8より上の部分を上下させる。シャフト29の周囲を包むようにベローズ30が配されている。ベローズ30の上端はボディ27の上面のフランジに気密に接続されている。シャフト29の下部付近の周囲には図示しない磁性流体シールなどが装着されていて、磁性流体シールを保持する部材にベローズ30の下端が気密に接続されている。従って、ベローズ30とシャフト29と図示しない磁性流体シールとで囲まれた空間は真空容器の雰囲気に曝される。
【0015】
アームベース8は、その内部に気密性の空間を有している。アームベース8の内部空間と中空状のシャフト29の内部空間は連通している。アームベース8の内部空間からシャフト29の内部空間へと、後述するケーブルが挿入される。中空状のシャフト29の下端は図示しないボディ27の内部空間と連通しており、本実施形態の場合、ボディ27は大気圧環境に曝される。よってシャフト29の内部空間およびアームベース8の気密な内部空間も大気圧環境に曝される。アームベース8の内部空間にアーム駆動用モータ9が収容されている。アーム駆動用モータ9は、その出力軸が鉛直下向きになるようアームベース8内で固定されている。アーム駆動用モータ9の出力軸にはプーリ11が固定されている。
一方、アームベース8には、アーム駆動用モータ9とほぼ同じ高さで第1減速機10が固定されている。第1減速機10のケーシングの外周部は、真空シール21を介してアームベース8に対して固定される。第1減速機10は、減速機の上下に貫通する中空状の減速機シャフト31を備えている。減速機シャフト31の下端にはプーリ12が固定されている。減速機シャフト31の上端にはプーリ17が固定されている。上述したプーリ11とプーリ12にはこれらに高速側タイミングベルト13が巻装されている。ここで高速側タイミングベルト13と呼ぶのは、プーリ11、プーリ12、高速側タイミングベルト13の回転が、アーム駆動用モータ9の回転を伝達して第1減速機10に入力されて減速されていない速さであって、後述する第1減速機10の減速機出力軸32の回転よりも高速な回転であるからである。
また、第1減速機10は減速機シャフト31の外側に減速機出力軸32を有している。減速機出力軸32は、アーム駆動用モータ9の出力軸の回転動作によって減速機シャフト31が回転するとき、減速機シャフト31の回転が所定の比率で減速されながら回転する。つまり、減速機シャフト31はプーリ11とプーリ12との比だけ減速された速さで回転し、減速機出力軸32は減速機シャフト31の回転がさらに所定の比率で減速された速さで回転する。従って減速機出力軸32は減速機シャフト31よりも比較的低速で回転する。減速機出力軸32は、第1減速機10のケーシングの内周面に対して回転可能な真空シール14を介して回転する。以上の構成から、第1減速機10の内部は、減速機シャフト31の中空形状によってアームベース8の内部空間と連通していて大気状態に維持される。
【0016】
第1アーム2は内部に気密な空間を有するように形成されている。第1アーム2の基端の下面に穴部が形成されていて、上述した減速機シャフト31の上端部がこの穴部から第1アーム2の内部空間へと挿入されている。また、第1アーム2の基端穴部の周辺の下面が減速機出力軸32と直接締結されている。これらの締結部分には真空シール22が配されていて、気密性を保持している。上述したように減速機シャフト31の上端にはプーリ17が固定されている。
一方、第1アーム2の先端側の上面には、第2減速機15が固定されている。この固定面には真空シール23が装着されていて、第1アーム2および第2減速機15の内部の気密性を保持している。第2減速機15は第1アーム2の先端側の上面から突出するように固定されていて、第2減速機の下面に露出している入力軸に固定されているプーリ18が上述したプーリ17とほぼ同じ高さになるように配置されている。プーリ18にはプーリ17に巻装されている高速側タイミングベルト19が巻装されている。第2減速機15は、アーム駆動用モータ9がある方向に回転したとき、第1減速機10の減速機出力軸32と第2減速機15の出力軸が互いに逆方向に回転するようにしておく。第2減速機15の出力軸と第2減速機15のケーシングとの間には、回転可能な真空シール16が装着されていて、第2減速機15の出力軸が回転しても第2減速機15の内部の気密性を維持する。
