説明

動的限定的ステアリングフィードバック

【課題】 運転制御が容易な芝維持車、そのための動的限定的ステアリングフィードバックシステム、および芝維持車の制御方法を提供する。
【解決手段】 芝維持車用の動的限定的フィードバックシステムが、芝維持車のステアリング角および/または対地速度を検出する入力装置を含む。入力装置は、芝維持車のステアリング角および/または対地速度に相互関連する入力信号を送信する。本システムはまた、芝維持車のステアリング抵抗、旋回比、速度制限、対地速度および/または旋回角制限に影響を及ぼす出力装置を含む。本システムはさらに、入力信号を受信し、かつ入力信号に基づいて出力装置に制御信号を出力するコントローラを含み、入力信号に基づいて、芝維持車のステアリング抵抗、旋回比、速度制限、対地速度および/または旋回角制限を変化させる。芝維持車の制御方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、芝維持車に関し、詳細には、芝維持車用の動的限定的ステアリングフィードバックシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本項の記載は単に、本開示に関する背景情報を与えるだけであり、先行技術を構成するものではない。
【0003】
芝維持車(すなわち、グラウンド保持車)は、ゴルフコース、公園、および他の場所でのグラウンド維持目的のために使用される。乗車芝刈機はたとえば、電力供給システム(たとえば、内燃機関、バッテリなど)、電力供給システムから電力を受取る対地牽引システム、およびユーザが芝刈機を操縦するのを可能とするステアリングホイールアセンブリ、を一般に有する。これらの芝刈機は、かなりの高速度で移動し得、高度の操縦性を有し得る。高速度、および/または急旋回での移動には、低速度、および/または直線での移動時の車の制御よりも技術が要求される。傾斜地または不整地では、最適な運転にさらなる技術が要求されるだろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、運転制御が容易な芝維持車、そのための動的限定的ステアリングフィードバックシステム、および芝維持車の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
芝維持車用の動的限定的フィードバックシステムが開示される。本システムは、芝維持車のステアリング角および/または対地速度を検出する入力装置を含む。入力装置は、芝維持車のステアリング角および/または対地速度に相互関連する入力信号を送信する。本システムはまた、芝維持車のステアリング抵抗、旋回比、速度制限、対地速度および/または旋回角制限に影響を及ぼす出力装置を含む。さらに、本システムは、入力信号を受信し、かつ入力信号に基づいて出力装置に制御信号を出力するコントローラを含み、コントローラは、入力信号に基づいて、芝維持車のステアリング抵抗、旋回比、速度制限、対地速度および/または旋回角制限を変化させる。
【0006】
別の態様において、芝維持車の制御方法が開示される。本方法は、芝維持車のステアリング角および/または対地速度を検出することを含む。本方法はまた、コントローラに入力信号を送信することを含む。入力信号は、芝維持車のステアリング角および/または対地速度に相互関連する。さらに、本方法は、コントローラから送信され、かつ入力信号に基づく制御信号に従って、芝維持車のステアリング抵抗、旋回比、速度制限、対地速度および旋回角制限を変化させることを含む。
【0007】
さらに別の態様において、芝維持車の制御方法が開示される。本方法は、芝維持車の対地速度を検出し、対地速度が予め定める閾値レベルを超えるかを判断することを含む。本方法はまた、入力信号をコントローラに送信することを含む。入力信号は、芝維持車の対地速度に相互関連する。本方法はまた、対地速度が予め定める閾値レベルを超えると、芝維持車の、ステアリング抵抗を磁性流体によって増大させ、旋回比を増大させ、旋回角制限を減少させることを含む。
【0008】
さらに、芝維持車の制御方法が開示される。本発明は、ステアリングホイールアセンブリおよび/または対地牽引システムの位置に従って、芝維持車のステアリング角を検出することを含む。本方法はまた、コントローラに入力信号を送信することを含む。入力信号は、芝維持車のステアリング角に相互関連する。さらに、本発明は、コントローラから送信され、かつ入力信号に基づく制御信号に従って、芝維持車の速度制限および/または対地速度を変化させることを含む。
【0009】
さらなる態様において、フレーム、フレームによって支持される芝維持装置、およびフレームを支持する複数のホイールを含む対地牽引システムを含む芝維持車が開示される。芝維持車はさらに、芝維持装置システムおよび/または対地牽引システムに電力を供給する電力供給システムを含む。さらに、芝維持車は、芝維持車のステアリング角および/または対地速度を検出し、かつ芝維持車のステアリング角および/または対地速度に相互関連する入力信号を送信する入力装置を含む。さらに、芝維持車は、芝維持車のステアリング抵抗、旋回比、速度制限、対地速度、および/または旋回角制限に影響を及ぼす出力装置を有する。芝維持車はさらに、入力信号を受信し、かつ入力信号に基づいて出力装置に制御信号を出力するコントローラを含み、入力信号に基づいて、芝維持車のステアリング抵抗、旋回比、速度制限、対地速度および/または旋回角制限を変化させる。
