説明

水平多関節ロボットおよびそれを備えた搬送装置

【課題】直動機構を用いることなくワークを出し入れすることができると共に、高速動作が可能で、かつ、低発塵、省スペース化に寄与する水平多関節ロボットおよびそれを備えた搬送装置を提供すること。
【解決手段】エンドエフェクタ20、第1アーム30、第2アーム40に、さらに第3アーム50を備え、第3アーム50を揺動回転動作させることによって、例えば、アクセス位置P1の軸線P1aの延長線上に第3回転軸N3がくるようにしてから直線状にエンドエフェクタ20を移動させてワークの出し入れを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平多関節ロボットに関する。さらに詳述すると、カセットやプロセス装置の間で半導体ウエハなどのワークを搬送する水平多関節ロボットの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置などにおいて、液晶ガラス、レチクル、半導体ウエハなどのワークをカセットからプロセス装置へ、あるいはその逆にカセットへ搬送するために、従来より、水平多関節ロボットが使用されている。この水平多関節ロボットには、図6に示すように、エンドエフェクタ部20と、2つのアーム部30、40とから形成される水平多関節ロボット101などがあり、ワークWを保持するエンドエフェクタ部20を、その軸線方向に直線状に移動させることにより、ワークWを回転させずに搬送するようにしている(例えば、特許文献1)。
【0003】
以下、従来の水平多関節ロボット101の構成、動作について説明する。従来の水平多関節ロボット101は、ワークWを保持するエンドフェクタ20と、一端部31に第1回転軸N1を有してエンドエフェクタ20の根元部21を第1回転軸N1まわりに回転可能に支持する第1アーム30と、一端部41に第2回転軸N2を有して第1アーム30の他端部32を第2回転軸N2まわりに回転可能に支持する第2アーム40と、第3回転軸N3を有して第2アーム40の他端部42を第3回転軸N3まわりに回転可能に支持する基台60とから構成されている。
また、図6では図示しないが、第2アーム40に対して第1アーム30を第2回転軸N2まわりに回転させる第1駆動手段M1と、基台60に対して第2アーム40を第3回転軸N3まわりに回転させる第2駆動手段M2とを備えている。
さらに、第1回転軸N1から第2回転軸N2までの距離L1と、第2回転軸N2から第3回転軸N3までの距離L2とが等しくなるように配置されており、第2アーム40に対して第1アーム30が第2回転軸N2まわりに周方向一方に回転する角速度V2に対して、第1アーム30に対してエンドエフェクタ20が第1回転軸N1まわりに周方向他方(前記周方向一方とは逆の方向)に1/2の角速度V1で回転するように、図示しないベルト、プーリなどからなる連動手段を備えている。
【0004】
このような構成にて、第2アーム40を第3回転軸N3のまわりに周方向一方に角速度V3で回転させ、かつ、第2アーム40に対して第1アーム30が第2回転軸N2まわりに周方向他方に角速度V3の2倍の角速度V2で回転させると、前記連動手段により、第1アーム30に対してエンドエフェクタ20は第1回転軸N1まわりに周方向に角速度V2に対して向きが反対で1/2の角速度V1で回転するので、第1回転軸N1と第3回転軸N3とを結ぶ直線に沿ってエンドエフェクタ20が直線状に移動する。
一方、第2アーム40を第3回転軸N3のまわりに周方向一方に角速度V3で回転させ、かつ、第2アーム40に対して第1アーム30を第2回転軸N2まわりに回転しないように維持して連動動作を行うと、エンドエフェクタ20、第1アーム30、および、第2アーム40から成るアーム姿勢を維持した状態でアーム全体が旋回し、エンドエフェクタ20を直線状に移動させる向きを変えることができる。
したがって、水平多関節ロボット101は、第3回転軸N3を中心として、放射状にエンドフェクタ20を進退させることができる。
【0005】
一方、図7に示すように、カセットやプロセス装置等の、複数のアクセス位置(搬送位置)P1、P2、P3、P4等があり、各々、ワークWを出し入れする軸線P1a、P2a、P3a、P4a等が平行に配置されている場合、基台60ごとの平行移動が可能となる直動機構70を備えた水平多関節ロボット101が提案されている。これによれば、例えば、ロボットの中心、すなわち、第2アーム40の第3回転軸N3から離れたアクセス位置P2の軸線P2aに沿って直線状にエンドエフェクタ20を移動させてワークWの出し入れを行うためには、あらかじめ直動機構70によってアクセス位置P2の軸線P2aの延長線上に第2アーム40の第3回転軸N3が来るように、水平多関節ロボット101を平行移動させればよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平07−237156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のように直動機構を備えた水平多関節ロボットでは、直動機構は、一般には、ボールネジやベルト、リニアガイド等を備えており、平行移動の際にここから発塵し易く、半導体ウエハなどの製造環境であるクリーンルームなどでは使用されるのに適さないことがあるという問題を有している。一方で、半導体の製造上、搬送効率を改善し、生産性の向上を図ることも重要であり、半導体ウエハなどの搬送を行う水平多関節ロボットに対しては、動作速度の高速化が求められるが、高速動作と発塵の低減は相反する課題となっている。