【0017】
第2減速機15の出力軸には、第2アーム5の基端側下面が直接締結されている。この部分にも真空シール24が装着されているので、第2減速機15の内部の気密性は保持される。第2アーム5は、第1アーム2のように内部に気密性のある空間を有しない。第2アーム5には適所に軽量化のための凹部が形成されているのみであり、第2アーム5の厚みは搬送する基板の重量に応じて必要十分な厚みを有するだけでよい。
第2アーム5の先端部上には、回転可能なシャフトが配置されている。そのシャフトの上端に第2連結リンク7の一端が固定されている。第2連結リンク7には図示しないハンドが固定される。ハンドには搬送対象である基板が載置される。
【0018】
以上のように本実施形態では、アーム駆動用のモータ9をアームベース8内に配置しているので、第1アーム2の内部にはアーム駆動用のモータが配置されておらず、第1アーム2は高さ方向の厚みを低くすることができる。つまり、第1アーム2の内部空間は、プーリ17、高速側タイミングベルト19、プーリ18、そして必要に応じてベルトのテンショナ機構が配置されるのみであり、従来のようにアームの途中やその内部空間にモータなど動力源を配置する構成に比べて、第1アーム2の厚みを薄く形成できる。
また、第2アーム5は内部に機構を有しない単純な構造であり、強度上、必要十分な厚みを必要とするだけであるので、従来のようにアームの内部に機構を有する構成に比べて第2アーム5の厚みも薄く形成できる。
【0019】
次に、上記のハンドを常に一定の方向に向けるよう規制するリンク機構について説明する。図2が示す上面図に記載されているように、アームベース8が旋回機構によって旋回し、図の左右方向が第2連結リンク7すなわちハンドを進退させたい方向だとする。この方向をアームの伸縮方向あるいは進退方向と呼び、図で右に向かう方向をアームの伸長方向(進方向)、左に向かう方向をアームの縮小方向(退方向)と呼ぶ。
アームベース8には第1リンク3の基端側がアームベース8に対して回転可能に連結されている。第1リンク3の基端側の回転中心は、第1アーム2の基端側の回転中心をアームの退方向にシフトした位置に配置される。第1リンク3は、その内部に第1アーム2のような気密空間を有しない。つまり第2アーム5と同様な形態である。第1リンク3の先端側上面には、第2リンク6の基端側が回転可能に連結されている。さらに、この連結部分の上側にこれと同軸上で第1連結リンク4の一端が回転可能に連結されている。第1連結リンク4の他端は、上述した第1アーム2先端上での第2アーム5の基端側が連結されている部分の、さらに上側でこれと同軸上に回転可能に連結される。第2リンク6の先端側は、上述した第2連結リンク7の他端に回転可能に連結される。第2リンク6も、その内部に第1アーム2のような気密空間を有しない。なお、第1および第2連結リンクは板状の部材である。
【0020】
以上のアーム構成において、さらに各部の長さ等について補足する。
まず、第1アーム2と第1リンク3について、第1アーム2と第1リンク3はそれぞれの基端部の回転軸から先端部の回転軸までの軸間距離が同じ長さになるように設定する。また、第1アーム2の基端部と第1リンク3の基端部の回転軸間距離と、第1連結リンク4の両端の軸間距離が同じ長さになるように設定する。これによって、第1アーム2の基端部の回転軸と第1リンク3の基端部の回転軸と第1アーム2の先端部の回転軸と第1リンク3の先端部の回転軸と、を結んだ線は平行四辺形をなす。
更に、第2アーム5と第2リンク6は、それぞれの基端部の回転軸から先端部の回転軸までの軸間距離が、第1アーム2の基端部の回転軸から先端部の回転軸までの軸間距離と同じ長さになるように設定する。また、第1連結リンク4の両端の回転軸間距離と第2連結リンク7の両端の回転軸間距離が同じになるように第2連結リンク7を設定する。これによって、第2アーム5の基端部の回転軸と第2リンク6の基端部の回転軸と第2アーム6の先端部の回転軸と第2リンク6の先端部の回転軸と、を結んだ線は平行四辺形をなす。
更に、第1減速機10と第2減速機15の出力軸の回転数は、第1減速機10の回転数に対して第2減速機15の回転数が2倍となるように、各減速機の減速比とプーリ17及びプーリ18の歯数を決定する。
【0021】