【0010】
さらに別の態様において、フレーム、フレームによって支持される芝維持装置、およびフレームを支持する複数のホイールを含む対地牽引システムを含む芝維持車が開示される。芝維持車はさらに、芝維持装置および/または対地牽引システムに電力を供給する電力供給システムを含む。芝維持車はまた、芝維持車の移動方向を変化させるステアリングシステムを有する。さらに、芝維持車は、芝維持車の対地速度を検出する対地速度センサ、およびステアリングシステムのステアリング角を検出するステアリング角センサを有する。さらに、芝維持車は、対地速度センサによって検出される対地速度および/またはステアリング角センサによって検出されるステアリング角に基づいて、ステアリングシステムのステアリング抵抗、ステアリングシステムの旋回比、対地牽引システムの速度制限、対地牽引システムの対地速度、および/またはステアリングシステムの旋回角制限を変化させるコントローラを有する。
【0011】
さらなる適用分野は、ここに与えられる記載から明白となるであろう。説明および具体的な例は、説明のためだけに意図されており、かつ本開示の範囲を限定しようとするものではないことを理解すべきである。
【0012】
ここに記載される図面は、説明のためだけのものであり、本開示の範囲を限定しようとするものでは決してない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本開示に従う、芝維持車の斜視図である。
【図2】図1の芝維持車用の動的限定的ステアリングフィードバックシステムの略図である。
【図3】図1の芝維持車用の動的限定的ステアリングフィードバックシステムの略図である。
【図4】動的限定的ステアリングフィードバックシステムの運転方法を説明するフローチャートである。
【図5】動的限定的ステアリングフィードバックシステムの運転方法を説明するフローチャートである。
【図6】動的限定的ステアリングフィードバックシステムの運転方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の記載は単なる例であり、本開示、用途または使用を限定することを意図していない。図面を通じて、対応する参照符号は、同様の、または対応する部品および特徴を示すことを理解すべきである。
【0015】
最初に図1を参照して、芝刈機10などの芝維持車(すなわち、グラウンド保持車)が示される。示す実施形態において、芝刈機10は、フレーム12、芝維持装置システム13、および概して参照符号14が付される対地牽引システム、を通常有する、乗車芝刈機である。ここでの教示は、たとえば、芝刈機、グルーマ、サンドレイク、エアレータ、多目的車、および他の芝維持装置、を有し、電力アシストステアリングシステムを備える、適切なあらゆる芝維持車に適用可能であることが当業者によって理解されよう。
【0016】
芝維持装置システム13は、フレーム12によって支持され、芝維持の目的に適切なあらゆるタイプのものであり得る。いくつかの実施形態において、芝維持装置システム13は、草刈り用の、または他の芝維持運転用の、複数のリールカッタ17を含む。しかし、芝維持装置システム13は、たとえば芝刈り装置、グルーミング装置、レイキング装置、エアレーティング装置、および他の芝維持装置を含む、適切なあらゆる装置を含み得る。
【0017】
対地牽引システム14は、フレーム12を支持し、かつ芝刈機10に推進力およびステアリングを提供する。示す実施形態において、対地牽引システム14は、芝刈機10を推進させるように駆動される複数のフロントホイール16、およびフレーム12に対して旋回することで芝刈機10を操縦することができるリアホイール18、を有する。対地牽引システム14は、概略的に参照符号20が付されるブレーキを有する。ブレーキ20は、芝刈機10の対地速度を減少させるのに適切なあらゆるタイプのものであり得る。
【0018】
さらに、芝刈機10は、概して参照符号15が付される電力供給システムを有する。電力供給システム15は、電力を発生させ、かつ電力を対地牽引システム14および/または芝維持装置システム13に伝送するのに適切なあらゆるタイプのものであり得る。たとえば、電力供給システム15は、機械的もしくは電気的エネルギを発生させる内燃機関、複数のバッテリ、またはこの2つの組合せ、を含み得る。したがって、電力供給システム15は、電力を発生させ、かつ電力を対地牽引システム14に供給することによって、芝刈機を推進させる。一実施形態において、電力供給システム15は、電力を芝維持装置システム13に供給することによって、リールカッタ17を回転させる。