また、クリーンルームなどでは、半導体製造装置の省スペース化が必要となっており、半導体製造装置に使用される水平多関節ロボットや、それを備えた搬送装置にも省スペース化が要求されている。しかし、従来のように直動機構を備えた水平多関節ロボットでは直動機構を設置するために広いスペースが必要になり、搬送装置の小型化が難しくなるという課題がある。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、水平多関節ロボットを平行移動させる直動機構を用いることなく、第2アーム回転軸から離れたアクセス位置の軸線に沿って直線状にエンドエフェクタ部を移動させてワークを出し入れすることができると共に、高速動作が可能で、かつ、動作中における発塵が起こり難い水平多関節ロボットを提供することを目的とする。また、省スペース化にも寄与する水平多関節ロボットおよびそれを備えた搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
すなわち、ワークを保持するエンドエフェクタと、前記エンドエフェクタを一端で支持し、他端が基台に支持された水平多関節型のアーム部と、を備え、前記アーム部の回転動作によって前記ワークを所望の搬送位置まで搬送する水平多関節ロボットにおいて、一端部に第1回転軸を有して前記エンドエフェクタを前記第1回転軸まわりに回転可能に支持する第1アームと、一端部に第2回転軸を有して前記第1アームの他端部を前記第2回転軸まわりに回転可能に支持する第2アームと、一端部に第3回転軸を有して前記第2アームの他端部を前記第3回転軸まわりに回転可能に支持する第3アームと、第4回転軸を有して前記第3アームの他端部を前記第4回転軸まわりに回転可能に支持する基台と、前記第1回転軸から前記第2回転軸までの距離と、前記第2回転軸から前記第3回転軸までの距離とが等しく、かつ前記第1アームが前記第2回転軸まわりで一方に回転する角速度に対し、前記エンドエフェクタが前記第1回転軸まわりで前記一方とは反対の方向へ1/2の角速度で回転させる連動手段と、を備え、前記搬送位置における軸線の仮想延長線上に前記第3回転軸がくる位置まで前記第3アームを揺動回転してから前記搬送をおこなうこと、を特徴とする水平多関節ロボットとするものである。
また、前記第3アームが前記揺動回転をおこなうときは、前記エンドエフェクタと前記第1アームと前記第2アームは、最小旋回姿勢となり、さらに前記最小旋回姿勢を維持しつつ、前記第2回転軸が前記第3回転軸に対して常に前記第4回転軸側になるよう前記第3回転軸上で回転するように構成するものである。
また、前記第3アームが前記揺動回転をおこなうときは、前記エンドエフェクタと前記第1アームと前記第2アームは、最小旋回姿勢となったあと、前記第3アームが前記揺動回転をおこないながら、前記エンドエフェクタがスライドするように前記第1アームおよび前記第2アームが動作するように構成するものである。
また、前記第1アームを前記第2回転軸まわりに回転させる手段を第1駆動手段、前記第2アームを前記第3回転軸まわりに回転させる手段を第2駆動手段、前記第3アームを前記第4回転軸まわりに回転させる手段を第3駆動手段、としたとき、前記第1駆動手段と前記第2駆動手段は前記第3アームの内部に配置され、前記第3駆動手段は前記基台の内部に配置されるように構成するものである。
また、前記基台に、前記エンドエフェクタと前記第1アームと前記第2アームと前記第3アームと前記第3駆動手段と、を上下動させる昇降手段を備えるよう構成するものである。
また、前記エンドエフェクタは、前記第1回転軸を対称軸として対称に配置された第1ハンド部と第2ハンド部とを有し、前記第1ハンド部と前記第2ハンド部のそれぞれで前記ワークを保持可能であるよう構成するものである。
また、ワークが搬送される複数の搬送位置と、前記ワークを保持するエンドエフェクタと、前記エンドエフェクタを一端で支持し、他端が基台に支持された水平多関節型のアーム部と、を備え、前記アーム部の回転動作によって前記ワークを前記搬送位置まで搬送する水平多関節ロボットと、を備えた搬送装置において、前記複数の搬送位置のうち第1搬送位置と第2搬送位置が少なくとも横並びに配置され、前記水平多関節ロボットが、一端部に第1回転軸を有して前記エンドエフェクタを前記第1回転軸まわりに回転可能に支持する第1アームと、一端部に第2回転軸を有して前記第1アームの他端部を前記第2回転軸まわりに回転可能に支持する第2アームと、一端部に第3回転軸を有して前記第2アームの他端部を前記第3回転軸まわりに回転可能に支持する第3アームと、第4回転軸を有して前記第3アームの他端部を前記第4回転軸まわりに回転可能に支持する基台と、前記第1回転軸から前記第2回転軸までの距離と、前記第2回転軸から前記第3回転軸までの距離とが等しく、かつ前記第1アームが前記第2回転軸まわりで一方に回転する角速度に対し、前記エンドエフェクタが前記第1回転軸まわりで前記一方とは反対の方向へ1/2の角速度で回転させる連動手段と、を備え、前記第4回転軸が、前記第1搬送位置と前記第2搬送位置の両方から等距離の線上に配置され、前記第1搬送位置あるいは前記第2搬送位置における軸線の仮想延長線上に前記第3回転軸がくる位置まで前記第3アームを揺動回転してから前記搬送をおこなうように構成した搬送装置とするものである。
また、前記第3アームが前記揺動回転をおこなうときは、前記エンドエフェクタと前記第1アームと前記第2アームは、最小旋回姿勢となり、さらに前記最小旋回姿勢を維持しつつ、前記第2回転軸が前記第3回転軸に対して常に前記第4回転軸側になるよう前記第3回転軸上で回転するよう構成するものである。