本実施形態では、第1リンク3の下面は、第1アームの上面よりも高くなるようにアームベース8に支持される。アームベース8の内部に収容されているアーム駆動用モータ9は一定量の高さを有しており、これがアームベース8の高さ方向の厚みをほぼ決定する。よってアーム駆動用モータ9が収容されている部分の上面にあたる位置に、第1リンク3の基端部が支持されるように配置される。一方、アームベース8の上面では、第1リンク3が支持される面よりも低い段差の面が形成されており、この低い面上に上述した第1減速機10が固定されている。この構成により、第1アーム2は第1リンク3よりも低い位置に配置されるようになっている。
従って、図2内の下側のアーム(伸長しているアーム)のように、第1アーム2の先端側がアームの伸方向へ回転したとき、第1連結リンク4の作用によって第1リンク3は第1アーム2と同じ回転量だけ回転し、このとき第1リンク3は第1アーム2に重なるようにして回転する。一方、図2の上側のアーム(縮小しているアーム)のように、第1アーム2の先端側がアームの縮小方向(退方向)へ回転したとき、第1アーム2は、上述したアームベース8上面の段差(アーム駆動用モータ9が収納されているために発生している段差)と干渉することになるため、第1アーム2は進方向と退方向で同等量回転できない。つまり、退位置にあるほうが若干量だけ少ない回転量になる。つまり、このことにより、本実施形態のアームは、退位置でのアームの引き量を犠牲にすることで、基板をより遠くまで搬送できるよう構成されている。しかし、このように構成されているために、アームベース8の内部空間を小さくできるので、この内部空間から真空環境へのリークの可能性を低減でき、真空容器の必要な容積も低減できている。
また、上述したように、第1アーム2の内部空間にはプーリ17、高速側タイミングベルト19、プーリ18、そして必要に応じてテンショナ機構が配置されるのみであり、本実施形態の第1アーム2は厚みを薄く形成できる。このことは、真空容器内に存在する大気圧の空間が小さくなることであり、大気圧の空間から真空容器内の真空雰囲気に気体がリークする可能性を低減できる効果がある。しかし、第1アーム2の厚みを薄くすれば、アーム全体の剛性が低下してしまう。そこで本実施形態では、第1アーム2の厚みよりも第1リンク3の厚みを厚くするよう構成している。そうすることで、第1アーム2からのリークの可能性を低減しつつ、アームの剛性を高めていて、重量が重い基板を搬送する際にもアームが垂れるといった問題を少なくすることができる。
【0022】
第2アーム5と第2リンク6について説明する。これらの高さ方向の厚みについて、本実施形態では第2アーム5の厚みと第2リンク6の厚みをほぼ同じに構成している。また、これらが同じ高さに位置するよう、それぞれが第1アーム2の先端と第1リンク3の先端とに連結されている。この構成により、狭い開口を第2アーム5および第2リンク6が通過しなくてはならない場合であっても、問題なく通過できるように構成されている。また、上述したように、第2アーム5と第2リンク6は、その内部にプーリなど伝達機構やモータなどを内包するものではないので、剛性が確保できる限り、それぞれ薄く形成できることからも、狭い間口を通過させやすくなる。また、このことは、真空容器の容積を低減させることにも作用する。
【0023】
さらに本実施形態における、ケーブルの処理について説明する。ハンド付近には、ハンド上の基板の有無を検知するセンサ、ハンド上の基板の載置位置(ずれ)を検知するセンサ、ハンドの先端などに設置されて基板が収納されるカセットでの基板の有無を検知するセンサ、などが必要に応じて設置されることがある。これらセンサの信号線や電源線(以下まとめてケーブルと称する)について、本実施形態では、図1のようにケーブル33が配線される。つまり、図示しないハンドから配設されてきたケーブル33は、第2連結リンク7の一端と第2アーム5の先端部とが連結されている回転軸の中空に形成されている穴を通り、第2アーム5の裏側を這うように配設される。第2アーム5の基端側には、第2アーム5の上側に位置する第1連結リンク4の連結軸に中空穴が形成されていて第1連結リンク4に到達している。第2アーム5の基端部に到達したケーブル33は、ここをとおって第1連結リンク4へと配設される。第1連結リンク4の内部には、ケーブル33が通過可能な通路が形成されている。