【0019】
示す実施形態において、電力供給システム15はまた、概略的に参照符号22が付される速度リミッタを有する。一般的に、芝刈機10の速度制限(すなわち、最高速度)は、速度リミッタ22に従って設定される。種々の実施形態において、速度リミッタ22は、スロットル(不図示)に運転可能に連結されることによって、対地牽引システム14に利用可能な電力を制限する。種々の実施形態において、速度リミッタ22は、電力供給システム15から対地牽引システム14に供給される電力量を決定する、プログラム化されたロジックである。
【0020】
芝刈機10はまた、概して参照符号24が付されるステアリングホイールアセンブリを有する。ステアリングホイールアセンブリ24は、ステアリングホイール26、ステアリングホイール26から延在するシャフト28、およびステアリング抵抗装置30を有する。ステアリング抵抗装置30は、シャフト28に運転可能なように連結される。ユーザがステアリングホイール26を旋回させるにつれ、シャフト28はその軸線周りに回転し、ステアリング抵抗装置30は、シャフト28の回転に対して、予め定める旋回抵抗レベルをもたらす。
【0021】
いくつかの実施形態において、ステアリング抵抗装置30は、磁性流体25および電磁石27を有する(図3)。磁性流体25は、20〜40容積%にて液体溶媒(たとえば、鉱油、合成炭化水素油、シリコーン油、水、グリコール、合成エステル、パーフルオロポリエーテルなど)に懸濁された、磁場感受性粒子(たとえば、カルボニル鉄、粉末状の鉄、鉄/コバルト合金、ニッケル合金など)を含む周知の流体であり得る。いくつかの実施形態において、磁場感受性粒子は、通常1〜10ミクロンである。懸濁化剤、チキソトロープ、水抜き防食添加物、摩擦調整剤などの添加剤を含めることもできる。磁性流体25は、印加磁場の不在下ではニュートン学説によるが、流体25は、磁場が印加されるにつれ粘度が増大し、かつ降伏力を高める。具体的に、電磁石27に電流が増大されると、磁場は強度を増大させ、これによって磁性流体25の特性に影響を及ぼす。結果として、シャフト28の回転に対する抵抗が増大する。
【0022】
ステアリング抵抗装置30は、選択的に係合および脱係合し得る複数の摩擦板を有する、たとえば摩擦クラッチアセンブリを含む、適切な他のあらゆる装置を有し得ることが充分理解されよう。摩擦クラッチアセンブリは、パルス変調を介して(すなわち、予め定めるデューティサイクルにて摩擦板を逐次的に係合および脱係合することによって)ステアリング抵抗を付与する。パルス変調のデューティサイクルが変化して、摩擦クラッチアセンブリによって与えられるステアリング抵抗の量を変化させることができる。
【0023】
ステアリングホイールアセンブリ24は、ステアリングホイール位置センサ31を有する。ステアリングホイール位置センサ31は、ステアリングホイール26の回転位置(すなわち、ステアリング角)を検出する。一実施形態において、ステアリングホイール位置センサ31は、ステアリングホイール26の位置変化を検出する。芝刈機10は座席32を有する。座席32は、ステアリングホイールアセンブリ24の後方に位置し、芝刈機10の運転中にユーザが座る場所を提供する。
【0024】
芝刈機10はさらに、概して参照符号34が付される動的限定的ステアリングフィードバックシステムを有する。フィードバックシステム34は、以下により詳細に記載されるように、芝刈機10のステアリングおよび/または速度に影響を及ぼすプログラム化されたロジックを含む、コントローラ36によって具現される。フィードバックシステム34はまた、以下により詳細に記載されるように、芝刈機10の状態を検出し、かつ芝刈機10の状態に相互関連する入力信号をコントローラ36に送信する、複数の入力装置含む。さらに、フィードバックシステム34は、以下により詳細に記載されるように、コントローラ36からの制御信号を受信することによって芝刈機10の状態を変化させる、複数の出力装置を含む。
【0025】
図2および図3を参照して、芝刈機10のステアリングをより詳細に説明する。示すように、リアホイール18は、対地牽引システム14のフォーク38に回転可能に搭載される。シャフト40が、フォーク38に固定され、フォーク38から上方向に延在する。ギア42が、シャフト40の端部に固定され、フォーク38から離間される。フォーク38、シャフト40およびギア42は、芝刈機10のフレーム12に固定されるブラケット44に回転可能に搭載される。対地牽引システム14は、コントローラ36と連絡するアクチュエータ46を有する。アクチュエータ46は、適切なあらゆるタイプのものであり得、一実施形態において、電気モータである。アクチュエータ46は、コントローラ36によって送信される信号に従って運転可能に回転するシャフト48を含む。ギア50がシャフト48に固定され、ベルト52がギア42,50に回転可能に係合する。
【0026】