また、前記第3アームが前記揺動回転をおこなうときは、前記エンドエフェクタと前記第1アームと前記第2アームは、最小旋回姿勢となったあと、前記第3アームが前記揺動回転をおこないながら、前記エンドエフェクタがスライドするように前記第1アームおよび前記第2アームが動作するよう構成するものである。
また、前記搬送装置が、前記水平多関節ロボットに対して前記第1搬送位置と前記第2搬送位置とが並ぶ側とは反対側に、さらに少なくとも第3搬送位置を有する場合であって、前記第1搬送位置あるいは前記第2搬送位置と前記第3搬送位置とがなす前記搬送装置の幅方向Xにおいて、前記第4回転軸が、前記第1搬送位置あるいは前記第2搬送位置が配置された側か、前記第3搬送位置が配置された側か、のいずれかにシフトした位置に配置されるよう構成するものである。
また、前記第3回転軸が前記幅方向Xにおいて一定の範囲内にあるときのみ、前記エンドエフェクタと前記第1アームと前記第2アームとによる最小旋回姿勢が、前記第3回転軸まわりに回転することを許可するよう構成するものである。
また、前記水平多関節ロボットの前記基台に、前記エンドエフェクタと前記第1アームと前記第2アームと前記第3アームと前記第3駆動手段と、を上下動させる昇降手段を備えるよう構成するものである。
また、前記水平多関節ロボットの前記エンドエフェクタは、前記第1回転軸を対称軸として対称に配置された第1ハンド部と第2ハンド部とを有し、前記第1ハンド部と前記第2ハンド部のそれぞれで前記ワークを保持可能であるよう構成するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、ロボット中心から離れたアクセス位置(搬送位置)に対して、水平多関節ロボット全体を平行移動させる直動機構を用いる必要がなく、第3アームを揺動動作することによって、アクセス位置の軸線に沿って直線状にエンドエフェクタを移動させてワークの出し入れを行うことができる水平多関節ロボットおよび搬送装置とすることができる。したがって、ロボットおよび搬送装置の設置に広いスペースを必要とせず、しかも、ロボットの設置も容易で、オーバーホールなどロボットの交換が短時間でできるという利点もある。さらに、ロボットからの発塵が少なく、クリーンな環境を維持できるという効果がある。
また、本発明によると、上述の効果にくわえて、第3アームが揺動回転をおこなうときは、エンドエフェクタと第1アームと第2アームは最小旋回姿勢となり、さらに第2回転軸が常に第3回転軸に対して第4回転軸側になるよう第3回転軸上で旋回してから揺動回転をおこない、さらにその揺動回転をおこないつつ第2回転軸が常に第3回転軸に対して第4回転軸側になるよう第3回転軸上で旋回しながら動作するので、第2回転軸すなわちアームの肘の部分による干渉領域が実質的に無くなるので、さらにロボットに必要なスペースが小さくなり、それを備えた搬送装置も小型化できる。
また、本発明によると、上述の効果にくわえて、第3アームが揺動回転をおこなうときは、エンドエフェクタと第1アームと第2アームは、最小旋回姿勢となったあと、第3アームが揺動回転をおこないながら、エンドエフェクタがスライドするように第1アームおよび第2アームが動作するので、さらにロボットに必要なスペースが小さくなる。
また、本発明によると、上述の効果にくわえて、重量物である、モータや減速機よりなる第1駆動手段、第2駆動手段、および、第3駆動手段を第3アーム内、あるいは、基台内部に配置することで、アームの先端側を軽量化し,アーム全体の低イナーシャ化を図ることができるので、水平多関節ロボットの動作速度の高速化が可能となり、ひいては、半導体製造の生産性の向上に貢献することができる。
また、本発明によると、上述の効果にくわえて、エンドエフェクタ、第1アーム、および、第2アームを含む、第3アームと、前記第3駆動手段とを一体に上下動可能する昇降手段を有しているので、水平多関節ロボットの動きの自由度が増え、ワークをさらに自在に搬送することができる。
また、本発明によると、上述の効果にくわえて、ワークを保持する部分として、第1ハンド部と第2ハンド部の2つを有し、ワークを2枚同時に搭載可能であるため、カセット等でのワークの交換を短時間で行うことができ、搬送効率が向上するという効果がある。
また、本発明によると、上述した水平多関節ロボットを、複数の搬送位置のうち第1搬送位置と第2搬送位置が少なくとも横並びに配置された搬送装置であって、水平多関節ロボットに対して第1搬送位置と第2搬送位置とが並ぶ側とは反対側に、さらに少なくとも第3搬送位置を有する搬送装置に設置した場合、第1搬送位置あるいは第2搬送位置と第3搬送位置とがなす搬送装置の幅方向Xにおいて、第4回転軸を、第1搬送位置あるいは第2搬送位置が配置された側か第3搬送位置が配置された側かのいずれかにシフトした位置に配置したので、搬送装置全体を小型化できる。
また、本発明によると、第3回転軸が前記幅方向Xにおいて一定の範囲内にあるときのみ、エンドエフェクタと第1アームと第2アームとによる最小旋回姿勢が、第3回転軸まわりに回転することを許可するので、ロボット周辺の機器とアームが干渉する可能性を低くでき、安全にワークを搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施例を示す水平多関節ロボットの平面図
【図2】図1の水平多関節ロボットの動力伝達機構を説明するために簡略化して示す縦断面図