この通路は真空容器内の真空雰囲気にさらされている。この通路を通って第1連結リンク4の他端側に到達したケーブル33は、第2リンク6の基端側と第1リンク3の先端側とが連結されている回転軸中心に形成された中空穴を通り、第1リンク3の裏側へと配設される。第1リンク3の裏側を這ってその基端側へと配設されたケーブル33は、第1リンク3の基端側付近に形成された穴部を通って、第1リンク3の上側へと配設される。その後、ケーブル33は第1リンク3の基端部の回転軸中心を通ってアームベース8まで下ろされる。さらにケーブル33は、アームベース8上に設けられた電流導入端子に各線ごとに接続される。電流導入端子は真空容器内の真空雰囲気とアームベース8内の気密な空間内の雰囲気との間にあってこれらを隔絶しながら、各ケーブルを各雰囲気間で接続するものである。その後、ケーブル33はシャフト29の中空穴へと挿入されて、図示しない箇所へと適宜接続される。
本実施形態では以上のようにケーブルが配設されているので、アームやリンクの動作をケーブルが妨げることがない。また、ケーブルは真空環境内にさらされることになるが、第1アーム2の内部を通っていないので、第1アーム2の内部のプーリやベルトと接触するおそれが無い。
【0024】
次に、以上で構成された本実施形態のアームの動作について説明する。
アーム駆動用モータ9の出力軸が回転すると、プーリ11、高速側タイミングベルト13、プーリ12を介して、第1減速機10の減速機シャフト31が回転する。減速機シャフト31が回転するとこの回転が第1減速機10で減速され、減速機出力軸32も回転し、第1アーム2が回転する。さらにこのとき同時に、減速機シャフト31上端のプーリ17の回転が、高速側タイミングベルト19、プーリ18を介して、第2減速機15の入力軸も回転させる。プーリ17とプーリ18は高速側タイミングベルト19によってつながっているため同じ方向に回転し、第1減速機10の減速機出力軸32と第2減速機15の出力軸は、互いに逆方向に1:2の速比で回転することとなる。つまり、第1アーム2が一定量回転したとき、第2アーム5は第1アーム2の回転方向とは逆方向にその回転量の2倍回転する。
一方、第1アーム2の基端部と第1リンク3の基端部と第1アーム2の先端部と第1リンク3の先端部の各回転軸を結んだ線は平行四辺形であるため、第1アーム2と第1リンク3は平行を保ったまま同時に回転し、第1連結リンク4は第1アーム2の基端部回転中心と第1リンク3の基端部回転中心を結んだ線(つまり進退方向)と平行を維持しながら移動を行うことになる。
同様に、第2アーム5の基端部と第2リンク6の基端部と第2アーム5の先端部と第2リンク6の先端部の各回転軸を結んだ線は平行四辺形であるため、第2アーム5が回転すると、第2アーム5と第2リンク6は平行を保ったまま回転運動をするとともに、第2リンク5の基端部と第2リンク6の基端部の回転軸中心間を結んだ線、つまり第1連結リンク4の両端各回転軸を結んだ線と、第2リンク5の先端部と第2リンク6の先端部の回転軸中心間を結んだ線、つまり第2連結リンク7の両端各回転軸を結んだ線とは、平行を維持したまま移動を行うこととなる。
更に、第1アーム2と第2アーム5はそれぞれの基端部から先端部の各回転軸間距離が同じ長さで、基端部を中心とした回転速度が1:2のため、第2連結リンク7の両端各回転軸を結んだ直線は、第1アーム2の基端部回転中心と第1リンク3の基端部回転中心を結んだ直線上を移動することになる。
第2連結リンク7上に図示しないハンドを固定すれば、ハンドは上述の平行リンク機構の作用によって、アームの回転動作(伸縮動作)に伴い、図2のような直線運動を行なうので、ハンド上に載置した基板が搬送可能となる。
【0025】
以上のように本実施形態では、旋回ベース8内、第1アーム2内及び第2減速機15までを、回転可能な真空シールとOリング等によって気密性を有するよう構成し、それらの内部を大気圧状態とすることで、真空容器内の真空環境にタイミングベルト、減速機、モータ等を曝すことがない。これにより、真空環境に適したアーム構成とすることができる。