以下により詳細に記載されるように、コントローラ36は、出力信号をアクチュエータ46に送信して、出力シャフト48の回転量を変化させ、ギア42、シャフト40およびフォーク38の回転を生じさせる。一実施形態において、コントローラ36は、アクチュエータ46に供給される電流を変化させて、リアステアリングホイール18の旋回量を変化させる。このため、リアホイール18は、コントローラ36から送信される出力信号に従って、旋回する(すなわち、ステアリング角が変化する)。
【0027】
リアホイール18は、ステアリング角制限(すなわち、中心直線方向からのリアホイール18の最大旋回角)を有することが充分理解されよう。種々の実施形態において、コントローラ36は、リアステアリングホイール18のステアリング角制限を設定する。さらに、種々の実施形態において、ステアリング角制限は変化し得る。
【0028】
コントローラ36は、ステアリングホイール位置センサ31と連絡し、検出されたステアリングホイール位置に基づいて、ステアリングホイール位置センサ31から入力信号を受信する。コントローラ36は、ステアリングホイール位置センサ31から受信される入力信号に基づいて、出力信号を生成し、アクチュエータ46に送信する。したがって、ユーザがステアリングホイール26を旋回させると、ステアリングホイール位置センサ31がステアリングホイール位置を検出し、ステアリングホイール位置センサ31がステアリングホイール26の位置に基づいてコントローラ36に入力信号を送信し、コントローラ36がアクチュエータ46に出力信号を送信する。その後、アクチュエータ46は、シャフト48を運転可能に回転させ、リアホイール18の所望の旋回量をもたらす。
【0029】
一般的に周知なように、用語「ステアリング比」は概して、ステアリングホイール26の旋回入力量と、リアホイール18の旋回出力量との比を表す。議論するように、フィードバックシステム34は芝刈機10のステアリング比を変化させる。たとえば、フィードバックシステム34が旋回比をより高く設定すれば、リアホイール18のある旋回量をもたらすのにステアリングホイール26の旋回がより多く必要とされる。フィードバックシステム34が旋回比をより低く設定すれば、リアホイール18の同じ旋回量をもたらすのにステアリングホイール26の旋回がより少なく必要とされる。
【0030】
前述の芝刈機10はステアリング制御用の電子制御方式による運転を含むことが理解されよう。しかし、芝刈機10は、本開示の範囲から逸脱することなく、ステアリングホイールアセンブリ24と対地牽引システム14とを運転可能に連結する1つ以上の機械的リンク機構に依存することが充分理解されよう。
【0031】
以下により詳細に記載されるように、動的限定的ステアリングフィードバックシステム34は概して、芝刈機10の対地速度および/またはステアリング角を検出する。入力信号は、この情報に基づいて発生し、コントローラ36に送信される。その後、コントローラ36は、制御信号を1つ以上の出力装置に出力して、芝刈機10の検出されたステアリング角および/または対地速度に基づいて、芝刈機10の、ステアリング抵抗、旋回比、速度制限、対地速度、および/または旋回角制限を変化させる。したがって、フィードバックシステム34は、芝刈機10の運転者制御を改善する。種々の実施形態において、芝刈機10は、芝刈機10の対地速度を検出する対地速度センサ60を有する。対地速度センサ60は、適切なあらゆるタイプのものであり得る。
【0032】
芝刈機10のステアリング角は、適切なあらゆる様式で検出することができる。種々の実施形態において、芝刈機10のステアリング角は、ステアリングホイール位置センサ31によって検出される。他の実施形態において、芝刈機10は、対地牽引システム14に運転可能に搭載される、ステアリング角センサ33(図2)を有する。より具体的には、ステアリング角センサ33は、リアホイール18の位置を検出する。芝刈機10のステアリング角は、センサ31,33の1つ、または双方によって検出することができることが充分理解されよう。
【0033】
いくつかの実施形態において、フィードバックシステム34は自動的に芝刈機10のステアリング抵抗を変化させる。第1に、対地速度が対地速度センサ60によって検出され、相互関連する入力信号がコントローラ36に送信される。一実施形態において、検出された対地速度が予め定める閾値レベルを超えている(すなわち、芝刈機10が比較的高速度で移動している)とコントローラ36が判断すれば、コントローラ36は、ステアリングホイール26の旋回に抗するステアリング抵抗を増大させるように、ステアリング抵抗装置30に制御信号を送信する。他の実施形態において、対地速度が予め定める閾値速度未満である(すなわち、芝刈機10が比較的低速度で移動している)とコントローラ36が判断すれば、コントローラ36は、ステアリングホイール26の旋回に抗するステアリング抵抗を減少させるように、ステアリング抵抗装置30に制御信号を送信する。複数の閾値速度および対応する数のステアリング抵抗レベルが存在し得ることが充分理解されよう。ゆえに、芝刈機10が速く移動している場合、ユーザはホイール26をうっかりと旋回させることはあまりない。というのも、そうするにはより力がいるからである。芝刈機10がより遅く移動している場合、ステアリングホイール26は、芝刈機10の操縦性を改善するようにユーザによってより簡単に旋回し得る。ゆえに、運転者制御が改善される。