【図3】図1の水平多関節ロボットにより搬送位置からワークを取り出す様子を示す平面図
【図4】図1の水平多関節ロボットの昇降手段を説明するために簡略化して示す基台の縦断面図
【図5】本発明の第2実施例を示す水平多関節ロボットの平面図
【図6】従来の水平多関節ロボットの平面図
【図7】直動機構を備えた従来の水平多関節ロボットが搬送位置のワークを取り出す様子を示す平面図
【図8】図1の水平多関節ロボットの第3アームが揺動回転をおこなうときを示す平面図
【図9】第3アーム50が揺動回転をおこなうときの図8とは別の動作を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の第1実施例を示す水平多関節ロボットの平面図である。また、図2は、図1の水平多関節ロボットの動力伝達機構を説明するために簡略化して示す縦断面図である。
図において、水平多関節ロボット10は、ワークWを保持するエンドフェクタ20と、一端部31に第1回転軸N1を有してエンドエフェクタ20の根元部21を第1回転軸N1まわりに回転可能に支持する第1アーム30と、一端部41に第2回転軸N2を有して第1アーム30の他端部32を第2回転軸N2まわりに回転可能に支持する第2アーム40と、一端部51に第3回転軸N3を有して第2アーム40の他端部42を第3回転軸N3まわりに回転可能に支持する第3アーム50と、第4回転軸N4を有して第3アーム50の他端部52を第4回転軸N4まわりに回転可能に支持する基台60とから構成されている。
また、図2が示すように、水平多関節ロボット10は、第2アーム40に対して第1アーム30を第2回転軸N2まわりに回転させる第1駆動手段M1と、第3アーム50に対して第2アーム30を第3回転軸N3まわりに回転させる第2駆動手段M2と、基台60に対して第3アーム50を第4回転軸N4まわりに回転させる第3駆動手段M3とを備えている。
さらに、第1回転軸N1から第2回転軸N2までの距離L1と、第2回転軸N2から第3回転軸N3までの距離L2とが等しくなるように配置されている。
また、モータM11と減速機M12とで構成された第1駆動手段M1と、モータM21と減速機M22とで構成された第2駆動手段M2は、第3アーム40の内部に配置されており、モータM31と減速機M32とで構成された第3駆動手段M3は基台60の内部に配置されている。
なお、重量物であるモータや減速機よりなる第1駆動手段M1と第2駆動手段M2を第3アーム40内に、第3駆動手段M3を基台内部に配置することで、アームの先端側を軽量化し,アーム全体の低イナーシャ化を図ることができるので、本実施例ではこのように構成している。
【0013】
本実施例の水平多関節ロボットは、エンドエフェクタ20と第1アーム30と第2アーム40の動作について、第1回転軸N1と第3回転軸N3とを結ぶ直線に沿ってエンドエフェクタ20が直線状に移動するように構成されている。これを実現させる構成について、以下説明する。
図2が示すように、第3回転軸N3部に、第2駆動手段M2から動力を伝達される中空状の第2の回転入力軸56と、第2の回転入力軸56の内部に同心状に配置されて、第1駆動手段M1から動力を伝達される第1の回転入力軸55を備えており、第2の回転入力軸56の端部には第2アーム40が固定されており、第1の回転入力軸55の端部には駆動プーリ432を備えている。第1の回転入力軸55は、第2アーム40の一端側42に配置され、第2アーム40に対して回転自在に取り付けられている。
第2アーム40の他端側41には、連結軸44が第1アーム30の内部に突出して固定されると共に、連結軸44に対して従動プーリ431が回転自在に取り付けられている。駆動プーリ432と従動プーリ431との直径比は、1:1なる関係で設けてあり、駆動プーリ432と従動プーリ431との間にはタイミングベルト433が巻き掛けてある。
また、従動プーリ431の上端には第1アーム30の一端側32が固定されており、第1アーム30の内部に突出した連結軸44の上端部には駆動プーリ332が固定され、第1アーム30に対して、駆動プーリ332が相対的に回転するようになっている。第1アーム30の他端側31には、連結軸34が固定されると共に、連結軸34に対して従動プーリ331が回転自在に取り付けられている。駆動プーリ332と従動プーリ331との直径比は、1:2なる関係で設けてあり、駆動プーリ332と従動プーリ331との間にはタイミングベルト333が巻き掛けてある。
また、従動プーリ331の上端にはエンドエフェクタ20が固定されており、第1アーム30に対して、エンドエフェクタ20が相対的に回転するようになっている。
【0014】
以上の構造において、第2の回転入力軸56を第1の回転入力軸55に対して相対的に回転させて、第2アーム40を回転させると、駆動プーリ432は第1アーム40に対して相対的に回転し、この駆動プーリ432の相対回転は、タイミングベルト433を介して従動プーリ431を回転させて第1アーム30が回転する。第1アーム30が回転することで、第1アーム30と駆動プーリ332との間で相対回転が生じ、この相対回転はタイミングベルト333を介して従動プーリ331を回転させてエンドエフェクタ20が回転する。
このとき、第2アーム40内の駆動プーリ432と従動プーリ431との直径比は1:1なる関係で、第1アーム30内の駆動プーリ332と従動プーリ331との直径比は1:2なる関係で設けてあるので、第1の回転入力軸55の回転に対して第2の回転入力軸56、すなわち、第2アーム40を同一速度で逆方向に回転させると、駆動プーリ432は第2アーム40に対して相対的に2倍の回転量だけ回転することになるので、第1アーム30は第2アーム40に対して逆方向に2倍の回転量だけ回転し、エンドエフェクタ20は第1アーム30に対して逆方向に1/2倍の回転量だけ回転する。