また、旋回ベース8内部のアーム駆動用モータ9の回転を、同じく旋回ベース8内に配置された第1減速機10に入力する際、その回転を第1減速機10の中心を通ってそのまま第1アーム2内部に取り出す減速機シャフト31と、減速機シャフト31の回転を入力して減速させ、減速した回転を取り出す減速機出力軸32を第1アーム2の基端側と連結し、さらに減速機シャフト31の回転を伝達する伝達機構のみを第1アーム2内に配置し、この回転を第1アーム2の先端に設けた第2減速機15に入力して第2アーム5を回転させるように構成したので、第1アーム2の内部に伝達機構のみが入るだけとなり、第2アーム5の内部には精密な機構が入らない。このことは、上述した第1アーム2の内部空間からのリーク量の低減のほか、ハンド上の基板が高温であり、これから伝達する熱があっても、第2アームが熱の影響を受けることが少なく、従って高精度な基板の搬送状態を維持できる。また、各減速機の出力軸を直接アームの基端に固定することで、減速機出力軸側にタイミングベルトを設ける機構よりも伝達剛性を高くすることが可能となっている。
また、第1アーム内ではなく、アームベース内にアーム駆動用モータを配置し、そのモータの収容によって生じる段差の低い面に第1減速機を配し、その出力軸に第1アームを支持することで、第1アームの高さを第1リンクよりも低くし、第1アームと第1リンクの重なりを可能にすることで、アームを伸ばしたときの第1アームと第1リンクの干渉を避けることが可能となり、アームの伸長距離を長くすることができる。さらに、第2アームと第2リンクはほぼ同じ厚みに形成した上で同じ高さに設けることで、アーム全体の高さを抑えることができる。
なお、図4は、本実施形態の第1アームと第1リンクとの段差による効果を説明する上面図であって、上側のアームは第1アームと第1リンクに段差が無い場合のアームの伸長状態、下側のアームは本実施形態のように第1アームと第1リンクに段差がある場合のアームの伸長状態を示している。本実施形態におけるアームは、図中αだけ伸長距離が長い。
また、アームベース内にアーム駆動用モータを配置しているので、高温の基板を搬送する場合でも、熱源である基板からモータまでの距離が離れることになり、熱源の影響を受けにくくすることが可能である。
また、第2連結リンク7およびハンドが直進するよう規制するリンク機構については、上述のような平行リンク機構とすることにより、リンク内にケーブルを通すことが可能である。つまり、各アームの減速機の内部にケーブルを通さずに、また伝達機構が存在する空間に配設されることがなく、断線や接触などの危険性を低減できる。
【符号の説明】
【0026】
1 真空ロボット
2 第1アーム
3 第1リンク
4 第1連結リンク
5 第2アーム
6 第2リンク
7 第2連結リンク
8 アームベース
9 アーム駆動用モータ
10 第1減速機
11 プーリ
12 プーリ
13 高速側タイミングベルト
14 回転可能な真空シール
15 第2減速機
16 回転可能な真空シール
17 プーリ
18 プーリ
19 高速側タイミングベルト

21 真空シール(Oリング)
22 真空シール(Oリング)
23 真空シール(Oリング)
24 真空シール(Oリング)

27 ボディ
28 真空容器底面
29 シャフト
30 ベローズ
31 減速機シャフト
32 減速機出力軸
33 ケーブル
34 電流導入端子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
減圧環境内で基板を搬送する真空ロボットにおいて、
そのアームが、
内部に気密な空間を有するアームベースと、
前記アームベースの気密な空間内に設置されたアーム駆動用モータと、
前記アーム駆動用モータの回転が入力されて回転する中空の減速機シャフトと、前記減速機シャフトの回転が入力されて所定の比だけ減速し、前記減速機シャフトの周囲で回転する第1減速機出力軸と、からなり、前記アームベースの気密な空間内に前記中空の減速機シャフトの下端が露出するよう設置された第1減速機と、
前記中空の減速機シャフトの上端が侵入することで前記アームベースの気密な空間と同圧となる気密な空間を有し、かつ基端部が前記第1減速機出力軸に固定される第1アームと、
前記第1アームの先端に設置され、入力軸が前記減速機シャフトの上端と伝達機構によって接続された第2減速機と、
前記第2減速機の出力軸に基端部が固定され、内部に気密な空間を有しない第2アームと、
前記アームベース上に基端部が回転可能に支持された第1リンクと、
前記第1リンクの先端上に基端部が回転可能に支持された第2リンクと、