【0034】
他の実施形態において、ステアリング比はフィードバックシステム34によって自動的に変化する。対地速度センサ60は、芝刈機10の対地速度を検出し、コントローラ36に相互関連する入力信号を送信する。対地速度が予め定める閾値速度を超えている(すなわち、芝刈機10が比較的高速度で移動している)とコントローラ36が判断すれば、コントローラ36は、ステアリング比を増大させるようにアクチュエータ46に制御信号を出力する。芝刈機10の対地速度が予め定める閾値速度未満である(すなわち、芝刈機10が比較的低速度で移動している)とコントローラ36が判断すれば、コントローラ36は、芝刈機10のステアリング比を低下させるようにアクチュエータ46に制御信号を出力する。コントローラ36によって設定される、複数の閾値速度および対応する数のステアリング比が存在し得ることが充分理解されよう。ゆえに、芝刈機10が速く移動している場合、ステアリングホイール26をうっかりと旋回させてリアホイール18を旋回させることはあまりない。というのも、ステアリング比が増大しているからである。芝刈機10がより遅く移動している場合、リアホイール18は、操縦性の改善のために、ステアリングホイール26の旋回により反応しやすい。したがって、芝刈機10の制御が改善される。
【0035】
他の実施形態において、ステアリング角制限はフィードバック装置34によって自動的に変化する。対地速度が対地速度センサ60によって検出され、相互関連する入力信号がコントローラ36に送信される。対地速度が予め定める閾値速度を超えている(すなわち、芝刈機10が比較的高速度で移動している)とコントローラ36が判断すれば、コントローラ36は、旋回角制限を低下させ、その低下した制限内でのみリアホイール18の旋回を許容する。対地速度が予め定める閾値速度未満である(すなわち、芝刈機10が比較的低速度で移動している)とコントローラ36が判断すれば、コントローラ36は、旋回角制限を増大させ、その増大した制限内でリアホイール18の旋回を許容する。他の実施形態において、高速度状態でのリアホイール18の最大旋回量は、芝刈機10の中心線から30度であり、低速度状態での最大タイヤ角は52度である。コントローラ36によって設定される、複数の閾値速度および対応する数のステアリング角制限が存在し得ることが充分理解されよう。したがって、芝刈機10が速く移動している場合、リアホイール18の旋回量は制限され、高速度、急旋回による芝刈機18の制御不能はあまりない。芝刈機10がより遅く移動している場合、芝刈機10はより急に旋回することができ、操縦性を改善する。
【0036】
他の実施形態において、フィードバック装置34は芝刈機10の速度制限を自動的に変化させる。ステアリング角は、ステアリングホイール位置センサ31および/またはステアリング角センサ33によって検出され、相互関連する入力信号がコントローラ36に送信される。ステアリング角が予め定める閾値角を超えれば(すなわち、比較的急な旋回が検出されれば)、コントローラ36は、速度リミッタ22に制御信号を出力し、芝刈機10の最大速度を減少させる。ステアリング角が予め定める閾値角未満である(すなわち、芝刈機10が概して直線方向に移動している)とコントローラ36が判断すれば、コントローラ36は、芝刈機10の最大速度を増大させるように速度リミッタ22に制御信号を出力する。コントローラ36によって設定される、複数の閾値角および対応する数の速度制限が存在し得ることが充分理解されよう。他の実施形態において、芝刈機10の旋回が検出されれば、芝刈機10の速度制限は時間あたり5マイル(5mph)に設定される。ゆえに、芝刈機10は、直線に移動する際、より高速度で移動し得、芝刈機10の速度制限は、旋回する際、減少する。したがって、芝刈機10の制御が改善される。
【0037】
さらに、種々の実施形態において、フィードバック装置34は芝刈機10の対地速度を自動的に変化させる。より具体的には、対地速度センサ60が芝刈機10の対地速度を検出し、ステアリング角が、ステアリングホイール位置センサ31および/またはステアリング角センサ33によって検出される。相互関連する入力信号がコントローラ36に送信され、コントローラ36が制御信号を出力して、検出された対地速度を維持するか、対地速度を減少させる。より具体的には、ステアリング角が予め定める閾値角を超え(すなわち、急旋回が検出される)、かつ対地速度が予め定める閾値レベルを超える(すなわち、芝刈機10が比較的早く移動している)とコントローラ36が判断すれば、コントローラ36は芝刈機10を減速させるように活性化するブレーキ20に制御信号を出力する。他の実施形態において、草刈機が時間あたり5マイル(5mph)を超えて移動し、かつユーザが芝刈機10を急旋回させるようにホイールを旋回させる場合、ブレーキ20は時間あたり5マイル(5mph)未満に芝刈機を減速させるように自動的に活性化される。したがって、ユーザは、高速度、急旋回状態によって芝刈機10の制御をあまり失わない。