すなわち、駆動プーリ332と、従動プーリ331と、タイミングベルト333とから構成される連動手段33によって、第2アーム40に対して第1アーム30が第2回転軸N2まわりに周方向一方に回転する角速度V2に対して、第1アーム30に対してエンドエフェクタ20が第1回転軸N1まわりに周方向他方に1/2の角速度V1で回転するので、第1回転軸N1と第3回転軸N3とを結ぶ直線に沿ってエンドエフェクタ20が直線状に移動する。
【0015】
一方、第1の回転入力軸55の回転に対して第2の回転入力軸56、すなわち、第2アーム40を同一速度で同じ方向に回転させると、駆動プーリ432は第2アーム40に対して相対的に回転しないので、第1アーム30は第2アーム40に対して回転せず、エンドエフェクタ20も第1アーム30に対して回転しない。このようにして、第2アーム40を第3回転軸N3のまわりに周方向一方に角速度V3で回転させ、かつ、第2アーム40に対して第1アーム30を第2回転軸N2まわりに回転しないように維持して連動動作を行うと、エンドエフェクタ20、第1アーム30、および、第2アーム40から成るアーム姿勢を維持した状態でアーム全体が旋回し、エンドエフェクタ20を直線状に移動させる向きを変えることができる。
【0016】
次に、第3駆動手段M3によって揺動回転動作をおこなう第3アーム50について説明する。第3駆動手段M3によって、基台60に対して第3アーム50を第4回転軸N4まわりに回転させると、第3アーム50の一端部51に位置する第3回転軸N3が第4回転軸N4まわりに円弧状の揺動動作を行うこととなり、この円弧状の軌跡上で、第1回転軸N1と第3回転軸N3とを結ぶ直線に沿ってエンドエフェクタ20が直線状に移動することとなる。なお、本実施例では第3アーム50が円弧状の揺動動作を行う例を記載しているが、第3アーム50は円弧のように一定の範囲内だけではなく、360°の回転をするようにしてもよい。ここで、図1が示すように、例えばアクセス位置(搬送位置)P1にワークWを搬出入しようとする場合、少なくとも「アクセス位置(搬送位置)P1からワークWを直線状に搬出しなくてはならない位置P1’」と「アクセス位置(搬送位置)P1」とを結んだ仮想線の延長線上に、第3回転軸N3がくる位置まで第3アーム50を揺動回転してから搬送をおこなう。位置P1’は、例えば、アクセス位置P1がワークを収容するカセットのように一方向からしかワークを出し入れできない場合や、アクセス位置P1の周囲に障害物などがある場合など、ワークWを直線状に搬送しなければならない、アクセス位置P1からの最低限の位置である。図1では、同様に、アクセス位置P5にアクセスする場合も示している。
以下、例えば、アクセス位置(搬送位置)P1からP1’を結ぶ仮想線を、P1におけるワークWを出し入れする軸線P1aと呼ぶ。
【0017】
図3は、カセットやプロセス装置等の、複数のアクセス位置(搬送位置)P1、P2、P3、P4等があり、各々、ワークWを出し入れする軸線P1a、P2a、P3a、P4a等が平行に配置されている搬送装置を示す平面図であって、これに本実施例の水平多関節ロボットが配置されている。プロセス装置とは、例えば半導体、液晶、太陽電池といったものを製造するためのエリアで、エッチング、CVD、露光、洗浄などを行なうための領域である。図3では、一定の間隔でP1とP2が横並びに配置され、水平多関節ロボットを挟むようにして、P1とP2側とは反対側に、P3とP4が横並びに配置されている。図3の場合、P1aとP3a、P2aとP4aは、それぞれ同一線上にあるが、特にこれに限らず、後述するように、第3回転軸N3が、必要なアクセス位置(搬送位置)の各々の軸線の延長線上に到達できる範囲に必要なアクセス位置が配置されていればよい。また、P1とP2が配置されている側とP3とP4が配置されている側とは、少なくとも、後述する最小旋回姿勢でエンドエフェクタ20と第1アーム30と第2アーム40とが回転することができる程度に離れている。また、当然ながら、P1とP2が配置されている側とP3とP4が配置されている側とは、第3アーム50の揺動回転の妨げにならない程度にも離れている。さらに、後述するように、エンドエフェクタ20と第1アーム30と第2アーム40が最小旋回姿勢をなした状態で第3アーム50によって揺動するとき周辺機器と干渉がない程度にも離れている。
【0018】
図3の場合、P1やP2と干渉する恐れがあるので、水平多関節ロボットの第3アーム50は、第4回転軸N4を中心として180°以下の揺動回転となるよう制御される。さらに、第4回転軸N4は、軸線P1aとP2aから等距離の位置に配置される。つまり、第4回転軸N4は、P1とP2の両方から等距離の線上に配置される。また、第3アーム50が第4回転軸N4を中心として180°以下の揺動回転となるよう制御される場合、第4回転軸N4は、P1あるいはP2と、P3あるいはP4と、がなす搬送装置の幅方向Xにおいて、P1あるいはP2が配置された側か、P3あるいはP4が配置された側か、のいずれかに接近した(シフトした)位置に配置するとよい。シフトする位置は、第3アーム50が揺動回転しても幅方向Xにおいて周辺機器と干渉がないこと、また、後述するように、エンドエフェクタ20と第1アーム30と第2アーム40が最小旋回姿勢をなした状態で第3アーム50によって揺動するとき周辺機器と干渉がないこと、を満たす限り、P1あるいはP2が配置された側か、P3あるいはP4が配置された側か、のいずれかに接近(シフト)させてよい。図3の場合、P1あるいはP2が配置された側に第4回転軸N4がシフトしている。このように水平多関節ロボットを配置すると、搬送装置の幅方向Xを短くすることができるし、第3アーム50がP1乃至P4に干渉するおそれが無い。