前記第2リンクの基端部の回転軸上と同軸でその一端が回転可能に支持され、前記第2アームの基端の回転軸上と同軸でその他端が回転可能に支持された第1連結リンクと、
前記第2リンクの先端上にその一端が回転可能に支持され、前記第2アームの先端上にその他端が回転可能に支持された第2連結リンクと、
前記第2連結リンクに締結されたハンドと、
を備えたことを特徴とする真空ロボット。
【請求項2】
請求項1記載の真空ロボットにおいて、
前記第1リンクの下面が、前記第1アームの上面よりも上側になるよう前記第1リンクが前記アームベース上に支持されたことを特徴とする真空ロボット。
【請求項3】
請求項2記載の真空ロボットにおいて、
前記アームベースにおいて前記アーム駆動用モータが収容されている箇所の上面に前記第1リンクが支持され、前記第1減速機は前記アーム駆動用モータが収容されている箇所の上面よりも低い面に設置されることで、前記第1リンクの下面が前記第1アームの上面よりも上側になるよう構成されたことを特徴とする真空ロボット。
【請求項4】
請求項1記載の真空ロボットにおいて、
前記第1リンクの高さ方向の厚みが、前記第1アームの厚みよりも大きくなるよう構成されたことを特徴とする真空ロボット。
【請求項5】
請求項2記載の真空ロボットにおいて、
前記第2アームと前記第2リンクの高さ方向の厚みがほぼ同程度に形成され、かつ前記第2アームと前記第2リンクとの高さが同じになるよう、それぞれが前記第1アームと前記第1リンクに連結されたことを特徴とする真空ロボット。
【請求項6】
請求項1記載の真空ロボットにおいて、
前記ハンドから配設されてくるケーブルが、前記第2連結リンクの一端から前記第2アームの裏面に配設され、前記第2アームの基端に設けられた穴から前記第1連結リンクに配設され、前記第1リンクの先端から前記第1リンクの裏面に配設され、前記第1リンクの基端の回転中心を通って、前記アームベース上に設けられた電流導入端子に接続されたことを特徴とする真空ロボット。
【請求項7】
請求項1記載の真空ロボットにおいて、
前記アームベースの気密な空間に連通するシャフトと、
前記シャフトを旋回させる旋回機構と、
前記シャフトを上下させる上下機構と、
前記シャフトと前記旋回機構と前記上下機構とを収容するボディと、をさらに備えたことを特徴とする真空ロボット。
【請求項8】
減圧環境内で基板を搬送するためのロボットのアーム機構において、
内部に気密な空間を有するアームベースと、
前記アームベースの気密な空間内に設置されたアーム駆動用モータと、
前記アーム駆動用モータの回転が入力されて回転する中空の減速機シャフトと、前記減速機シャフトの回転が入力されて所定の比だけ減速し、前記減速機シャフトの周囲で回転する第1減速機出力軸と、からなり、前記アームベースの気密な空間内に前記中空の減速機シャフトの下端が露出するよう設置された第1減速機と、
前記中空の減速機シャフトの上端が侵入することで前記アームベースの気密な空間と同圧となる気密な空間を有し、かつ基端部が前記第1減速機出力軸に固定される第1アームと、
前記第1アームの先端に設置され、入力軸が前記減速機シャフトの上端と伝達機構によって接続された第2減速機と、
前記第2減速機の出力軸に基端部が固定され、内部に気密な空間を有しない第2アームと、
前記アームベース上に基端部が回転可能に支持された第1リンクと、
前記第1リンクの先端上に基端部が回転可能に支持された第2リンクと、
前記第2リンクの基端部の回転軸上と同軸でその一端が回転可能に支持され、前記第2アームの基端の回転軸上と同軸でその他端が回転可能に支持された第1連結リンクと、
前記第2リンクの先端上にその一端が回転可能に支持され、前記第2アームの先端上にその他端が回転可能に支持された第2連結リンクと、
前記第2連結リンクに締結されたハンドと、
を備えたことを特徴とするロボットのアーム機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−101912(P2011−101912A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257024(P2009−257024)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】