【0038】
図4を参照して、ステアリング抵抗、ステアリング比、および旋回角制限の自動変化方法が表わされる。示す実施形態において、本方法は、芝刈機10の対地速度が対地速度センサ60によって検出されるブロック110を起点とする。その後、判断ブロック112において、コントローラ36が、芝刈機10が閾値速度を超えて移動しているかを判断する。結果が偽である場合、前述のように、ステアリング抵抗がブロック114にて減少し、ステアリング比がブロック116にて減少し、旋回角制限がブロック118にて増大する。判断ブロック112の判断結果が真である場合、前述のように、ステアリング抵抗がブロック120にて増大し、ステアリング比がブロック122にて増大し、旋回角制限がブロック124にて減少する。フィードバックシステム34が、種々の実施形態に従って、本開示の範囲から逸脱することなく、検出された対地速度に基づいて、たった1つまたは複数の、ステアリング抵抗、ステアリング比、および旋回角制限を変化させ得ることが充分理解されよう。
【0039】
図5を参照して、芝刈機10の速度制限の変化方法が説明される。本方法は、芝刈機10のステアリング角が先に議論したように検出されるブロック126を起点とする。その後、判断ブロック128において、コントローラ36が、ステアリング角が閾値角を超えるかを判断する。判断結果が偽である場合、ブロック130にて、芝刈機10の速度制限が減少する。判断ブロック128での判断結果が真である場合、芝刈機10の速度制限がステップ132で増大する。
【0040】
図6を参照して、芝刈機10の対地速度の自動変化方法が説明される。本方法は、芝刈機10の対地速度が検出されるブロック140を起点とする。その後、ブロック142にて、芝刈機10のステアリング角が検出される。次に、判断ブロック144において、コントローラ36が、検出速度が閾値速度を超えるか、およびステアリング角が閾値角を超えるかを判断する。判断結果が偽である場合、プロセスがブロック140および142に逆戻りする。しかし、判断ブロック144の結果が真である場合、コントローラ36は、ステップ146においてブレーキ20が自動的にかかるように、ブレーキ20に制御信号を出力する。
【0041】
動的限定的ステアリングフィードバックシステム34が芝刈機10の運転手制御を改善することが充分理解されよう。各出力装置(すなわち、ステアリング抵抗装置30、アクチュエータ46など)由来の出力信号が、コントローラ36に送信し返されて芝刈機10の動的挙動を制御するように、システム34がフィードバック制御システムとして構成され得ることも充分理解されよう。
【0042】
本開示は、明細書に記載され、種々の実施形態を参照する図面において示されているが、請求の範囲に定義される本開示の範囲から逸脱することなく、種々の変更がなされ、同等物が本開示の要素と置換されてもよいことが当業者によって理解されよう。さらに、種々の実施形態の間で特徴、工程、要素および/または機能の混合および適合が明確に意図されるので、別に記載されていなければ、一実施形態の特徴、工程、要素および/または機能が、必要に応じて、別の実施形態に組込まれてもよいことを本開示から当業者は充分理解するだろう。さらに、本開示の必須の範囲から逸脱することなく、ある構成を本開示の教示へ適合させるような多くの変更がなされてもよい。したがって、本開示は、本開示を実行するのに現在意図される最良の形態として図面に説明され、かつ明細書に記載される特定の実施形態に限定されないが、本開示が、前述の記載および従属請求項内に含まれるあらゆる実施形態を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0043】
10 芝刈機
12 フレーム
13 芝維持装置システム
14 対地牽引システム
15 電力供給システム
16 フロントホイール
17 リールカッタ
18 リアホイール
20 ブレーキ
22 速度リミッタ
24 ステアリングホイールアセンブリ
25 磁性流体
26 ステアリングホイール
27 電磁石
28 シャフト
30 ステアリング抵抗装置
31 ステアリングホイール位置センサ
32 座席
33 ステアリング角センサ
34 動的限定的ステアリングフィードバックシステム
36 コントローラ
38 フォーク
40 シャフト
42 ギア
44 ブラケット
46 アクチュエータ
48 シャフト
50 ギア
52 ベルト
60 対地速度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芝維持車用の動的限定的ステアリングフィードバックシステムであって、
芝維持車のステアリング角または対地速度の少なくとも1つを検出し、かつ芝維持車のステアリング角または対地速度の少なくとも1つに相互関連する入力信号を送信する入力装置と、