したがって、例えば水平多関節ロボットがP1にアクセスする場合、まず、第3回転軸N3が、アクセス位置(搬送位置)P1の軸線P1a上に来るように、第3アーム50を揺動回転させ、その後、第1回転軸N1と第3回転軸N3とを結ぶ直線が軸線P1aに沿うようにエンドエフェクタ20の向きを変え、軸線P1aに沿ってエンドエフェクタ20を直線状に移動してワークの出し入れを行う。
【0019】
さらに、本実施例の場合、第3アーム50を揺動回転させるときは、エンドエフェクタ20と第1アーム30と第2アーム40は最小旋回姿勢となり、さらに第2回転軸N2が常に第3回転軸N3に対して第4回転軸N4側になるよう最小旋回姿勢を第3回転軸N3上で旋回させながらおこなう。以下、このことについて説明する。
図8は水平多関節ロボットの第3アーム50が揺動回転をおこなうときを示す搬送装置の平面図である。図8の(A)と(B)は、P1にアクセスした後にP2へアクセスする場合のアームの状態R1〜R5の変化を示している。(A)はR1〜R2、(B)はR2〜R5の変化を示している。
まず、R1の状態で示すようにP1へのアクセスを行なう。その後、R2に示すようにエンドエフェクタ20と第1アーム30と第2アーム40は最小旋回姿勢となる。最小旋回姿勢とは、第3回転軸N3を中心としてエンドエフェクタ20と第1アーム30と第2アーム40が回転するときに最低限必要となる旋回直径Dをなす姿勢のことである。エンドエフェクタ20がワークWを保持している場合、ワークWがこの旋回直径に影響する場合もある。その後、エンドエフェクタ20と第1アーム30と第2アーム40は、最小旋回姿勢のまま、第2回転軸N2が、第3回転軸N3から見て、第4回転軸N4側になるよう第3回転軸N3を中心に回転する(R2’の状態)。その後、第3アーム50が揺動回転を開始するが、揺動回転中においても、エンドエフェクタ20と第1アーム30と第2アーム40は、最小旋回姿勢を第3回転軸N3上で維持するとともに、第2回転軸N2が第3回転軸N3から見て、常に第4回転軸N4側になるよう第3回転軸N3を中心に微量ながら回転しながら揺動される(R3の状態)。その後、第3回転軸N3がP2の軸線P2a上にくると、第3アーム50は揺動回転を停止し、さらにエンドエフェクタ20と第1アーム30と第2アーム40は、最小旋回姿勢のまま、第1回転軸N1と第3回転軸N3とを結ぶ直線が軸線P2aに沿うように(エンドエフェクタ20の向きを変えるように)、第3回転軸N3を中心に回転する(R4の状態)。そして、P2へのアクセスを行なう(R5の状態)。
以上のように水平多関節ロボットが動作することで、いわゆるアームの肘にあたる第2回転軸N2の部分が、P3やP4側に突出して動作することがない。つまりロボットが必要な動作範囲を大きく広げてしまうことがないので、少なくとも搬送装置の幅方向Xの寸法を小さくできる。
【0020】
ここで、第3アーム50を揺動回転させるときの動作について、上記とは異なる場合について説明する。上述したように、第3アーム50を揺動回転させるときは、エンドエフェクタ20と第1アーム30と第2アーム40は最小旋回姿勢となり、さらに第2回転軸N2が常に第3回転軸N3に対して第4回転軸N4側になるよう最小旋回姿勢を第3回転軸N3上で旋回させながらおこなう動作について説明したが、この動作を以下のような動作に代えても良い。
図9は水平多関節ロボットの第3アーム50が揺動回転をおこなうときの、図8で説明した動作とは別の動作を示す搬送装置の平面図である。図9は図8と同様に、ロボットがP1にアクセスした後にP2へアクセスしようとする場合のアームの状態を示している。
まず、図8と同様に、R1に示すようにP1へのアクセスを行なう。その後、これも図8と同様に、R2に示すようにエンドエフェクタ20と第1アーム30と第2アーム40は最小旋回姿勢となる。しかし、図8とは異なり、その後、第3アーム50が揺動回転を開始すると同時に、エンドエフェクタ20と第1アーム30と第2アーム40はエンドエフェクタ20を伸縮させるように動作を開始する。つまり、見かけ上、エンドエフェクタ20がスライドするように、第1アーム30と第2アーム40を動作させる。このときの途中の動作を示すのがR6の状態である。R6の状態では、エンドエフェクタ20と第1アーム30と第2アーム40が、揺動回転の動作開始前の最小旋回姿勢ではなく、第3回転軸N3から見て、エンドエフェクタ20を伸ばす方向に動作していることを示している。R6の状態の後、さらに第3アーム50が揺動回転すると、第1アーム30と第2アーム40は、エンドエフェクタ20を縮める方向に動作し、R4の状態となる。R4の状態は、図8のR4の状態と同じである。その後、図8と同様に、図8のR5の状態となってP2へアクセスする。
以上のように水平多関節ロボットを動作させると、図8のような動作の場合よりも、さらに搬送装置の幅方向Xの寸法を小さくできるが、エンドエフェクタ20と第1アーム30と第2アーム40を揺動回転と同期させる必要があるので、ロボットを動作させるためのプログラムの演算が複雑になる。
【0021】