芝維持車のステアリング抵抗、旋回比、速度制限、対地速度または旋回角制限の少なくとも1つに影響を及ぼす出力装置と、
入力信号を受信し、かつ入力信号に基づいて出力装置に制御信号を出力するコントローラであって、入力信号に基づいて、芝維持車のステアリング抵抗、旋回比、速度制限、対地速度または旋回角制限の少なくとも1つを変化させるコントローラと、を含むことを特徴とするシステム。
【請求項2】
ステアリングホイールアセンブリをさらに含み、入力装置が、ステアリングホイールアセンブリと運転可能に連結され、かつステアリングホイールアセンブリの位置を検出して芝維持車のステアリング角を検出するステアリングホイール位置センサであることを特徴とする請求項1記載の動的限定的ステアリングフィードバックシステム。
【請求項3】
対地牽引システムをさらに含み、出力信号が旋回比信号を含み、出力装置が、旋回比信号に基づいて牽引アセンブリの旋回角を変化させるアクチュエータであることを特徴とする請求項2記載の動的限定的ステアリングフィードバックシステム。
【請求項4】
対地牽引システムをさらに含み、出力装置が、対地牽引システムの旋回角を変化させるアクチュエータであり、アクチュエータがコントローラから制御信号を受信して芝維持車の旋回角制限を適宜対応して変化させることを特徴とする請求項1記載の動的限定的ステアリングフィードバックシステム。
【請求項5】
対地牽引システムをさらに含み、入力装置が、対地牽引システムと運転可能に連結され、かつ対地牽引システムの位置を検出して芝維持車のステアリング角を検出するステアリング角センサであることを特徴とする請求項1記載の動的限定的ステアリングフィードバックシステム。
【請求項6】
対地牽引システムをさらに含み、入力装置が、モータの対地速度を検出する対地牽引システムと運転可能に連結される対地速度センサであることを特徴とする請求項1記載の動的限定的ステアリングフィードバックシステム。
【請求項7】
ステアリングホイールアセンブリをさらに含み、出力装置が、ステアリングホイールアセンブリに運転可能に連結されるステアリング抵抗装置であり、ステアリング抵抗装置がステアリングホイールアセンブリの旋回抵抗性を変化させて芝維持車のステアリング抵抗を変化させることを特徴とする請求項1記載の動的限定的ステアリングフィードバックシステム。
【請求項8】
ステアリング抵抗装置が、
旋回抵抗性を可変的に供給する磁性流体、および電磁石であって、制御信号が電磁石に供給される電流を変化させて、磁性流体によって供給される旋回抵抗性を変化させる、磁性流体および電磁石、または
選択的に係合および脱係合する複数の摩擦板を有し、パルス変調を介して旋回抵抗性を供給する摩擦クラッチアセンブリであって、制御信号がパルス変調のデューティサイクルを変化させて、供給される旋回抵抗性を変化させる、摩擦クラッチアセンブリ、の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項7記載の動的限定的ステアリングフィードバックシステム。
【請求項9】
電力供給システムと、電力供給システムから電力を受取って芝維持車を推進させる対地牽引システムとをさらに含み、出力装置が、芝維持車を速度制限未満に減速させるブレーキシステムであることを特徴とする請求項1記載の動的限定的ステアリングフィードバックシステム。
【請求項10】
電力供給システムと、電力供給システムから電力を受取って芝維持車を推進させる対地牽引システムとをさらに含み、出力装置が、芝維持車の速度制限を変化させる電力供給システムの速度リミッタであることを特徴とする請求項1記載の動的限定的ステアリングフィードバックシステム。
【請求項11】
芝維持車のステアリング角または対地速度の少なくとも1つを検出する工程と、
芝維持車のステアリング角または対地速度の少なくとも1つに相互関連する入力信号をコントローラに送信する工程と、
コントローラから送信され、かつ入力信号に基づく制御信号に従って、芝維持車のステアリング抵抗、旋回比、速度制限、対地速度または旋回角制限の少なくとも1つを変化させる工程と、を含むことを特徴とする芝維持車の制御方法。
【請求項12】
ステアリング角および対地速度の少なくとも1つを検出する工程が、予め定める閾値速度を対地速度が超えるかを検出することを含み、ステアリング抵抗、旋回比、速度制限、対地速度または旋回角制限の少なくとも1つを変化させる工程が、予め定める閾値速度を対地速度が超えると、ステアリング抵抗を増大させ、旋回比を増大させ、または旋回角制限を減少させることの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
ステアリング角または対地速度の少なくとも1つを検出する工程が、予め定める閾値角をステアリング角が超えるかを検出することを含み、ステアリング抵抗、旋回比、速度制限、対地速度または旋回角制限の少なくとも1つを変化させる工程が、予め定める閾値角をステアリング角が超えると、速度制限を減少させることを含むことを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項14】
ステアリング角または対地速度の少なくとも1つを検出する工程が、予め定める閾値速度を対地速度が超えるかを検出し、かつ予め定める閾値角をステアリング角が超えるかを検出することを含み、ステアリング抵抗、旋回比、速度制限、対地速度または旋回角制限の少なくとも1つを変化させる工程が、予め定める閾値速度を対地速度が超え、かつ予め定める閾値角をステアリング角が超えると、対地速度を予め定める閾値速度よりも高くならないように減少させることを含むことを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項15】
対地速度の減少が、自動的にブレーキをかけることを含むことを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
芝維持車のステアリング角および対地速度の少なくとも1つを検出する工程が、ステアリングホイール位置または対地牽引アセンブリ位置の少なくとも1つからステアリング角を検出することを含むことを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項17】
ステアリング抵抗、旋回比、速度制限、対地速度または旋回角制限の少なくとも1つを変化させる工程が、
磁場を変化させる電磁石に送られたる電流を変化させて、磁性流体の特性を変化させ、ステアリング抵抗を変化させる工程と、
摩擦クラッチアセンブリのパルス変調のデューティサイクルを変化させてステアリング抵抗を変化させる工程と、の少なくとも1つを含むことを含むことを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項18】
芝維持車の対地速度を検出し、かつ対地速度が予め定める閾値レベルを超えるかを判断する工程と、
芝維持車の対地速度に相互関連する入力信号をコントローラに送信する工程と、
対地速度が予め定める閾値レベルを超えると、コントローラから送信され、かつ入力信号に基づく制御信号に従って、芝維持車の、ステアリング抵抗を増大させ、旋回比を増大させ、かつ旋回角制限を減少させる工程と、を含むことを含むことを特徴とする芝維持車の制御方法。
【請求項19】
ステアリングホイールアセンブリおよび対地牽引システムの少なくとも1つの位置に従って芝維持車のステアリング角を検出する工程と、
芝維持車のステアリング角に相互関連する入力信号をコントローラに送信する工程と、
コントローラから送信され、かつ入力信号に基づく制御信号に従って、芝維持車の、速度制限または対地速度の少なくとも1つを変化させる工程と、を含むことを含むことを特徴とする芝維持車の制御方法。
【請求項20】
フレームと、
フレームによって支持される芝維持装置と、
フレームを支持する複数のホイールを含む対地牽引システムと、
芝維持装置または対地牽引システムの少なくとも1つに電力を供給する電力供給システムと、
芝維持車のステアリング角または対地速度の少なくとも1つを検出し、かつ芝維持車のステアリング角または対地速度の少なくとも1つに相互関連する入力信号を送信する入力装置と、
芝維持車のステアリング抵抗、旋回比、速度制限、対地速度、または旋回角制限の少なくとも1つに影響を及ぼす出力装置と、
入力信号を受信し、かつ入力信号に基づいて出力装置に制御信号を出力して、入力信号に基づいて、芝維持車のステアリング抵抗、旋回比、速度制限、対地速度または旋回角制限の少なくとも1つを変化させるコントローラと、を有する芝維持車。
【請求項21】
フレームと、
フレームによって支持される芝維持装置と、
フレームを支持する複数のホイールを含む対地牽引システムと、
芝維持装置または対地牽引システムの少なくとも1つに電力を供給する電力供給システムと、
芝維持車の移動方向を変化させるステアリングシステムと、
芝維持車の対地速度を検出する対地速度センサと、
ステアリングシステムのステアリング角を検出するステアリング角センサと、
対地速度センサによって検出される対地速度またはステアリング角センサによって検出されるステアリング角の少なくとも1つに基づいて、ステアリングシステムのステアリング抵抗、ステアリングシステムの旋回比、対地牽引システムの速度制限、対地牽引システムの対地速度、またはステアリングシステムの旋回角制限の少なくとも1つを変化させるコントローラと、を有する芝維持車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−173279(P2009−173279A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13657(P2009−13657)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(391031890)テキストロン インコーポレイテッド (16)
【氏名又は名称原語表記】TEXTRON INCORPORATED
【Fターム(参考)】