さらに本実施例では、第3回転軸N3が、搬送装置の幅方向Xにおいて、一定の範囲内にあるときのみ、エンドエフェクタ20と第1アーム30と第2アーム40とによる最小旋回姿勢が、第3回転軸N3まわりに回転することを許可するようにしている。一定の範囲は、図3において斜線部のところを示している。この一定の範囲は、エンドエフェクタ20と第1アーム30と第2アーム40による最小旋回姿勢が第3回転軸N3で回転したとしても周囲の機器に干渉するおそれがない位置を考えることによって決定する。このようにロボットを動作させることにより、周囲との干渉の発生をより避けることができる。なお、実際のロボットの制御は、第3アーム50の第4回転軸N4での角度を図示しないコントローラで監視することでおこなうとよい。
【0022】
さらに、本実施例の水平多関節ロボット10では、図4に示すように、エンドエフェクタ20、第1アーム30、および、第2アーム40、第3アーム50と、第3駆動手段M3とを、ボールネジ62と第4駆動手段M4等から構成される昇降手段61によって、一体に上下動可能に構成している。このように構成することで、水平多関節ロボット10の動きの自由度が増え、ワークWをさらに自在に搬送することができる。
【実施例2】
【0023】
図5は、本発明の第2実施例を示す水平多関節ロボット10の平面図である。本実施例が、上述の第1実施例と異なる部分は、エンドエフェクタ20であり、その他の構成は同じである。図において、エンドエフェクタ20は、ワークWを保持する第1ハンド部221と第2ハンド部222を有し、第1ハンド部221と第2ハンド部222は、第1回転軸N1を対称軸として対称に配置されている。
このような構成にすると、水平多関節ロボット10はワークWを2枚同時に搭載が可能となり、カセット等でワークWの交換を行う際に、それを短時間で行うことができ、搬送効率が向上するという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0024】
なお、本実施例では、カセットやプロセス装置の間で半導体ウエハなどのワークを搬送する水平多関節ロボットに関して述べたが、エンドエフェクタやアームのサイズアップ、あるいは、高剛性化等を図れば、液晶パネル等の大型のワークの搬送にも適用可能である。
【符号の説明】
【0025】
10 水平多関節ロボット
20 エンドエフェクタ
21 エンドエフェクタの根元部
221 エンドエフェクタの第1ハンド部
222 エンドエフェクタの第2ハンド部
30 第1アーム
31 第1アームの一端部
32 第1アームの他端部
331 従動プーリ
332 駆動プーリ
333 タイミングベルト
34 連結軸
40 第2アーム
41 第2アームの一端部
42 第2アームの他端部
431 従動プーリ
432 駆動プーリ
433 タイミングベルト
44 連結軸
50 第3アーム
51 第3アームの一端部
52 第3アームの他端部
531 従動プーリ
532 駆動プーリ
533 タイミングベルト
541 従動プーリ
542 駆動プーリ
543 タイミングベルト
55 第1の入力軸
56 第2の入力軸
60 基台
62 ボールネジ
631 従動プーリ
632 駆動プーリ
633 タイミングベルト
70 直動機構
101 従来の水平多関節ロボット
W ワーク
N1 第1回転軸
N2 第2回転軸
N3 第3回転軸
N4 第4回転軸
L1 第1回転軸N1から第2回転軸N2までの距離
L2 第2回転軸N2から第3回転軸N3までの距離
M1 第1駆動手段
M11 第1駆動手段を構成するモータ
M12 第1駆動手段を構成する減速機
M2 第2駆動手段
M21 第2駆動手段を構成するモータ
M22 第2駆動手段を構成する減速機
M3 第3駆動手段
M31 第3駆動手段を構成するモータ
M32 第3駆動手段を構成する減速機
M4 第4駆動手段
P1、P2、P3、P4 アクセス位置(搬送位置)
P1a、P2a、P3a、P4a ワークを出し入れする方向の軸線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを保持するエンドエフェクタと、前記エンドエフェクタを一端で支持し、他端が基台に支持された水平多関節型のアーム部と、を備え、前記アーム部の回転動作によって前記ワークを所望の搬送位置まで搬送する水平多関節ロボットにおいて、
一端部に第1回転軸を有して前記エンドエフェクタを前記第1回転軸まわりに回転可能に支持する第1アームと、
一端部に第2回転軸を有して前記第1アームの他端部を前記第2回転軸まわりに回転可能に支持する第2アームと、
一端部に第3回転軸を有して前記第2アームの他端部を前記第3回転軸まわりに回転可能に支持する第3アームと、
第4回転軸を有して前記第3アームの他端部を前記第4回転軸まわりに回転可能に支持する基台と、
前記第1回転軸から前記第2回転軸までの距離と、前記第2回転軸から前記第3回転軸までの距離とが等しく、かつ前記第1アームが前記第2回転軸まわりで一方に回転する角速度に対し、前記エンドエフェクタが前記第1回転軸まわりで前記一方とは反対の方向へ1/2の角速度で回転させる連動手段と、を備え、
前記搬送位置における軸線の仮想延長線上に前記第3回転軸がくる位置まで前記第3アームを揺動回転してから前記搬送をおこなうこと、を特徴とする水平多関節ロボット。
【請求項2】
前記第3アームが前記揺動回転をおこなうときは、前記エンドエフェクタと前記第1アームと前記第2アームは、最小旋回姿勢となり、さらに前記最小旋回姿勢を維持しつつ、前記第2回転軸が前記第3回転軸に対して常に前記第4回転軸側になるよう前記第3回転軸上で回転することを特徴とする請求項1記載の水平多関節ロボット。
【請求項3】
前記第3アームが前記揺動回転をおこなうときは、前記エンドエフェクタと前記第1アームと前記第2アームは、最小旋回姿勢となったあと、前記第3アームが前記揺動回転をおこないながら、前記エンドエフェクタがスライドするように前記第1アームおよび前記第2アームが動作することを特徴とする請求項1記載の水平多関節ロボット。
【請求項4】
前記第1アームを前記第2回転軸まわりに回転させる手段を第1駆動手段、前記第2アームを前記第3回転軸まわりに回転させる手段を第2駆動手段、前記第3アームを前記第4回転軸まわりに回転させる手段を第3駆動手段、としたとき、
前記第1駆動手段と前記第2駆動手段は前記第3アームの内部に配置され、
前記第3駆動手段は前記基台の内部に配置されたことを特徴とする請求項1記載の水平多関節ロボット。
【請求項5】
前記基台に、前記エンドエフェクタと前記第1アームと前記第2アームと前記第3アームと前記第3駆動手段と、を上下動させる昇降手段を備えたことを特徴とする請求項4記載の水平多関節ロボット。
【請求項6】
前記エンドエフェクタは、前記第1回転軸を対称軸として対称に配置された第1ハンド部と第2ハンド部とを有し、前記第1ハンド部と前記第2ハンド部のそれぞれで前記ワークを保持可能であることを特徴とする請求項1に記載の水平多関節ロボット。
【請求項7】
ワークが搬送される複数の搬送位置と、
前記ワークを保持するエンドエフェクタと、前記エンドエフェクタを一端で支持し、他端が基台に支持された水平多関節型のアーム部と、を備え、前記アーム部の回転動作によって前記ワークを前記搬送位置まで搬送する水平多関節ロボットと、
を備えた搬送装置において、
前記複数の搬送位置のうち第1搬送位置と第2搬送位置が少なくとも横並びに配置され、
前記水平多関節ロボットが、
一端部に第1回転軸を有して前記エンドエフェクタを前記第1回転軸まわりに回転可能に支持する第1アームと、
一端部に第2回転軸を有して前記第1アームの他端部を前記第2回転軸まわりに回転可能に支持する第2アームと、
一端部に第3回転軸を有して前記第2アームの他端部を前記第3回転軸まわりに回転可能に支持する第3アームと、
第4回転軸を有して前記第3アームの他端部を前記第4回転軸まわりに回転可能に支持する基台と、
前記第1回転軸から前記第2回転軸までの距離と、前記第2回転軸から前記第3回転軸までの距離とが等しく、かつ前記第1アームが前記第2回転軸まわりで一方に回転する角速度に対し、前記エンドエフェクタが前記第1回転軸まわりで前記一方とは反対の方向へ1/2の角速度で回転させる連動手段と、を備え、
前記第4回転軸が、前記第1搬送位置と前記第2搬送位置の両方から等距離の線上に配置され、
前記第1搬送位置あるいは前記第2搬送位置における軸線の仮想延長線上に前記第3回転軸がくる位置まで前記第3アームを揺動回転してから前記搬送をおこなうこと、を特徴とする搬送装置。
【請求項8】
前記第3アームが前記揺動回転をおこなうときは、前記エンドエフェクタと前記第1アームと前記第2アームは、最小旋回姿勢となり、さらに前記最小旋回姿勢を維持しつつ、前記第2回転軸が前記第3回転軸に対して常に前記第4回転軸側になるよう前記第3回転軸上で回転することを特徴とする請求項7記載の搬送装置。
【請求項9】
前記第3アームが前記揺動回転をおこなうときは、前記エンドエフェクタと前記第1アームと前記第2アームは、最小旋回姿勢となったあと、前記第3アームが前記揺動回転をおこないながら、前記エンドエフェクタがスライドするように前記第1アームおよび前記第2アームが動作することを特徴とする請求項7記載の搬送装置。
【請求項10】
前記搬送装置が、前記水平多関節ロボットに対して前記第1搬送位置と前記第2搬送位置とが並ぶ側とは反対側に、さらに少なくとも第3搬送位置を有する場合であって、
前記第1搬送位置あるいは前記第2搬送位置と前記第3搬送位置とがなす前記搬送装置の幅方向Xにおいて、
前記第4回転軸が、前記第1搬送位置あるいは前記第2搬送位置が配置された側か、前記第3搬送位置が配置された側か、のいずれかにシフトした位置に配置されたことを特徴とする請求項7記載の搬送装置。
【請求項11】
前記第3回転軸が前記幅方向Xにおいて一定の範囲内にあるときのみ、前記エンドエフェクタと前記第1アームと前記第2アームとによる最小旋回姿勢が、前記第3回転軸まわりに回転することを許可することを特徴とする請求項7記載の搬送装置。
【請求項12】
前記水平多関節ロボットの前記基台に、前記エンドエフェクタと前記第1アームと前記第2アームと前記第3アームと前記第3駆動手段と、を上下動させる昇降手段を備えたことを特徴とする請求項7記載の搬送装置。
【請求項13】
前記水平多関節ロボットの前記エンドエフェクタは、前記第1回転軸を対称軸として対称に配置された第1ハンド部と第2ハンド部とを有し、前記第1ハンド部と前記第2ハンド部のそれぞれで前記ワークを保持可能であることを特徴とする請求項7記載の搬送装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−119556(P2011−119556A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277163(P2009−277163)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】